あなたは株式会社フロンティアテック、ソリューション開発部 第二開発課の課長「吉田 浩」です。この部署には「クラウド・コア」という、会社の売上の30%を占める基幹システムの開発を担うチームがあります。
課長に着任して半年。ようやくチームの状況を把握し始めた矢先、出社したあなたは、未読メールの山を前にしています。本日中に、これら未読メールを処理し、最適なアクションを取らなければなりません。
- あなたの役職: 株式会社フロンティアテック ソリューション開発部 第二開発課 課長「吉田 浩」
- あなたの現在の状況: 課長着任後半年、チームは安定期に入りつつあったが、重要なプロジェクト「クラウド・コア」は来月末の大規模アップデートを控えている。
- 制限時間: あなたに残された時間は、部内の会議までの2時間です。この間に、未読メールを確認し、最適な対応を選択してください。
未読メール一覧
メール1/3
- 差出人: 佐藤 健 <sato.ken@frontier-tech.co.jp>
- 日時: 〇月〇日(本日) 午前8:30
- 件名: 退職のご相談
- 本文:
吉田課長突然のご連絡となり、大変申し訳ございません。
私事で大変恐縮ですが、来たる〇月〇日(2週間後)をもって、株式会社フロンティアテックを退職させて頂きたく、ご相談に上がりました。理由は「一身上の都合」とさせて頂きたく、詳細な説明は差し控えさせてください。
「クラウド・コア」プロジェクトの重要な時期にこのような決断となり、チームの皆様、お客様には大変ご迷惑をおかけすること、深くお詫び申し上げます。可能な限り引き継ぎは行わせて頂く所存ですが、期間が短く、十分な対応ができない可能性もございます。何卒ご理解とご容赦をお願い申し上げます。
この決断は、熟慮の結果であり、私の意思は固まっております。
お忙しいところ恐縮ですが、一度お時間を頂けますでしょうか。佐藤 健
第二開発課
メール2/3
- 差出人: 鈴木 翼 <suzuki.tsubasa@frontier-tech.co.jp>
- 日時: 〇月〇日(本日) 午前8:45
- 件名: 佐藤さんの件について
- 本文:
吉田課長おはようございます。鈴木です。
先ほど、佐藤さんと少し話す機会があったのですが、もしかしたら退職を考えていらっしゃるのではないかという噂を耳にしました。
もし本当だとしたら、「クラウド・コア」プロジェクトの進行に大きな影響が出ますし、チームの皆もかなり動揺しているようです。エースである佐藤さんがいなくなるとなると、来月のアップデートも厳しくなります。何らかの対応が必要ではないでしょうか。
私を含め、他のメンバーも状況が分からず不安に感じています。課長から何らかの説明があると助かります。よろしくお願いいたします。
鈴木 翼
第二開発課
メール3/3
- 差出人: 石田 剛 (営業部長) <ishida.go@frontier-tech.co.jp>
- 日時: 〇月〇日(本日) 午前9:00
- 件名: 緊急:クラウド・コア 大規模アップデートに関する会議招集
- 本文:
第二開発課 吉田課長お疲れ様です。営業部の石田です。
来月予定されている「クラウド・コア」の大規模アップデートについて、顧客からの問い合わせが連日増加しており、営業現場で混乱が生じています。
先日確認したアップデートのスケジュールと内容について、改めて開発側からの説明が必要と考え、緊急会議を招集いたします。日時: 来週月曜日 午前10:00〜11:00
場所: 第3会議室
出席者: 私(石田)、営業部主要メンバー、第二開発課より吉田課長およびプロジェクト主要メンバー現在の進捗状況、特に重要な新機能に関する具体的な開発状況と、それに伴うリスクがあれば、会議までに整理しておいてください。
顧客への説明責任を果たすためにも、具体的な情報共有をお願いします。以上、よろしくお願いいたします。
石田 剛
営業部長
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aが最も優れています。
難易度5の問題において、単一の行動で全てを解決することは稀です。複数のステークホルダーへの配慮と、優先順位をつけた同時並行的な対応が求められます。選択肢Aは、以下の点で管理職として最適な判断と言えます。
- 状況把握と事実確認: まず佐藤社員と面談し、退職の意思を最終確認し、引き継ぎへの協力を仰ぐことは、今後の計画策定の第一歩として不可欠です。ただし、引き止め交渉に深入りしすぎず、相手の意思を尊重しつつ、現状の事実と意向を短時間で確認する姿勢が重要です。
- 迅速な報告と共有: エース社員の退職は部署内だけでなく、会社全体に影響を及ぼす重大事案です。上長と人事部に速報することで、組織としての対応(法務、採用、給与、慰留策など)を早期に開始できます。これにより、個人の判断だけでなく、会社の総力を挙げて問題に対処する道を開きます。
- ステークホルダーへの配慮:
- チームメンバー(鈴木社員からのメール対応): チームの動揺を放置することは、士気低下や連鎖退職のリスクを高めます。上層部との協議を待つ間に、鈴木社員へ個別に声かけし、状況を共有しつつ、適切な対応を検討中であることを伝えることで、不安の増大を抑制できます。
- 顧客(営業部長からのメール対応): 営業部長からの緊急会議招集は、顧客への影響を懸念するものです。佐藤社員の退職情報が確定する前から、プロジェクトの進捗に影響がないように見える説明を準備する必要があることを認識し、会議に備える必要があります。
- リスクマネジメント: 退職者の穴埋め、引き継ぎ、プロジェクトの遅延、顧客への影響、チームの士気低下といった複数のリスクを同時に最小化するための初動として、選択肢Aはバランスが取れています。
その他の選択肢の課題点
- 選択肢Cの課題: 退職の意思が固い場合、長時間の引き止め交渉は時間の無駄となり、上長や人事への報告が遅れることで組織としての対応が後手に回ります。また、個人への過度な依存は組織として健全ではありません。
- 選択肢Bの課題: 上長・人事への報告は重要ですが、佐藤社員本人とのコミュニケーションを全く取らずに進めることは、正確な状況把握を欠き、引き継ぎへの協力を得にくくなる可能性があります。また、メンバーへの配慮がないため、チームの不安がさらに増幅するリスクがあります。
重要度:高 / 緊急度:高
この案件は「重要度:高」「緊急度:高」に位置づけられます。
- 重要度:高
- 理由1:基幹プロジェクトへの影響
佐藤社員は会社の売上の30%を占める基幹システム「クラウド・コア」の開発リーダーであり、彼の離脱は来月の最重要アップデートの遅延、品質低下、ひいては会社の業績に甚大な影響を及ぼします。 - 理由2:組織の士気と人材流出リスク
エース級社員の突然の退職は、他のメンバーの士気を著しく低下させ、連鎖退職に繋がる可能性があります。組織の安定と成長に直結する人材マネジメント上の重要課題です。 - 理由3:顧客信頼の喪失リスク
プロジェクトの遅延や品質低下は、顧客からの信頼を損ない、将来のビジネス機会を失うことにも繋がります。
- 理由1:基幹プロジェクトへの影響
- 緊急度:高
- 理由1:退職希望までの期間の短さ
退職希望日まで2週間という極めて短い期間しかなく、引き継ぎ、後任者選定、プロジェクトの立て直しに猶予がありません。 - 理由2:社内での情報拡散と動揺
すでにチーム内で噂が広まり、メンバーが動揺している状況です。迅速な対応がなければ、不安が増大し、生産性低下やさらなる人材流出を招く可能性があります。 - 理由3:営業部長からの緊急会議招集
営業部からの緊急会議招集は、顧客への説明責任が求められていることを意味します。佐藤社員の退職が確定した場合でも、プロジェクトの進捗に影響がないように見える説明を早期に準備する必要があり、時間的制約があります。
- 理由1:退職希望までの期間の短さ
このため、「最優先で今すぐ取り組むべき課題」として、迅速かつ多角的な対応が求められます。
管理職として突然の退職申し出に直面することは、非常にデリケートかつ重要なマネジメント課題です。アセスメント試験では、以下の視点が評価のポイントとなります。
- 1. 感情的にならず、冷静に状況を把握する:
まずは退職の意思を尊重しつつ、本人から直接、事実関係(退職希望日、引き継ぎ意向など)を簡潔に確認します。感情的な引き止めや詰問は避け、傾聴の姿勢で臨むことが重要です。 - 2. 優先順位をつけた情報共有と連携:
個人情報に配慮しつつも、重大な事案であるため、迅速に上長や人事部門に報告し、組織としての対応方針を協議します。同時に、業務への影響範囲を最小限に抑えるため、関係部署(今回の場合は営業部)への情報共有のタイミングと内容も検討します。 - 3. リスクマネジメントと代替案の検討:
退職に伴う業務の停滞、プロジェクトの遅延、チームの士気低下、顧客への影響など、あらゆるリスクを想定し、後任者の選定、引き継ぎ計画、業務再配分などの代替案を速やかに検討・実行する計画を立てます。 - 4. チームメンバーへの配慮とケア:
エース社員の退職は、他のメンバーに動揺や不安を与えます。情報公開の範囲とタイミングを慎重に判断し、適切なメッセージを発することで、チームの士気維持と連鎖退職のリスクを低減します。個別の声かけや面談も有効です。 - 5. 短期・中期・長期の視点を持つ:
目の前の引き継ぎや業務穴埋めといった短期的な対応だけでなく、中長期的な視点から、人材育成計画の見直し、属人化の解消、チーム体制の強化など、組織力の向上に繋がる施策を検討する姿勢も求められます。
この手の問題では、「個人の意思の尊重」と「組織への影響最小化」という二律背反する課題にどうバランスよく対応するかが問われます。情報収集、迅速な報告、リスクヘッジ、ステークホルダーマネジメントを同時並行で進める力が、管理職として高く評価されるでしょう。

