あなたは、IT企業「ネクストビジョン・ソリューションズ株式会社」のシステム開発第二部の課長です。昨日付で前任者の急な異動に伴い、本日が着任初日となります。
出社後、部長への挨拶を済ませたところ、「まずは前任者宛に溜まっているメールの処理から始めてほしい。特に緊急性の高いものを見極めて、迅速に対応してくれ」と指示を受けました。
あなたは自身のPCを立ち上げ、メールソフトを開きました。未読メールが30件以上溜まっています。
制限時間内に、優先順位をつけながら各案件を処理(どう対応するかを決定)してください。
【制限時間】 4分
【あなたの役職】 システム開発第二部 課長
差出人: 佐藤 健太 <k.sato@nextvision-sol.co.jp>
日時: 20XX年10月27日(金) 08:30
件名: 【ご報告とご相談】「プロジェクト・オリオン」の進捗遅延について
鈴木課長
着任早々、大変申し訳ありません。
システム開発第二部の佐藤です。
私がリーダーを担当しております、株式会社グローバル・マシナリー様向けの基幹システム連携プロジェクト「プロジェクト・オリオン」の進捗について、問題が発生したためご報告いたします。
結論から申し上げますと、現状のままでは来週末(11月3日)の納期に間に合わない可能性が非常に高い状況です。
現在、結合テストのフェーズなのですが、若手の高橋さんが担当したデータ連携モジュールから予期せぬ不具合が多数検出されております。原因は、高橋さんの経験不足による設計考慮漏れが主と考えられます。彼も責任を感じているようで、ここ数週間、連日深夜まで対応にあたっており、かなり疲弊している様子が見受けられます。
つきましては、リカバリー策として、本日以降、私が改修作業を全面的に巻き取り、明日からの土日も使って対応することで、何とか納期に間に合わせたいと考えております。
大変恐縮ですが、この方針で進めさせていただきたく、ご承認いただけますでしょうか。
お忙しいところ申し訳ありませんが、ご判断をいただけますと幸いです。
以上、よろしくお願いいたします。
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佐藤 健太
システム開発第二部 プロジェクトリーダー
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
この選択肢が最も優れている理由は、管理職として必要な3つの重要なステップを踏んでいる点にあります。
- 感情論の排除と事実の客観的把握:
部下からの「何とかします」という精神論に基づいた報告を鵜呑みにせず、まずは客観的・定量的なデータ(遅延日数、タスク量、影響範囲)を要求しています。これにより、問題の深刻度を正確に把握し、適切な対策を講じるための土台を築くことができます。 - 管理職としてのリスク管理:
顧客への影響範囲を確認する指示は、事業に対するリスクをマネジメントする上で不可欠です。最悪の事態を想定し、先手を打って顧客への説明や代替案の準備などを検討する視点を示すことは、管理職に強く求められる能力です。 - 部下の主体性の尊重と育成:
部下に状況整理を指示することは、彼自身に問題の全体像を冷静に分析させる機会を与え、リーダーとしての成長を促すことにも繋がります。すぐに介入(選択肢C)したり、丸投げ(選択肢B)したりするのではなく、まず部下に考えさせ、その報告を基に次の打ち手を決めるというプロセスは、組織的な問題解決能力を高めます。
選択肢Bは、部下のやる気を尊重しているように見えますが、根本原因(若手のスキル不足、過重労働)を放置し、同じ問題の再発を招く可能性が高い「場当たり的」な対応です。選択肢Cは、問題に真摯に向き合ってはいますが、着任初日の課長が即座に技術的な詳細に踏み込むのは非効率であり、リーダーである佐藤さんの役割を侵害しかねません。まずはマネージャーとして大局的な状況把握に徹するべきです。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度:高
- 主要顧客向けのプロジェクトであり、納期遅延は企業の信用問題に直結します。契約上のペナルティや、今後の取引縮小といった事業上の大きな損失につながるリスクを内包しており、極めて重要度の高い案件です。
緊急度:高
- 納期が来週末に迫っており、残された時間はわずかです。対応が1日遅れるごとに、リカバリーの選択肢は狭まっていきます。リーダーから承認を求められている状況であり、管理職として迅速な意思決定が求められます。
したがって、この案件は「重要度:高、緊急度:高」のマトリクスに位置づけられます。ただし、緊急度が高いからといって、管理職が自らプレイヤーとして現場作業に飛び込むべきではありません。この案件で求められるのは、迅速に状況を把握し、組織として最適なリソース配分や対応方針を決定・指示することです。
納期遅延や進捗遅れといった問題は、管理職が日常的に直面する典型的なトラブルです。アセスメント試験では、このような状況でいかに冷静かつ論理的に立ち振る舞えるかが評価されます。
以下の3つの行動原則を意識すると、高い評価を得やすくなります。
- 第一報は疑う(事実確認の徹底)
部下からの報告には、本人の主観や希望的観測、あるいは自己保身が含まれている可能性があります。「大丈夫です」「何とかします」といった言葉を鵜呑みにせず、「何をもって大丈夫だと言えるのか?」を定量的なデータ(数値、具体的な事実)で確認する姿勢が重要です。 - 「人」ではなく「事」に向かう
「誰が原因か(この場合は高橋さん)」という犯人探しに陥るのではなく、「何が問題で(事実)、なぜそれが起こり(原因)、どうすれば解決できるか(対策)」というプロセスで思考することが鉄則です。原因究明は必要ですが、それは個人を攻撃するためではなく、再発を防止する組織の仕組みを構築するためです。 - 短期視点と中長期視点を併せ持つ
目の前の火消し(納期遵守)は当然重要ですが、それと同時に「なぜこの問題が起きたのか」「部下のスキルセットに問題はなかったか」「チームの業務分担は適切だったか」といった中長期的な視点を持つことが管理職には求められます。今回のケースでは、佐藤リーダーの根性論に頼るだけでなく、若手社員の育成やチーム全体の業務負荷平準化といった、より本質的な課題解決の視点を示すことができれば、さらに評価は高まります。

