あなたは、IT企業「株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ」のシステム開発第二部・開発第一課の課長です。現在、あなたは3日間の海外出張から戻り、自席で溜まったメールの処理を始めようとしています。
時刻は金曜日の午前10時。メール処理に与えられた時間は4分です。
あなたの課では現在、最重要顧客である大手物流会社「グローバル・ロジスティクス」向けの次期基幹システム『GL-Next』の開発プロジェクトが進行中です。このプロジェクトは社運を賭けた大型案件であり、来週末にβ版の第一回納品という重要なマイルストーンを控えています。
差出人: 佐藤 健太 <k.sato@nextvision-sol.co.jp>
日時: 金曜日 09:45
件名: 【至急・ご相談】GL-Nextプロジェクトの進捗遅延について
山田課長
出張お疲れ様です。
ご多忙のところ大変恐縮ですが、至急ご相談したい件がありご連絡いたしました。
担当しております『GL-Next』プロジェクトの中核機能である「自動配車最適化モジュール」の開発において、予期せぬ技術的課題が発生し、進捗に深刻な遅れが生じております。
【状況】
外部の地理情報APIとの連携部分で、仕様書に記載のないデータ形式の不整合が多発しており、その解析と対応に想定を大幅に超える工数がかかっております。チームで連日対応しておりますが、現時点で約3営業日の遅延が見込まれる状況です。
このままでは、来週末に予定されているβ版の第一回納品に間に合わない可能性が非常に高いです。
【私見】
私個人が土日も作業にあたることで、何とか納期に間に合わせられるかもしれませんが、品質の低下や、新たなバグを生むリスクも懸念されます。どのように進めるべきか、課長のご判断をいただきたく存じます。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご指示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
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システム開発第二部 開発第一課
佐藤 健太
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
【解説】
管理職が問題の報告を受けた際の鉄則は、①状況の正確な把握 → ②原因の分析 → ③対策の立案と実行というプロセスを冷静に踏むことです。
- 選択肢Cは、部下の責任感に期待するだけで、マネジメントを放棄しています。部下一人に過度な負担を強いるだけでなく、品質低下やさらなる問題発生のリスクを放置しており、組織的な問題解決とは言えません。
- 選択肢Bは、社内での事実確認や対策の検討が不十分なまま、拙速に顧客へネガティブな報告をしており、悪手です。具体的なリカバリープランを提示できないまま謝罪や交渉をしても、顧客の不安を煽り、信頼を大きく損なう危険性があります。
- 選択肢Aは、まず報告者である部下を気遣いつつ、パニックにならずに事実確認を優先する姿勢を示しています。さらに、問題を一人で抱え込ませず、専門知識を持つ他部署も巻き込んで組織として対応しようとしており、最も合理的かつ効果的な初動です。この場で課題の全体像を把握し、複数の対策案を検討した上で、顧客への説明方針を決定するのが管理職の役割です。
重要度:高 / 緊急度:高
- 重要度: 高
- 緊急度: 高
【解説】
この案件は、会社の将来を左右する可能性のある最重要顧客との大型プロジェクトに関するものです。納期遅延は顧客との信頼関係に深刻なダメージを与え、契約や今後の取引にまで影響を及ぼす可能性があるため、重要度は「高」です。
また、納品期限が来週末に迫っており、対応が1日遅れるごとにリカバリープランの選択肢が狭まっていきます。迅速な意思決定と行動が求められるため、緊急度も「高」と判断します。まさに、他のどの案件よりも優先して、直ちに着手すべきマターです。
納期遅延や進捗遅れといったネガティブな報告は、管理職の腕の見せ所です。アセスメント試験では、以下の観点から思考・行動できるかが評価されます。
- 心理的安全性の確保
部下が問題を報告してきた際、第一声で「報告ありがとう。大変だったな」と労いの言葉をかけることが極めて重要です。ここで決して責めたり、犯人捜しをしたりしてはいけません。問題が起きた時にすぐに報告が上がる「風通しの良い組織」を作ることが、結果的に被害を最小限に抑えます。 - 一次情報と事実の確認(Fact Finding)
部下からの報告はあくまで一次情報です。感情や憶測を排し、「何が」「なぜ」「どの程度」問題なのかを客観的なデータや事実ベースで把握することに努めましょう。「個人的な見解では」と「確定している事実」を切り分けてヒアリングすることが肝要です。 - 組織としての対応
問題は担当者個人のものではなく、チーム、そして組織のものです。「自分一人で何とかしろ」ではなく、「チームでどう乗り越えるか」という視点に立ち、必要なリソース(人員、技術、時間)を適切に配分するのが管理職の責務です。関係者を適切に巻き込み、最適な解決策を導き出しましょう。 - 顧客への報告は「対策案」とセットで
顧客への報告は、もちろん迅速であるべきですが、それは「社内で状況を把握し、リカバリープランの目処が立った後」が原則です。単なる問題発生の報告と謝罪だけでは、相手を不安にさせるだけです。現状、原因、対策、そして今後の見通しをセットで説明することで、顧客との信頼関係を維持しやすくなります。

