あなたは、急成長中の大手SaaS企業「株式会社ネクストクラウド」の新規事業開発部に所属する佐藤 拓也です。
本日付けで、同部の課長に昇進・着任しました。しかし、前任の鈴木課長が体調不良を理由に昨日から急遽長期休職に入ったため、正式な引き継ぎはほとんど行われておらず、手元には簡単な業務リストのメモしかありません。
あなたが率いるチームは、会社の次世代の柱として社長も期待を寄せる、AI搭載型CRMシステム「Synergy-AI」の開発を担っています。このプロジェクトの成功は、会社の未来を左右する最重要ミッションです。
【制限時間】
あなたは出社後、未読メールのチェックを始めました。これから処理すべき案件(メール)が多数ありますが、まずは5分以内に、最も優先度が高いと思われる以下の案件について、あなたの最初の行動(初動)をA〜Cの中から1つだけ選んでください。
差出人: 田中 健一 <k.tanaka@next-cloud.co.jp>
日時: 20XX年10月26日 08:45
件名: 【至急共有とご相談】Synergy-AIプロジェクトの進捗について
佐藤課長
おはようございます。
チームリーダーの田中です。この度は課長へのご就任、誠におめでとうございます。これからご指導よろしくお願いいたします。
早速で大変恐縮なのですが、至急ご相談したい事項がございます。
現在進行中の「Synergy-AI」プロジェクトについて、極めて憂慮すべき事態が発生しました。
本プロジェクトの中核機能であるAIレコメンドエンジンの開発を委託しているパートナー企業「テックフォージ株式会社」より、昨日、前任の鈴木課長宛に「深刻な技術的課題が発生し、現行の仕様では解決が困難。当初のリリース予定日から最低でも2ヶ月の大幅な納期遅延は避けられない」との正式な連絡が入りました。
問題は、その連絡を受けた鈴木課長が「この件は俺が何とかするから、まだ上には言うな」と我々に指示し、情報を内々に留めたまま、本日からの長期休職に入ってしまったことです。そのため、佐藤課長へのご報告が遅れてしまいました。大変申し訳ございません。
チームメンバーはこの事実を知らされておらず、ただならぬ雰囲気だけを察して疲弊し、モチベーションが著しく低下しています。さらに、来週の火曜日には、社長も出席する役員向けのプロジェクト進捗報告会が控えております。
着任早々で大変恐縮ですが、我々はどう動くべきか、課長のご指示をいただけますでしょうか。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
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株式会社ネクストクラウド
新規事業開発部 チームリーダー
田中 健一
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正解:C
選択肢Cがベストです。
選択肢Cがベスト
このケースでは、まず組織の内部固めと正確な情報収集を最優先するべきです。着任初日という特殊な状況下で、最も重要なのは「判断の拠り所となる一次情報を集めること」と「チームの信頼を得ること」の2点です。
- 情報収集の優先順位: あなたはプロジェクトの詳細、チームの人間関係、前任者の仕事ぶりなど、何も知らない状態です。このような情報不足の状況で外部(選択肢A)や上層部(選択肢B)にアクションを起こすのは、誤った情報で判断を誤らせるリスクが非常に高く、極めて危険です。まずは、現場で何が起こっているのか、メールの文面だけではわからない「生の情報」(チームの士気、隠れた問題、人間関係など)を、当事者である田中さんやチームメンバーからヒアリングすることが不可欠です。
- 組織マネジメントの鉄則: 新任管理職の最初の仕事は、チームを掌握し、メンバーとの信頼関係を構築することです。メンバーが不安と疲弊に陥っている中、彼らを差し置いて外部や上司に動けば、「自分たちのことを見てくれていない」という不信感を与えかねません。まずチームと向き合う姿勢を示すことで、「このリーダーは信頼できる」という認識を植え付け、困難な状況を乗り越えるための土台を築くことができます。
- リスク管理の観点: 選択肢Aのように内部事情を知らないままパートナーと話せば、相手のペースで交渉が進んでしまう可能性があります。また、選択肢Bのように不確かな情報で上司に報告すれば、無用な混乱を招いたり、自身の管理能力を疑問視されたりするリスクがあります。内部の事実確認(Fact Finding)を徹底した上で、対応策の選択肢を持って上司に相談するのが、結果的に最も確実でスピーディな問題解決に繋がります。
選択肢AとCは、Bで内部の状況を把握した「後」に行うべきアクションです。
重要度:高 / 緊急度:高
【重要度】高
【緊急度】高
この案件は、典型的な「重要度も緊急度も高い」象限に位置づけられ、最優先で着手すべき問題です。
- 重要度(高)の理由:
この「Synergy-AI」プロジェクトは、会社の未来を左右する社長直轄の最重要案件です。プロジェクトの遅延は、会社の事業戦略、中期経営計画、収益予測に直接的な打撃を与えます。また、顧客や株主からの信頼を損なう可能性も高く、経営レベルでのインパクトが極めて大きいため、重要度は「高」と判断されます。 - 緊急度(高)の理由:
来週には役員報告会が迫っており、それまでに現状を正確に把握し、対応方針を策定し、上層部への報告内容を準備する必要があります。また、パートナー企業との関係悪化、チームメンバーのモチベーション低下によるさらなる生産性ダウンや離職といった二次災害を防ぐためにも、一刻も早い初動が求められます。問題を放置すればするほど、状況は指数関数的に悪化していくため、緊急度は「高」です。
納期遅延や進捗遅れといった問題は、管理職が必ず直面する課題です。このような危機的状況において、あなたの真価が問われます。アセスメント試験では、以下の行動原則が評価されます。
- 1. 冷静な事実確認(Fact Finding)を徹底する:
パニックに陥り、憶測や感情で動くのが最も危険です。まずは「誰が、何を、いつ、なぜ、どのように」といった5W1Hを冷静に整理し、客観的な事実(ファクト)と主観的な意見や感情を切り分けて情報を収集する姿勢が重要です。特に、悪いニュースほど複数の情報源から裏付けを取る慎重さが求められます。 - 2. まずは足元(チーム)を固める:
管理職の仕事は、チームの力を最大化して成果を出すことです。問題発生時こそ、チームメンバーと向き合い、不安を取り除き、情報を共有し、一体感を醸成することが不可欠です。「外」に動く前に、まず「内」を固める。この順番を間違えると、チームは崩壊し、問題解決はさらに困難になります。 - 3. 報告は「対策案」とセットで行う:
上司への報告は必須ですが、単に「問題が起きました、どうしましょう?」と丸投げするのは三流の対応です。「①現状の事実、②考えられる原因とリスク、③対応策の選択肢(A案、C案など)とそれぞれのメリット・デメリット、④自分として推奨する案とその理由」といった形で整理して報告・相談することで、問題解決能力と当事者意識の高さを示すことができます。 - 4. 責任の所在追及より、未来志向の解決を優先する:
問題発生時、犯人探しや責任追及にエネルギーを費やしても、事態は好転しません。まずは「どうすればこの状況を打開できるか」という未来志向の解決策(ソリューション)に焦点を当てることが重要です。原因究明や再発防止策の検討は、応急処置が完了してからでも遅くはありません。

