【不正疑惑Lv2】部下の経費不正疑惑への初動対応を問う問題

【不正疑惑Lv2】部下の経費不正疑惑への初動対応を問う問題 インバスケット演習

あなたは、食品メーカー「株式会社みらいフーズ」の営業企画課の課長です。1ヶ月前に課長に昇進したばかりで、チームメンバー(8名)との信頼関係を構築している最中です。

本日は、午後から重要な取引先との合同戦略会議があり、終日外出する予定です。出社の後、会議の準備をしていると、PCに未読メールが1件届いていることに気づきました。会議の準備を終え、出発するまでの残り時間は3分です。この時間内で、このメールを処理し、必要な指示を出さなければなりません。

差出人: 中村 静香(営業企画課・事務担当)
日時: 20XX年10月26日 09:05
件名: 【ご相談】若林さんの出張経費精算の件


山田課長

おはようございます。朝から失礼いたします。
少し気になっていることがあり、課長にだけご相談させてください。

チームのエースである若林さんの出張経費精算についてなのですが、ここ数ヶ月、少し不可解な点が見られます。

具体的には、地方出張の際のタクシー代の領収書です。
例えば、先月のA市への出張では、駅からホテルまでの同じ区間のはずなのに、往路と復路で料金が2,000円近く違うことがありました。また、B市への出張では、明らかに深夜ではない時間帯に「深夜割増」と手書きで追記された領収書が提出されていました。

もちろん、交通事情などで変動はあるかと思いますし、私の見間違いかもしれません。確証があるわけではないので、本人に直接聞くこともできず、どうしたものかと悩んでおります。

若林さんは成績も優秀で、チームのムードメーカーでもあるので、この件でチームの雰囲気が悪くなるのは避けたいです。
お忙しいところ恐縮ですが、一度ご相談させていただけますでしょうか。

よろしくお願いいたします。

中村 静香
営業企画課

A

中村さんに返信し、「相談ありがとう。外出後、改めて話を聞きます。それまでに、ここ3ヶ月分の若林さんのタクシー代の領収書のコピーと、区間、日時、金額をまとめたリストを準備しておいてください」と指示を出す。
B

外出前に若林さんを自席に呼び、中村さんから相談があったことは伏せた上で、「最近の経費精算について少し確認したい点がある」と伝え、単刀直入に事実確認を行う。
C

すぐに自分の上司である営業部長に電話し、「部下の経費不正疑惑について部内から相談がありました。今後の対応についてご指示をいただけますでしょうか」と報告し、判断を仰ぐ。
回答と解説を見る

正解:A

選択肢Aがベストです。

選択肢Aがベスト

このケースでは、まず客観的な事実を固めることが最優先です。選択肢Aは、管理職として冷静かつ論理的に問題解決にアプローチする姿勢を示しており、最も評価される行動です。

  • 事実確認の原則: 現時点ではあくまで「疑惑」であり、確たる証拠はありません。感情や憶測で動くのではなく、まずは客観的なデータ(ファクト)を集めることが鉄則です。この初動を誤ると、事実無根だった場合に、関係者全員との信頼関係を失いかねません。
  • 相談者への配慮: 勇気を出して相談してくれた中村さんの立場を守りつつ、彼女の負担を考慮しながら協力を依頼する姿勢が重要です。「相談ありがとう」という一言で、心理的安全性を担保し、今後の協力関係を築くことができます。
  • 拙速な行動の回避: 選択肢Bのように本人に直接問いただすのは、証拠が不十分な段階では非常にリスクが高い行動です。反発を招いたり、証拠隠滅の機会を与えたりする可能性があります。また、選択肢Cのようにすぐに上司に丸投げするのも、課長としての主体性や問題解決能力を疑われる可能性があります。まずは自身の責任範囲で状況を把握し、整理した上で上司に報告・相談するのが管理職の正しいステップです。

したがって、まずは事実を固め、その上で本人へのヒアリング、上司への報告といった次のアクションプランを冷静に検討すべきです。

重要度:高 / 緊急度:低

重要度:高

経費の不正使用は、金額の大小に関わらずコンプライアンスに関わる重大な問題です。もし事実であれば、本人の懲戒処分に繋がるだけでなく、チーム全体の士気や規律の低下を招きます。放置すれば不正が常態化し、組織全体に悪影響を及ぼすリスクがあるため、重要度は「高」と判断されます。

緊急度:低

現時点ではあくまで「疑惑」の段階であり、今すぐに対処しないと会社に致命的な損害が出るという状況ではありません。また、相談者も内密な対応を望んでいます。拙速な対応は、かえって状況を悪化させたり、人間関係をこじらせたりするリスクの方が高いです。したがって、急いで行動するよりも、慎重に事実確認を進めるべき案件であり、緊急度は「低」と判断されます。

管理職として部下の不正疑惑に直面した際は、冷静さ、客観性、そして慎重さが何よりも求められます。アセスメント試験では、以下の行動原則を意識すると評価が高まります。

  • 1. まずは事実(ファクト)を集める: 憶測や感情で判断せず、客観的な証拠やデータを収集することを最優先に行動しましょう。「いつ、どこで、誰が、何をしたのか」を具体的に示す証拠が、その後の全ての判断の土台となります。
  • 2. 相談者を守る: 内部からの相談は非常に勇気がいる行動です。相談者の匿名性を守り、不利益が生じないよう最大限配慮する姿勢を見せることが、組織の自浄作用を維持するために不可欠です。「相談してくれてありがとう」という感謝の言葉と、守秘義務を徹底する約束を伝えましょう。
  • 3. 決めつけない姿勢(無罪推定): 証拠が固まるまでは、対象者を「クロ」と決めつけず、あくまで「確認」というスタンスで臨むことが重要です。先入観は正しい判断を妨げます。
  • 4. 報告・相談のタイミングを見極める: 何かあったらすぐに上司に報告するのは一見正しい行動に見えますが、管理職としては「状況を整理し、事実関係を把握し、自分なりの見解や対応案を持った上で」報告することが期待されます。一次情報を自分でしっかりグリップすることが、上司からの信頼に繋がります。

この種の案件は、あなたのマネジメントとしての器、特に公平性やリスク管理能力が問われる場面です。冷静かつ誠実な対応を心がけてください。

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