あなたは、ITソリューション企業「株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ」の法人営業第二部長です。1週間の海外出張から今朝帰国し、自席で未処理のメールを確認しているところです。
あなたの部署は、会社の売上の約3割を占める最重要クライアント「株式会社グローバルトレード」を担当しており、現在、同社の基幹システムリニューアルプロジェクト(コードネーム:Phoenix)が進行中です。あなたは、このプロジェクトの総責任者でもあります。
【現在の状況】
- あなたの役職: 法人営業第二部 部長
- 時刻: 月曜 午前9時30分
- 制限時間: あなたは午前10時から経営会議に出席する必要があり、それまでにこのメールへの対応方針を決め、部下に指示を出す必要があります。
差出人: 佐藤 祐介 (法人営業第二部 課長) <y.sato@nextvision.co.jp>
日時: 月曜 午前9時15分
件名: 【至急ご相談】Phoenixプロジェクトの進捗遅延について
鈴木部長
海外出張お疲れ様でした。
ご不在中に恐縮ですが、至急ご判断をいただきたい件があり、ご連絡いたしました。
最重要案件であるグローバルトレード様向けの「Phoenixプロジェクト」ですが、開発を担当している技術開発部の高橋リーダーから、進捗に遅れが出ていると内々の報告を受けました。
報告によると、遅延の主な原因は以下の2点とのことです。
- 技術的課題: 新規導入したフレームワークの仕様が想定より複雑で、一部機能の実装に手こずっている。
- 人的要因: 開発チームのキーマンであるXさんのパフォーマンスが、ここ2週間ほど著しく低下している。(家庭の事情との噂もありますが、詳細は不明です)
高橋リーダーは「まだリカバリー可能な範囲であり、今週中に巻き返す」と話してはいますが、彼の表情は硬く、私としては楽観視できない状況だと感じています。
最悪の場合、第一次納品(来月末)に1〜2週間の遅れが生じる可能性も否定できません。
さらに悪いことに、先ほどグローバルトレードの山田部長から直接連絡があり、「来週月曜の定例で、詳細な進捗状況をデモを交えて報告してほしい」とのご要望がありました。
この状況で、来週の定例報告をどのように乗り切るべきか、またクライアントにどこまで正直に話すべきか、鈴木部長のご判断をいただきたく存じます。
本日午前中に、一度お時間をいただけませんでしょうか。
よろしくお願いいたします。
——————–
佐藤 祐介
法人営業第二部 課長
——————–
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
選択肢Cがベスト
このケースでは、まず正確な事実確認を行う選択肢Cが最も優れた判断です。管理職として、憶測や又聞きで重要な意思決定を下すべきではありません。
【解説】
- 1. 迅速かつ正確な状況把握:
問題解決の第一歩は、現状を正確に把握することです。選択肢Cは、当事者である営業(佐藤)と開発(高橋)を直接集めることで、情報の精度を高め、認識のズレを防ぐことができます。これにより、遅延の根本原因(技術的な問題なのか、人的な問題なのか、あるいはその両方か)を特定し、的確な対策を打つための土台を築くことができます。 - 2. 組織的対応の第一歩:
この問題は営業部だけ、あるいは技術部だけで解決できるものではありません。部長であるあなたが主体となって両部署の責任者を集めることで、「会社全体の問題として取り組む」という明確なメッセージを発信し、組織的な協力体制を構築するきっかけになります。 - 3. リスクの回避:
選択肢Bは、現場任せであり、問題の深刻さを見誤るリスクがあります(責任放棄と見なされる可能性も)。選択肢Aは、誠実に見えますが、不確定な情報でクライアントの不安を煽り、事態を悪化させる危険性があります。対外的な報告は、必ず事実確認と対策案をセットで行うのが鉄則です。
したがって、限られた時間の中で最も効果的かつリスクの少ない行動は、関係者から直接ファクトを集め、次のアクションを決定するCとなります。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度:高
会社の売上の3割を占める最重要顧客の基幹プロジェクトであり、この案件の成否が事業全体に与えるインパクトは計り知れません。納期遅延は、金銭的な損失だけでなく、企業としての信頼を根本から揺るがす重大な問題です。
緊急度:高
来週月曜にはクライアントへの進捗報告が迫っています。それまでに、①現状把握、②原因分析、③対策立案、④報告方針の決定、という一連のプロセスを完了させる必要があります。時間が経てば経つほど、打てる対策は限られていきます。即時のアクションが求められます。
納期遅延や進捗遅れといったトラブルは、どんなプロジェクトでも起こり得ます。管理職として重要なのは、問題が発生した際に冷静かつ論理的に対処する能力です。
【基本的なマインドセット】
- 悪い報告こそ早く (First Report): ただし、これは社内に限った話です。問題の兆候を察知したら、すぐに情報を集め、上司や関係者に共有する文化を醸成することが重要です。
- 犯人探しをしない:「誰が悪いのか」を追及するのではなく、「なぜ問題が起きたのか」「どうすれば解決・再発防止できるのか」という視点で議論を進めましょう。特に、個人のパフォーマンス低下が原因の場合、その背景にある事情(健康問題、家庭の事情など)にも配慮する姿勢が求められます。
- 一人で抱え込まない: 部長や課長といえども、一人でできることには限界があります。関係者を適切に巻き込み、チームや組織として問題解決にあたる姿勢が、最終的により良い結果を生みます。
【アセスメントで加点されやすい行動原則】
この種の課題では、以下の思考プロセスを具体的に示すことが高評価につながります。
- 事実確認 (Fact Finding): まずは何が起きているのかを客観的なデータや関係者からのヒアリングで正確に把握する。
- 影響分析 (Impact Analysis): その事実が、納期、品質、コスト、顧客満足度などにどのような影響を与えるのかを分析・評価する。
- 対策立案 (Planning): 短期的なリカバリープラン(人員追加、仕様変更など)と、長期的な再発防止策を検討する。
- 意思決定と指示 (Decision & Direction): 複数の選択肢の中から最適なものを選び、誰が・いつまでに・何をすべきかを明確に指示する。
- 報告・連携 (Reporting & Communication): 決定した方針を、上司、部下、関係部署、そしてクライアントなど、ステークホルダーに適切なタイミングと方法で説明し、協力を仰ぐ。

