あなたは、食品メーカー「株式会社ウェルネスフーズ」のマーケティング部 販売促進課の課長に本日付で着任しました。前任者は家庭の事情で急遽退職となり、十分な引き継ぎは受けられていません。
早速ですが、本日は午後から大阪支社へ日帰り出張です。あなたは今、東京駅を出発した新幹線の中にいます。大阪に到着するまでの3分間で、未処理のメールを確認し、対応方針を判断してください。
なお、新幹線の車内では電話をすることはできません。PCでのメール返信やチャットは可能です。
差出人: 山田 太郎 (営業第一課 課長)
日時: 20XX年10月26日 09:15
件名: 【ご相談】新製品『ほっこり野菜スープ』の販促チラシについて
マーケティング部 販売促進課
(あなたの名前)課長
着任おめでとうございます。
営業第一課の山田です。
早速で大変恐縮なのですが、一点ご相談させてください。
来月発売予定の新製品『ほっこり野菜スープ』の販促チラシについてです。
先日、開発部の鈴木さんからドラフトが共有されたのですが、営業の現場からは「専門的な表現が多くて、お客様に商品の良さが伝わりにくい」という声が多数上がっています。
例えば、「凍結含浸法で野菜の細胞壁を壊さず調理」といった表現が使われているのですが、これではスーパーの店頭で手にとった主婦層には響きません。
この点を開発部の鈴木さんに伝えたところ、「技術的な正確性が製品の信頼性に繋がる」との一点張りで、なかなか表現を修正していただけない状況です。
つきましては、マーケティング部のお立場から、開発部の鈴木さんへチラシの表現をより消費者向けに分かりやすくするよう、うまくお伝えいただくことは可能でしょうか。
発売日も迫っており、少し焦っております。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
————————————
株式会社ウェルネスフーズ
営業本部 営業第一課
課長 山田 太郎
————————————
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bがベスト
この状況における管理職の初動として、選択肢Bが最も適切です。
理由は以下の通りです。
- 情報収集と事実確認の徹底: 管理職の意思決定において最も重要なのは、正確な情報に基づいていることです。山田課長からのメールはあくまで営業部側の一方的な視点です。なぜ開発部の鈴木さんが「技術的な正確性」にこだわるのか、その背景や意図を直接確認しないまま行動を起こすのは、誤った判断につながるリスクがあります。まずは双方から公平に話を聞き、事実(Fact)と意見(Opinion)を整理することが不可欠です。
- 公平性と信頼関係の構築: 新任の管理職として、他部署との信頼関係を築く上で「公平な姿勢」を示すことは極めて重要です。一方の部署の言い分だけを鵜呑みにして動くと、「マーケティング部は営業部の味方だ」と開発部に認識され、今後の連携に悪影響を及ぼす可能性があります。両者の間に立ち、双方の意見を尊重する姿勢を見せることで、部署間の橋渡し役としての信頼を得ることができます。
- 根本的な問題解決へのアプローチ: 選択肢Aは短絡的であり、開発部の反発を招くだけで問題がこじれる可能性があります。選択肢Cは一見すると積極的ですが、マーケティング部が勝手に代替案を作ることは、両部署の当事者意識を削ぎ、根本的な協力関係の構築にはつながりません。部署間の対立の芽は、当事者同士が納得する形で解決してこそ、組織全体の力が向上します。Bの行動は、そのための第一歩です。
重要度:低 / 緊急度:低
重要度:低 / 緊急度:低
この案件は、4象限マトリクスにおいて「重要度:低、緊急度:低」に分類されます。
- 重要度(低): 会社の業績や存続を揺るがすような、致命的な問題ではありません。あくまで販促物の一表現に関する部署間の意見の相違であり、現時点で大きな事業リスクにはなっていません。
- 緊急度(低): 「発売日も迫っており」とあるものの、今日明日中に解決しなければならない、というほどの切迫感はありません。まずは関係者のアポイント調整から着手するなど、数日間のスパンで落ち着いて対応することが可能です。
【解説】
難易度1の問題として、この案件は「すぐに対応しないと大問題になる」ものではありません。しかし、放置すれば部署間の溝が深まり、将来的に大きな非効率や対立を生む火種になり得ます。新任管理職が最初に着手する案件として、丁寧なコミュニケーションと調整能力を発揮する良い機会と捉えるべきです。焦って短期的な解決を図るのではなく、腰を据えて本質的な関係構築を目指す姿勢が評価されます。
部署間の利害が対立する場面は、管理職にとって日常茶飯事です。このような状況に直面した際に、評価される管理職は以下のマインドセットと行動を心がけています。
- 自分が「裁判官」ではなく「ファシリテーター」であると心得る
どちらが正しくてどちらが間違っているか、という白黒をつける役割ではありません。双方の意見を引き出し、議論を整理し、組織全体にとっての最適解(Win-Winの着地点)を全員で見つけるための「場作り」をするのが管理職の役割です。 - 「部署の目的」の上位にある「会社の目的」に立ち返らせる
営業部は「顧客に分かりやすく伝えたい」、開発部は「製品の価値を正確に伝えたい」。どちらも「良い製品を顧客に届け、売上を上げたい」という会社全体の目的のための手段です。この共通の目的に立ち返ることを促し、対立構造から協調体制へと意識を転換させることが重要です。 - まずは「傾聴」に徹する
すぐに解決策を提示するのではなく、まずは双方の担当者が「なぜそう考えるのか」という背景や想いを十分に話せる機会を設けます。相手に「自分の言い分をしっかりと聞いてもらえた」と感じてもらうことが、信頼関係の第一歩です。
アセスメント試験では、目先のタスクを処理する能力以上に、こうした「組織全体を俯瞰し、円滑な人間関係を構築して、長期的な成果を生み出す能力」が見られています。安易な解決策に飛びつかず、丁寧なプロセスを重視する姿勢をアピールしましょう。

