あなたは、大手食品メーカー「サクライフーズ株式会社」の首都圏営業本部・営業第二課の課長に就任して1ヶ月が経ったところです。
あなたの率いる営業第二課は、トップセールスで若手エースの田中 裕也さんと、経験豊富なベテランの鈴木 一郎さんが二枚看板となり、チームの業績は全社的にも好調です。ようやくメンバーの顔と名前も一致し、これから本格的にチームを率いていこうという段階です。
本日は、四半期に一度の重要な全社営業会議が午後1時から開催されます。あなたは第二課の業績報告と今後の戦略についてプレゼンテーションを行う予定です。資料の準備はほぼ完了していますが、最終確認の時間は確保したいと考えています。
【現在の時刻と制限時間】
現在時刻は午前10時です。会議が始まる午後1時までの3時間で、溜まっている未処理案件を効率的に処理していく必要があります。
差出人: <anonymous@secure-mailbox.com>
日時: 20XX年10月28日 09:55
件名: 【内部通報】営業第二課の田中裕也さんの件について
新任課長様
突然のメール、失礼いたします。匿名でのご連絡となることをお許しください。
どうしても看過できないことがあり、課長にご報告させていただきたく、筆を取りました。
営業第二課の田中裕也さんの、経費利用についてです。
田中さんは、特定取引先である株式会社ネクストマートの仕入れ担当者と、業務の範囲を逸脱した過剰な接待を繰り返している疑いがあります。同僚から聞いた話では、週に何度も高級クラブで会合を持っているとのことです。
問題は、その費用が会社の経費で賄われている可能性が高いことです。経費精算システムを確認すると、田中さんの申請は「会議費」「調査費」「交際費」など、複数の名目に巧妙に分けられています。一つの接待費用を、複数の日付や名目に分割して申請し、一件あたりの金額が目立たないように操作しているように見受けられます。
最近、彼が購入した高級腕時計や車も、本当に自己資金から出ているのでしょうか。彼の功績は認めますが、会社のルールを無視した行動が許されるべきではありません。このままでは、真面目に働いている他の社員の士気に関わります。
会社のモラルがこれ以上低下するのを見過ごすことはできません。どうか、新任課長であるあなたの公正な目で、事実を調査していただきたく、お願い申し上げます。
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
不正疑惑というコンプライアンスに関わる重大な案件は、個人の判断で進めるべきではありません。会社の公式な手続きに則り、専門部署(人事部、コンプライアンス室、法務部など)に速やかに報告・相談するのが管理職としての鉄則です。
- 組織的対応の重要性:
不正調査には、法的な知識や客観的な証拠収集のノウハウが必要です。管理職が単独で動くと、不適切なヒアリングで名誉毀損のリスクを負ったり、相手に証拠隠滅の機会を与えてしまったりする可能性があります。専門部署と連携することで、組織として適切かつ公正な対応が可能になります。 - リスク回避:
選択肢C(本人への直接確認)は、事実無根だった場合にエース社員との信頼関係を完全に破壊するリスクがあります。また、事実であった場合は、相手を警戒させ、調査を困難にする可能性が高い最悪の選択肢です。 - 効率と責任範囲:
選択肢B(自己調査)は、客観的データをまず確認するという姿勢は評価できますが、時間がかかりすぎる可能性があります。また、経費データだけでは不正の確証を得ることは困難です。調査の責任を一人で抱え込まず、速やかに専門部署にエスカレーションし、自身は調査への協力と、チームの動揺を防ぐマネジメントに集中するべきです。
したがって、まずは上長への報告も視野に入れつつ、コンプライアンス室等の専門部署に第一報を入れ、その後の対応について指示を仰ぐのが、組織人として、また管理職として最も責任ある行動です。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度: 高 / 緊急度: 高
この案件は、時間的猶予がなく、かつ組織への影響が非常に大きい「最優先で対応すべき案件」と位置づけられます。
- 重要度(高)の理由:
コンプライアンス違反の疑惑は、放置すれば企業の社会的信用を失墜させ、法的な問題に発展する可能性があります。また、エース社員の処遇に関わる問題であり、組織の公平性や士気に直結します。事実であれば懲戒処分等の対象となり、業績への影響も避けられません。 - 緊急度(高)の理由:
匿名通報があった時点で、問題が水面下で進行・拡大している可能性があります。対応が遅れれば、不正行為が継続されたり、通報者が次のアクション(外部通報など)を起こしたりするリスクが高まります。噂が広がる前に、速やかに正規のルートで報告し、組織としての初動を始める必要があります。
管理職として不正疑惑のようなデリケートな案件に直面した際は、冷静かつ慎重な行動が求められます。アセスメント試験では、以下の観点が評価されます。
- 1. 抱え込まない(報告・連絡・相談の徹底):
最大のポイントは「一人で判断しない」ことです。特にコンプライアンスやハラスメントに関する問題は、速やかに上長や人事・コンプライアンス部門といった専門部署に報告し、指示を仰ぐ姿勢が最も重要です。これは、自分自身と会社をリスクから守るための基本原則です。 - 2. 事実と憶測の切り分け:
通報メールの内容を鵜呑みにせず、「客観的な事実(例:経費申請データ)」と「通報者の主観や憶測(例:高級腕時計の購入理由)」を冷静に切り分けて考える分析力が求められます。感情的にならず、客観的な視点を保つことが重要です。 - 3. 密行性の担保:
調査を開始する、あるいは相談する際には、情報が関係者以外に絶対に漏れないよう、細心の注意を払う必要があります。「田中が疑われているらしい」といった噂が広まること自体が、組織に深刻なダメージを与えるからです。相談相手や場所、方法を慎重に選ぶ必要があります。 - 4. チームへの配慮:
調査が始まった後、管理職にはチームの動揺を抑え、生産性を維持するという重要な役割が残ります。対象者への対応と、他のメンバーへの配慮の両方が求められることを忘れてはいけません。

