あなたは、中堅ITソリューション企業「株式会社テックフォワード」のシステム開発第2課の課長です。1週間前に着任したばかりの新人マネージャーで、まだメンバー全員のスキルや性格、担当業務を完全に把握できていません。
今日は金曜日の午後3時。あなたは午後から社外での重要な会議に参加しており、先ほど自席に戻ってきたところです。これから1時間後の午後4時には、部長への着任挨拶と担当プロジェクトの概要報告のアポイントが入っています。
これから部長報告までの限られた時間で、溜まっていた未読メールを確認し、必要な対応・指示を行う必要があります。
- あなたの役職: 株式会社テックフォワード システム開発第2課 課長
- 現在の時刻: 金曜日 午後3時00分
- 直近の予定: 午後4時00分から、部長への報告
- 制限時間: 3分
未読メール (1件)
差出人: 鈴木 健太 <k-suzuki@techforward.co.jp>
日時: 本日 14:30
件名: 【至急連絡】「スマートロジ」新機能開発プロジェクトの進捗について
本文:
〇〇課長
お疲れ様です。システム開発第2課の鈴木です。
会議中と存じますが、急ぎご報告したい事項があり、メールいたしました。
私が担当している、物流管理システム「スマートロジ」の追加機能開発プロジェクトにて、問題が発生しております。
連携予定の外部APIの仕様変更が当初の想定より複雑で、結合テストの段階で多数のエラーが検出されています。このままのペースでは、来週末に予定しているクライアントへのベータ版納品が、最低でも1週間は遅延する見込みです。
現在、若手の佐藤さんが中心となってエラー改修にあたっていますが、連日遅くまで対応しており、少し疲弊しているように見受けられます。私もフォローに入りたいのですが、別の保守案件も立て込んでおり、十分な時間を割けていない状況です。
つきましては、今後の対応方針についてご指示をいただけますでしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
————————————————–
鈴木 健太
システム開発第2課
————————————————–
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bがベスト
マネージャーとしての役割遂行と、限られた時間内での効率的な課題解決という観点から、選択肢Bが最も優れた判断です。
【解説】
- マネージャーの役割認識:
管理職の重要な役割は、自らがプレイヤーとして実務作業を行うことではなく、「状況を正確に把握し、方針を決定し、リソースを配分する」ことです。選択肢Bは、部下に情報収集と対策案の検討を指示しており、マネージャーとしての役割を的確に果たしています。選択肢Aのように、いきなり技術的な詳細に踏み込むのはマイクロマネジメントに陥る危険性があります。 - 優先順位付けと時間管理:
「納期遅延への対応」と「1時間後の部長報告」という2つのタスクを両立させる必要があります。選択肢Bは、電話で要点を押さえて指示を出すことで、部長報告の準備時間を確保しつつ、問題解決への初動を打つことができる、最もバランスの取れた行動です。 - 部下の育成:
部下の鈴木さんに対応策の検討を任せることは、彼の当事者意識を高め、問題解決能力を育成する良い機会となります。「丸投げ」ではなく、「権限委譲」として機能させるためには、何をいつまでに報告してほしいかを明確に伝えることが重要です。 - リスク管理の視点:
選択肢Cは、対応の遅れが致命傷になりかねません。問題発生時は、たとえ暫定的なものであっても、迅速な初動が被害を最小限に食い止めます。上司への報告は必要ですが、それは「自分の一次対応の方針」を携えた上で行うべきです。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度・緊急度マトリクス
- 重要度: 高
- 緊急度: 高
【解説】
本件は、「重要度も緊急度も高い」案件として、最優先で対応に着手すべきです。
<重要度が高い理由>
クライアントとの約束である「納期」に関わる問題であり、企業の信頼を直接損なうリスクがあります。また、報告内容に「メンバーの疲弊」という組織マネジメント上の課題も含まれており、放置すればチームの生産性低下や離職に繋がる可能性があるため、重要度は「高」と判断されます。
<緊急度が高い理由>
納期までまだ時間があるように見えますが、対応が1時間遅れるごとに、取れる選択肢は狭まっていきます。状況把握、クライアントへの連絡要否の判断、追加リソースの検討など、今すぐ着手すべきことが多数あります。そのため、緊急度は「高」と判断されます。
納期遅延や進捗遅れといったネガティブな問題に直面した際の対応は、管理職の能力が最も問われる場面の一つです。アセスメント試験では、以下の原則に基づいた行動が高く評価されます。
- 1. まずは「報告への感謝」を伝える
悪いニュースを報告することは勇気がいることです。部下が問題を報告してきた際には、決して責めたりせず、まずは「大変な中、報告してくれてありがとう」と感謝を伝えましょう。心理的安全性を確保し、問題が隠蔽されない風通しの良い組織文化を築く第一歩です。 - 2. 冷静に事実を把握する (Fact Finding)
パニックに陥り、感情的に指示を出すのは最悪の対応です。まずは落ち着いて、「何が起きているのか(事実)」「なぜ起きたのか(原因)」「どのような影響があるのか(影響範囲)」を客観的に把握することに努めましょう。 - 3. 役割分担を明確にする
マネージャーは全体を俯瞰し、意思決定に集中すべきです。現場の調査や対策案の洗い出しは部下に任せ、自分は関係各所への連絡や、リソースの再配分、最終的な方針決定といったマネジメント業務に専念しましょう。 - 4. 上司・関係者への報告を怠らない
自分で抱え込まず、適切なタイミングで上司や関係部署に状況を報告(エスカレーション)することが重要です。ただし、丸投げではなく「現状、ここまで分かっており、私はこう対応しようと考えています」という自分の意思を添えて報告することが、主体的なマネージャーとして評価されるポイントです。

