【納期遅延Lv5】複合的要因によるプロジェクト納期遅延

【納期遅延Lv5】複合的要因によるプロジェクト納期遅延 インバスケット演習

あなたは、AIソリューション開発大手「株式会社フューチャー・ダイナミクス」のAIソリューション事業部・第二開発課の課長です。
前任の課長が体調不良で本日付で急遽長期休職に入ったため、あなたが後任として本日着任しました。メンバーとの面識はまだありません。

あなたの課では、政府系機関「スマートシティ推進機構」から受注した国家プロジェクト級の大型案件「次世代都市交通AI制御システム『Odin』」の開発が進行中です。このプロジェクトは会社の威信をかけた最重要案件であり、納期遵守が絶対条件とされています。

しかし、着任早々、プロジェクトに深刻な問題が発生していることが判明しました。あなたの上司である鈴木事業部長は、本日より1週間の海外出張に出ており、緊急時以外の連絡は困難な状況です。

【制限時間】
あなたはこれから5分で、溜まっている未処理案件に対応しなければなりません。これはその中の一つです。

差出人: 佐藤 健太 <k.sato@future-dynamics.co.jp>
日時: 20XX年10月27日 09:15
件名: 【緊急・要対応】「Odin」プロジェクト予測最適化エンジンの進捗遅延に関する件


〇〇新課長

第二開発課の佐藤です。着任早々大変恐縮ですが、緊急でご判断いただきたい事項があり、ご連絡いたしました。
担当しております「Odin」プロジェクトの中核機能である「予測最適化エンジン」の開発が、計画に対し約3週間の大幅な遅延に陥っており、極めて危機的な状況です。

現状のままでは、プロジェクト全体の最終納期(3ヶ月後)に間に合わない可能性が非常に高いです。

遅延の要因は複合的ですが、主要因は以下の3点です。

  • 1. 担当エンジニアの不調:
    本モジュールの開発を一手に担っているエースの田中さんが、連日の高負荷により心身共に疲弊しきっており、パフォーマンスが著しく低下しています。今週は休みがちで、コミュニケーションも取りづらい状況です。彼の技術力なしでは、この難易度の高いモジュールは完成できません。
  • 2. 海外委託先の品質問題:
    インドの技術パートナー「Innovatech India」に委託している周辺モジュールの品質が契約基準を大幅に下回っており、受け入れテストと修正に想定外の工数がかかっています。先方とは品質基準の解釈を巡って意見が対立しており、関係が悪化しています。
  • 3. クライアントからの仕様変更要求:
    営業担当の山田さんが、クライアントからの度重なる仕様変更要求を調整なく現場に伝えてきており、その対応で手戻りが多発しています。昨日も新たな追加機能の要望がありました。

前任の課長にも相談しておりましたが、具体的な対策が打たれないまま今日に至ってしまいました。

つきましては、本日17:00から予定されているクライアントとの週次定例報告会で、私から現状をどのように報告すべきか、また、この状況を打開するために我々が取るべきアクションについて、本日15:00までにご指示をいただけますでしょうか。

現場としては八方塞がりの状況で、メンバーの士気も大きく下がっています。
お忙しいところ恐縮ですが、至急のご判断をお願い申し上げます。

—
佐藤 健太
AIソリューション事業部 第二開発課
プロジェクトリーダー

A

エースの田中をプロジェクトから一旦外し、残りのメンバーで遅延をリカバリーするよう指示する。同時に、田中のメンタルヘルスケアを人事部と連携して行う。
B

インドの委託先とのオンライン会議を直ちに設定し、品質問題と契約不履行について法務部を交えて強硬に是正を求め、改善が見られない場合は契約解除も辞さない姿勢を伝える。
C

まずプロジェクトリーダーの佐藤とエースの田中、営業の山田を個別に呼び、1on1で事実確認と状況ヒアリングを行う。その上で、関係者全員を集めた緊急対策会議を招集する。
回答と解説を見る

正解:C

選択肢Cがベストです。

選択肢Cがベスト

【解説】
この問題は、技術、ヒト(心身の健康)、外部連携、顧客折衝といった複数の経営課題が複雑に絡み合った、極めて難易度の高い状況です。新任管理職として最も重要なのは、不正確な情報や一方的な視点に基づいた拙速な判断を避け、問題の全体像と本質を正確に把握することです。

<なぜCが最適か>

  • 1. 状況把握の優先(Fact Finding):
    着任初日であるあなたは、佐藤リーダーからのメールという「一次情報」しか持っていません。AやBのような重大な決定を下すには、情報が圧倒的に不足しています。まずは田中さん本人、営業の山田さんなど、各当事者から直接話を聞き、事実(Fact)と感情(Feeling)を切り分けて状況を多角的に把握することが、課長としての最初の責務です。
  • 2. 組織的問題解決へのアプローチ:
    この問題は一人の担当者や一つの部署だけで解決できるものではありません。開発、営業、場合によっては法務や人事も巻き込んだ「組織」としてのアプローチが不可欠です。Cの行動は、関係者を集めて課題を共有し、チーム全体で解決策を模索するための「場」を設定する第一歩であり、管理職の最も重要な役割の一つである「ファシリテーション」能力を示すものです。
  • 3. 心理的安全性への配慮:
    特に疲弊している田中さんに対し、ヒアリングもせずにプロジェクトから外すという決定(A)を下すことは、彼のプライドを傷つけ、最悪の場合、離職に繋がる可能性があります。まずは1on1で彼の状況を傾聴し、寄り添う姿勢を見せることが、信頼関係を構築し、問題解決の糸口を探る上で不可欠です。

AやBは、状況を正確に把握した「後」に取るべき選択肢の一つではありますが、現時点で行うべき行動ではありません。まずCで土台を固め、その上で本日17時のクライアント定例で「現状の正確な報告」と「社内での具体的な再建策の検討を開始したこと」を誠実に伝えることが、現実的かつ最善の対応となります。

重要度:高 / 緊急度:高

重要度:高

会社の威信をかけた国家プロジェクト級の案件であり、失敗した場合の事業的インパクト(契約違約金、社会的信用の失墜、今後の受注機会の喪失など)は計り知れません。また、エース社員の離職リスク、海外パートナーとの関係悪化、重要クライアントとの信頼関係の毀損など、複数の経営レベルの重要課題を内包しています。

緊急度:高

「本日15時までの指示」「本日17時からのクライアント定例」という明確な時間的制約が存在します。また、プロジェクトの遅延は日に日に深刻化しており、放置すればリカバリー不可能な状態に陥るリスクがあります。さらに、中核メンバーのメンタルヘルス問題は、いつ重大な事態に発展してもおかしくないため、即時の対応が求められます。

この種の複合的な問題に直面した際、管理職としてパニックに陥らず、冷静かつ構造的に事態を捉える能力が試されます。アセスメント試験では、以下の思考と行動が評価されます。

  • 1. 思考停止しない・抱え込まない:
    「どうしようもない」と諦めたり、一人で全てを解決しようとしたりするのは最も危険です。管理職の仕事は、自分一人で問題を解決することではなく、関係者を巻き込み、組織の力で問題を解決する仕組みを作ることです。誰に、何を、どのように協力を仰ぐかを考えましょう。
  • 2. 対症療法と根本療法の切り分け:
    まずは「本日17時の報告会をどう乗り切るか」という短期的な課題(対症療法)と、「このプロジェクトをどう立て直すか」という中長期的な課題(根本療法)を明確に分けて考えましょう。両者を混同すると、場当たり的な対応に終始してしまいます。
  • 3. 情報収集の徹底:
    「報告=事実」とは限りません。特に人間関係が絡む問題では、報告者の主観や感情が入り混じっています。必ず複数のソースから情報を集め、客観的な事実(ファクト)を固めるプロセスを重視してください。「〜らしい」「〜のようだ」という情報で判断するのは厳禁です。
  • 4. 責任の引き受けと誠実さ:
    着任初日であっても、あなたは既にこの課の責任者です。クライアントへの報告会では、前任者のせいにしたり、言い訳をしたりせず、まずは責任者として現状を真摯に受け止め、今後の対策を誠実に説明する姿勢が求められます。この「覚悟」が、社内外からの信頼を得る第一歩となります。
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