あなたは、食品メーカー「株式会社ウェルネスフーズ」の商品企画部で、新しく課長に就任したばかりです。あなたの部署は、新商品の企画立案から、関連部署と連携して発売までを主導する役割を担っています。
現在、会社は健康志向の高まりを受け、社運をかけた新商品「プラントベース・プロテインバー『Next Bar』」の発売を2ヶ月後に控えています。しかし、そのプロモーション方針を巡って、販売戦略を担当する営業部と、商品開発を担当する開発部との間で見解が激しく対立し、プロジェクトが停滞しかけています。
あなたは上司である部長から、両部署の間に立ち、円滑にプロジェクトを推進する調整役としての役割を強く期待されています。
※これは、あなたが4分で20案件を処理するインバスケット試験の中の1案件です。
【未読メール】
差出人: 営業部長 鈴木 一郎 <i.suzuki@wellnessfoods.co.jp>
日時: 20XX年10月26日(木) 16:30
宛先: 商品企画部長、開発部長、山田 太郎(あなた)
件名: 【至急・要調整】新商品『Next Bar』プロモーション方針に関する緊急会議の要請
関係者各位
お疲れ様です。営業部長の鈴木です。
表題の件、本日午後の定例会議でも議論しましたが、結論に至らず、プロジェクトの進行に深刻な遅れが生じることを懸念しております。
我々営業部としては、短期的な売上目標を確実に達成するため、以下の施策を強く主張します。
- 発売初月は「初回限定50%OFFキャンペーン」を実施し、一気に市場シェアを獲得する。
- 販売代理店向けに、販売実績に応じた高額なインセンティブ(販売奨励金)を設定する。
しかし、開発部からは「安売りはブランドイメージを毀損する」「商品の価値が正しく伝わらない」との一点張りで、全く歩み寄りの姿勢が見られません。
彼らの主張する、商品のこだわりやストーリーを伝える高尚なブランディング戦略では、競争の激しい市場で初動の売上を確保するのは極めて困難です。
このままでは、明日午後に予定されている役員向けの進捗報告会で、方針未定という最悪の報告をせざるを得ません。
つきましては、商品企画部の山田課長(あなた)に、両者の意見を踏まえた上で、第三者視点での「現実的な調整案」を至急取りまとめていただくことをお願いします。
明日の役員報告会まで時間がありません。本日中に、あなたの見解と具体的なアクションプランを提示してください。
以上、よろしくお願いいたします。
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株式会社ウェルネスフーズ
営業本部 営業部長
鈴木 一郎
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回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
この選択肢が最も優れている理由は、対立の表面的な解決ではなく、根本的な原因にアプローチし、組織全体の最適解を目指すという、管理職に求められる本質的な行動だからです。
- 1. 問題の本質的解決:
C案B案は、どちらかの部署の意見に与するものであり、必ず一方にしこりを残します。これでは短期的な解決にはなっても、部署間の信頼関係を損ない、今後のプロジェクトに悪影響を及ぼす可能性があります。A案は、なぜ営業が「短期売上」を主張し、開発が「ブランド」を主張するのか、その背景にある「真の目的」や「譲れない条件」を理解しようとする姿勢が評価されます。 - 2. 全社最適の視点:
管理職は自部署の利益だけでなく、会社全体の利益を最大化する視点(全社最適)を持つ必要があります。A案は、個別の主張を鵜呑みにするのではなく、両者の意見を統合し、より高い次元での解決策(例:ターゲット層別にプロモーションを分ける、初回はサンプリングに注力し、リピート購入時に割引を適用するなど)を生み出す可能性を秘めています。 - 3. プロセスと納得感の醸成:
結論を急ぐ前に、まず当事者の話を聞くというプロセスは、相手への敬意を示し、最終的な結論が出た際の納得感を高めます。独断で判断するのではなく、関係者を巻き込みながら合意形成を図る姿勢は、チームワークを重視するリーダーとして不可欠です。
たとえ時間的制約が厳しくても、重要な意思決定においては、このような丁寧なプロセスを踏むことが、結果的に最も早く、かつ確実な成果に繋がります。
重要度:高 / 緊急度:高
- 重要度: 高
- 緊急度: 高
【解説】
この案件は、典型的な「重要かつ緊急」なタスクに分類されます。
重要度(高)の理由:
社運をかけた新商品の成否に直結するプロモーション方針の決定であり、会社の短期的な売上と長期的なブランドイメージの両方に大きな影響を与えます。また、部署間の対立を放置することは、組織の士気や協力体制を著しく低下させ、今後の事業運営全体に悪影響を及ぼすリスクがあるため、極めて重要度が高いと言えます。
緊急度(高)の理由:
メール本文に「明日午後に予定されている役員向けの進捗報告会」という明確な期限が設定されています。さらに「本日中に、あなたの見解と具体的なアクションプランを提示してください」と名指しで依頼されており、即時の対応が求められています。このため、他の案件よりも優先して着手する必要があります。
部署間の対立や利害調整は、管理職が日常的に直面する重要なテーマです。このような状況に陥った際、またアセスメント試験で評価されるためのマインドセットと行動原則は以下の通りです。
マインドセット
- 対立を「機会」と捉える:
部署間の意見の対立は、異なる視点や専門性がぶつかり合っている健全な証拠です。これを単なる面倒事と捉えず、両者の意見を統合してより良いアイデアを生み出す「創造の機会」と捉えることが重要です。 - 「Why(なぜ)」を問う:
「What(何をしたいか)」という表面的な主張だけでなく、「Why(なぜそうしたいのか)」という背景にある目的や価値観を深く理解しようと努めてください。対立の根本原因は、多くの場合この「Why」の部分にあります。 - 中立性と全体最適の意識:
どちらか一方の味方をするのではなく、常に中立的な立場で、会社全体にとっての最適解は何かを自問自答する姿勢が求められます。
行動原則
- 事実の収集と整理:
まずは感情論を排し、客観的な事実(市場データ、競合の動向、過去の成功・失敗事例など)を収集・整理します。議論の土台となる共通認識を構築することが第一歩です。 - 個別ヒアリングの実施:
いきなり関係者全員で会議を開くと、感情的な応酬になりがちです。まずは1対1でそれぞれの本音や懸念、妥協できる点などを聞き出し、落としどころを探ります。 - 共通のゴール(上位目標)を再確認する:
「売上」も「ブランド」も、最終的には「新商品を成功させ、会社の成長に貢献する」という共通のゴールに繋がっているはずです。この上位目標を全員で再確認することで、協力体制を再構築しやすくなります。 - 代替案(第三案)の提示:
単に両者の意見の中間を取る「折衷案」ではなく、両者のメリットを活かし、デメリットを補い合うような、より付加価値の高い「代替案」を提示できると、マネージャーとしての評価は格段に高まります。

