あなたは、本日付けで大手ITソリューション企業「株式会社ネクストビジョン・テクノロジーズ」のシステム開発本部 第2開発部 開発1課の課長に昇進しました。
前任の山田課長は家庭の事情で昨日急遽退職し、十分な引き継ぎは行われていません。
【あなたの状況】
- 本日は課長としての勤務初日です。
- あなたは、9:00から17:00まで終日、新任管理職研修に参加する予定です。研修中はPCやスマートフォンの使用が一切禁止されています。
- 現在時刻は午前8:30。業務を開始できるのは、研修が始まるまでの残り5分間だけです。
- この5分間でメールを確認し、必要な対応・指示を部下に出さなければなりません。部下への指示は社内チャットツールで行うものとします。
差出人: 営業本部 第1営業部 部長 鈴木 健太郎 <k-suzuki@nextvision-tech.co.jp>
日時: 昨日 18:30
宛先: システム開発本部 第2開発部 開発1課 山田課長(前任者)
CC: あなた(新任課長)
件名: 【至急・要回答】基幹システム刷新プロジェクト「Project Phoenix」の進捗遅延について
山田課長(CC: 新任課長殿)
いつもお世話になっております。
営業本部の鈴木です。
最重要顧客である株式会社グローバル・コマース様向けの基幹システム刷新プロジェクト「Project Phoenix」の件で、緊急の連絡です。
貴課が担当されている「顧客管理モジュール」の開発が、当初の計画から既に2週間遅延していると、弊社担当の佐藤から深刻な報告を受けました。
ご存知の通り、このモジュールはプロジェクト全体のクリティカルパス上にあり、ここでの遅延はシステム全体のリリースを1ヶ月以上遅らせる致命的な影響を及ぼします。
グローバル・コマース様からは「何があっても納期は厳守」という極めて強い要求を受けており、万が一遅延が現実となれば、数億円規模の違約金発生に加え、今後の全取引が停止となるリスクも否定できません。
開発1課のチームリーダーである田中さんからは、「予期せぬ技術的課題の発生と、慢性的なリソース不足が原因」との説明を受けましたが、営業部門としては到底受け入れられる状況ではありません。
つきましては、明日(本日)の午前中までに、具体的なリカバリープランと、確約できる最終納期を提示してください。
万が一ご提示いただけない場合、本件は取締役会へ緊急動議としてエスカレーションせざるを得ませんので、ご承知おきください。
以上、よろしくお願いいたします。
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
この選択肢が最も優れている理由は、管理職として求められる以下の3つの基本原則をバランス良く満たしているためです。
- 事実ベースの判断 (Fact-Based Decision Making)
新任課長であるあなたは、プロジェクトの現状を全く把握していません。このような状況で最も重要なのは、推測や感情で動かず、まずは正確な情報を収集することです。選択肢Aは、チームリーダーに対して課題、原因、必要リソースといった具体的な情報の整理を指示しており、的確な現状把握を最優先する姿勢が評価できます。 - 誠実なステークホルダー・マネジメント (Stakeholder Management)
鈴木部長の「午前中までに」という要求に対し、安易に「やります」と約束するのは無責任です(選択肢Bの欠点)。一方で、無視するのは最悪の対応です。選択肢Aは、自身が新任であること、これから状況把握に努めることを正直に伝え、「17時以降」という現実的な報告期限を自ら設定しています。これにより、相手の要求を無視することなく、誠実な対話の姿勢を示し、一方的なエスカレーションを抑止する効果が期待できます。 - 部下への適切な権限移譲と配慮 (Delegation & Consideration)
高圧的に「プランを作れ」と指示する(選択肢B)のではなく、「現状を整理して報告してほしい」と依頼することで、部下はパニックにならず、落ち着いて情報を整理できます。また、「鈴木部長には私から連絡する」と伝えることで、部下を矢面に立たせず、自分が責任者として外部との調整役を担うという強いリーダーシップを示しており、部下の心理的安全性を確保し、信頼関係を築く第一歩となります。
選択肢Bは安請け合いと丸投げ、選択肢Cは自身の時間的制約を無視した拙速な判断であり、かえって現場を混乱させるリスクが高く、管理職としての判断力に欠けると評価されます。
重要度:高 / 緊急度:高
この案件は「重要度:高」「緊急度:高」に位置づけられます。
- 重要度:高
理由はこの問題が事業の根幹を揺るがすポテンシャルを秘めているためです。具体的には、- 数億円規模の違約金発生リスク
- 最重要顧客との取引停止リスク
- 取締役会へのエスカレーションによる経営問題化
といった要素があり、単なる一プロジェクトの遅延ではなく、会社の経営に直接的な打撃を与える可能性が極めて高い案件です。
- 緊急度:高
理由は、営業部長から「本日の午前中まで」という明確かつ非常に短い時間的制約が課せられているためです。この期限内に何らかの一次対応を行わなければ、関係部署との信頼関係が崩壊し、問題がさらに悪化・複雑化することは確実です。即座の判断と行動が求められています。
納期遅延や進捗遅れといった問題は、管理職が直面する最も典型的で困難な課題の一つです。アセスメント試験では、このようなプレッシャー下でいかに冷静かつ論理的に立ち回れるかが評価されます。
【持つべきマインドセット】
- 情報収集を最優先する: パニックに陥り、すぐ解決策に飛びつきたくなりますが、それは罠です。まずは「何が起きているのか?」という事実(Fact)を正確に把握することに全力を注いでください。不正確な情報に基づく判断は、ほぼ確実に失敗します。
- 一人で抱え込まない: あなたはスーパーマンではありません。部下、同僚、時には上司や他部署の力も借りるのが管理職の仕事です。誰に、何を、どのように依頼・相談するのが最適かを常に考えましょう。
- 誠実さが最大の武器: 都合の悪いことを隠したり、その場しのぎの嘘をついたりするのは最悪手です。できないことはできないと正直に伝え、代替案や今後のプランを誠実に示す姿勢が、最終的に関係者の信頼を勝ち取ります。
【アセスメントで加点される行動原則】
- 一次対応の速さと質: 関係者を放置せず、まず一報を入れること。「状況を確認し、XX時までに改めてご連絡します」という連絡だけでも、相手の心証は大きく変わります。
- 問題の構造化: 発生した事象(遅延)だけでなく、その背景にある「原因」や「課題」を切り分けて考える能力を示しましょう。部下への指示も「どうする?」ではなく、「原因は何?」「ボトルネックはどこ?」といった構造的な問いかけができると評価が高まります。
- 役割分担の明確化: 自分がやるべきこと(対外的な交渉や意思決定)と、部下に任せるべきこと(現場情報の収集や実務作業)を明確に切り分け、指示を出すことが重要です。
- 再発防止への視点: 目先の火消しだけでなく、「なぜこの問題が起きたのか?」「今後、同様の問題を防ぐためにはどうすれば良いか?」といった、一歩先の再発防止策まで言及できると、より高い視座を持つ人材として評価されます。

