あなたは、総合ライフスタイルメーカー「株式会社ネクスト・ビジョン」の営業本部 営業企画課の課長です。本日付で着任しました。前任の課長が急な体調不良で長期療養に入ったため、十分な引き継ぎは受けられていません。
本日は本来、遠方の支社へ挨拶回りに行く予定でしたが、急遽予定がキャンセルに。あなたは今、出張先のホテルの自室で、初めて会社のメールボックスにアクセスしたところです。
手元にあるのはノートPCのみ。関係者への連絡はメールか電話で行うことができます。
現在の時刻は午前11時。これから1時間(4分)で、未処理案件をできるだけ多く処理しなくてはなりません。
【未読メール】
差出人: 鈴木 誠 <m-suzuki@next-vision.co.jp>
日時: 20XX年10月26日 10:45
件名: 【至急】新製品「スマートホームハブX」の販売戦略会議について
営業企画課長(あなた)
CC: 営業本部各位
お疲れ様です。営業本部長の鈴木です。
着任早々、急な話で申し訳ない。本日16時より、新製品「スマートホームハブX」の販売戦略に関する緊急会議を第3会議室で行います。
議題は、来月15日に発売を予定している当製品のプロモーション予算配分と最終的な発売スケジュールの確定です。
実は、昨日になって商品開発部の田中部長から「最終品質テストで軽微なバグが複数見つかった。このまま発売すれば、操作性に悪影響が出て、初期クレームに繋がるリスクがある。万全を期すため、発売を1ヶ月延期し、追加の開発・テスト費用として500万円をプロモーション予算から捻出してほしい」という強い要請がありました。
一方、マーケティング部の佐藤部長からは、「新製品にばかり予算を割くのは危険だ。屋台骨である既存製品群の売上が前年比で鈍化している今、新製品のプロモーション予算を30%カットし、その分を既存製品の年末商戦キャンペーンに充てるべきだ」という意見が出ており、両者の意見は真っ向から対立しています。
ご存知の通り、この「スマートホームハブX」の成功は、我々営業本部の今期目標達成における最重要項目です。私としては、予定通り発売し、当初計画のプロモーションを仕掛けて、初動の売上を最大化したいと考えています。
つきましては、営業企画課長として、営業本部のスタンスをどう固めるべきか、あなたの考えをまとめて、本日15時までに私に方針を報告してください。その方針を元に、16時からの会議に臨みます。
取り急ぎ、よろしくお願いします。
————————————
株式会社ネクスト・ビジョン
取締役 営業本部長
鈴木 誠
————————————
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
選択肢Cがベスト
この問題における管理職の役割は、単に誰かの意見を採用することではなく、対立する利害を調整し、組織全体として最適な解(全社最適)を導き出すことにあります。
- Aの課題:品質重視の姿勢は正しいものの、営業本部の目標を完全に放棄しており、自部署の役割を果たしていません。また、情報が不足している中で開発部の意見を鵜呑みにするのは危険です。
- Bの課題:本部長の意向を汲むことは重要ですが、品質リスクや他部署の懸念を無視した強行策は、将来的に大きな問題(製品リコール、部署間の深刻な亀裂)を引き起こす可能性があります。短期的な視点に偏りすぎています。
- Cの優位性:まず、対立の背景にある「事実」(バグの深刻度、既存製品の売上データなど)を収集しようとする姿勢が、適切な意思決定の土台となります。その上で、関係者と対話して落とし所を探るというアプローチは、一方的な決定による反発を避け、関係者の納得感を醸成しながら現実的な解決策を見出すための最善手です。着任直後で情報が少ない状況では、特にこの「情報収集と対話」のプロセスが不可欠です。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度:高、緊急度:高
この案件は、時間管理マトリクスにおいて「重要かつ緊急」な領域に分類されます。
- 重要度(高):新製品の成否は会社の今期の業績を左右する最重要プロジェクトの一つです。また、部署間の対立を放置することは、組織の健全性を損ない、今後の業務にも悪影響を及ぼすため、適切に対処する必要があります。
- 緊急度(高):「本日15時まで」に方針を報告するという明確な時間的制約があります。迅速な状況把握と意思決定が求められています。
したがって、この案件は他のどの業務よりも優先して、直ちに着手すべきです。
部署間の利害対立は、どの組織でも起こりうる自然な現象です。各部署がそれぞれのミッションに責任感を持っている証拠でもあります。こうした状況に直面した際、管理職として評価される行動原則は以下の通りです。
- 全社最適の視点を持つ:自部署の利益(営業目標達成)だけを考えるのではなく、「会社全体にとって何が最善か」という視点から物事を判断することが最も重要です。
- 事実(ファクト)ベースで議論する:「~だと思う」「~らしい」といった憶測や感情論で判断せず、客観的なデータや事実を収集し、それに基づいて議論や交渉を行う姿勢が求められます。「バグの具体的な内容」「売上データの詳細」などを確認する行動は高く評価されます。
- WIN-WINの解決策を探る:対立をゼロサムゲーム(どちらかが得をすれば、どちらかが損をする)と捉えず、両者の懸念を解消できる第三の道や代替案を創造しようと努力する姿勢が、リーダーシップの発揮に繋がります。
- 関係者への敬意を忘れない:異なる意見を持つ相手であっても、その立場や専門性を尊重し、敬意をもって対話することが、円滑な合意形成の土台となります。

