【部署間対立Lv5】部署間対立の究極試練

【部署間対立Lv5】部署間対立の究極試練 インバスケット演習

あなたは、AIソリューション開発を手掛ける大手企業「株式会社ネクストビジョン・テクノロジーズ」の事業推進部・新任課長です。
現在、会社は社運を賭けた次世代AIアシスタント『Assistia(アシスティア)』の市場投入を目前に控えています。しかし、完璧な品質を求める開発部門と、市場投入のスピードを最優先する営業部門の対立が激化し、プロジェクトは停滞。雰囲気は最悪です。

前任者は心労で休職。あなたはこの状況を打開すべく、社長直々の特命で本日付で着任しました。
本日は午後から、海外出張中の社長への状況報告資料を作成する予定です。そのため、あなたが自由に使える時間は【午前中の5分間】しかありません。この時間内に、山積する未処理案件に対応する必要があります。

差出人: 開発本部 第1開発部 部長 田中 実
宛先: 事業推進部 課長 高橋 健太
CC: 営業本部 第1営業部 部長 鈴木 一郎; 役員各位
日時: (本日) AM 8:30
件名: 【緊急・要対応】「Assistia」品質問題とリリース延期に関する最終通告


高橋課長

着任早々、このような連絡となり大変申し訳ない。
単刀直入に申し上げます。

昨日深夜に実施した最終品質テストにおいて、『Assistia』のコアエンジンに情報漏洩に直結する極めて重大な脆弱性が発見されました。万が一このままリリースすれば、顧客の機密情報を危険に晒し、当社の信用を根底から覆す事態になりかねません。

にもかかわらず、営業の鈴木部長は「軽微なバグだろう」の一点張りで、予定通りのリリースを強行しようとしています。技術者としての良心にかけて、こんな危険な製品を世に出すことは断じて容認できません。

つきましては、開発本部として、最低3ヶ月のリリース延期を正式に要求します。これが我々の最終通告です。

ちなみに、鈴木部長からは「今さら延期などありえない。顧客との約束を反故にする気か。全ては開発の怠慢が原因だ」といった趣旨のメールが、役員各位のCC付きで送られてきています。もはや彼らとの直接対話は不可能な状態です。

高橋課長、事業推進を担うあなたの責任において、この状況を正しく経営層に上申し、我々の要求(リリース延期)が承認されるよう、強力に調整いただくことを期待します。

本日11:00より、今後の対応について緊急で協議したく、第1開発部の会議室を確保しました。鈴木部長にも声をかけていますが、出席は期待薄です。あなたは必ず出席してください。

以上、よろしくお願いいたします。

開発本部
部長 田中 実

A

両部長に個別に連絡して11時の会議は延期とし、まず自身で客観的な資料(技術レポート、営業側の顧客へのコミットメント状況等)を収集・分析。その上で午後一に両者を交えた会議を再設定する。
B

開発部長・田中の要求通り、11時の会議に出席する。まず技術的な問題の深刻度を正確に把握し、その上で営業部長の鈴木を説得する材料を揃える。
C

営業部長の鈴木にまず個別に連絡を取る。顧客との約束や営業現場の状況をヒアリングし、彼の懸念を理解した上で、開発との合同会議を午後に再設定することを提案する。
回答と解説を見る

正解:A

選択肢Aがベストです。

選択肢Aがベスト

最高難易度の部署間対立案件では、当事者同士が感情的になり、自分たちの立場に有利な情報だけを主張しているケースがほとんどです。この状況でマネージャーに求められるのは、どちらか一方の土俵に乗ることではなく、客観的な事実(ファクト)に基づいて議論の土台を再構築し、自らが主導権を握って問題解決のプロセスをデザインすることです。

  • 情報格差の是正: B案(開発寄り)やC案(営業寄り)では、情報が偏るリスクがあります。まずマネージャー自身が、技術的な脆弱性レポートや顧客との契約状況といった客観的かつ一次情報を収集・分析することで、両者の主張の妥当性を判断し、議論の前提となる「共通の事実認識」を作り出す必要があります。
  • 感情的対立の冷却: 田中部長のメールはCCに役員を入れ、「最終通告」と表現するなど、極めて感情的です。このまま11時に会議を開いても、建設的な議論は望めません。一度冷却期間を置き、マネージャーが仲介役として正式な場を設けることで、冷静な対話の可能性が生まれます。
  • マネージャーとしての主体性: B案・C案は両部長のどちらかに追従する受け身の姿勢です。A案は、新任課長として誰かの一方に付くのではなく、「事業全体の成功」という大局的な視点から、主体的に問題解決のプロセスを設計しようとする強いリーダーシップを示す行動であり、管理職として最も高く評価されます。

重要度:高 / 緊急度:高

【重要度:高】×【緊急度:高】

この案件は、時間的制約が厳しく、かつ事業への影響が甚大であるため、最優先で対応すべき案件です。

  • 重要度(高): 社運を賭けた新製品のリリースそのものに関わる問題です。脆弱性を放置すれば顧客の信頼を失墜させ、事業の存続を揺るがす可能性があります。一方で、安易な延期は大きな機会損失と顧客からのクレームに繋がり、業績に深刻なダメージを与えます。経営レベルの意思決定が必要な、極めて重要な案件です。
  • 緊急度(高): 開発部長から「最終通告」として本日11時の会議が一方的に設定されており、放置すれば対立が決定的になります。即座に何らかの介入(アクション)を起こさなければ、プロジェクトが完全に頓挫するリスクがあり、一刻の猶予もありません。

管理職として部署間の深刻な利害対立に直面した際は、以下の3つのマインドセットが極めて重要です。

  1. 対立を「情報源」と捉える
    部署間の対立は、異なる専門性を持つ組織が健全に機能している証拠でもあります。対立そのものを悪と見なさず、それぞれの主張の裏にある「事実」「データ」「リスク」「懸念」といった貴重な情報を引き出す機会と捉えましょう。感情的な言葉の裏にあるファクトは何か、を探る姿勢が求められます。
  2. 「結論」ではなく「プロセス」をデザインする
    優秀なマネージャーは、いきなり「AかBか」の結論を出そうとはしません。まず、「どのようにすれば関係者が冷静に、かつ建設的に話せるか」という問題解決のプロセスそのものをデザインします。誰と、いつ、何を、どのような順番で話すか、どんな情報が必要か。このプロセス設計能力こそが、管理職の腕の見せ所です。
  3. 常に「会社の代弁者」であれ
    特定の部署の味方になったり、声の大きい人間の意見に流されたりしてはいけません。常に「会社全体にとっての最適解は何か?」という一段高い視座を持つことが不可欠です。アセスメント試験では、この大局観と公平性が厳しく評価されます。個別の部署の利益代表ではなく、全社的な視点を持つ「会社の代弁者」としてのスタンスを貫くことが、高評価に繋がります。
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