ベテラン部下のモチベーション向上術

Question
田中課長代理(50代後半、勤続30年)は、かつては部門を牽引するベテランとして周囲から頼られていました。しかし、最近の人事異動で若手社員が昇進したことや、新たなデジタル化推進プロジェクトへの不慣れさから、モチベーションが低下しているように見受けられます。報告書の提出遅延や会議での発言機会の減少、時折の皮肉めいた発言が目立つようになり、部署全体の士気にも影響が出始めています。あなた(部長)は、この状況を改善するため、田中課長代理との面談の機会を設けました。

面談の冒頭、田中課長代理が「最近、どうも仕事へのやる気が起きなくてね…」と口を開きました。この状況で、田中課長代理の抱える本質的な問題を引き出し、前向きな対話へと繋げるための第一声として最も適切な対応はどれか?

  • A. 「やる気がないのは困りますね。プロとして自覚を持ってください。」
  • B. 「それは心配ですね。何か具体的な悩みがあるなら聞きますよ。」
  • C. 「田中さんからそういった言葉を聞くのは珍しいですね。何か心境の変化があったのでしょうか。もしよろしければ、お聞かせいただけますか。」
  • D. 「最近、部署の目標達成に向けて課題が多いですが、何か貢献できることはありますか?」

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【選択肢 A】 不正解(悪手)

相手の心情(やる気が出ない)を真っ向から否定し、「プロとしての自覚」という正論で説教する最悪のアプローチです。若手の昇進やIT化への戸惑いで自尊心が揺らいでいるベテランに対してこれを行うと、心理的な反発を招き完全に心を閉ざしてしまいます。

【選択肢 B】 不正解

寄り添う姿勢は見せていますが、対応がやや軽く抽象的です。「珍しいですね」と過去の貢献(以前はやる気に満ちていたこと)を暗示するCに比べると、プライドの高いベテランの心を開き、本音を引き出すフックとしてはやや弱く、評価は伸び悩みます。

【選択肢 C】 正解(良手)

「そういった言葉を聞くのは珍しい」と過去の真摯な勤務態度を間接的に承認しつつ、相手の心情の変化をフラットに受け止める非常に優れたアプローチです。相手を否定せずに傾聴の姿勢を示すことで心理的安全性を確保し、モチベーション低下の根本原因(人事への不満やITへの苦手意識など)を語らせる強固な土台を築いています。

【選択肢 D】 不正解(悪手)

相手が「やる気が出ない」と感情的なSOS(本音)を出しているにもかかわらず、それを完全にスルーして「部署の目標」や「業務への貢献」という組織の論理に話をすり替えています。部下の感情的ケアを放棄した、管理職として不適切な対応です。

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