あなたは、総合マーケティング支援企業「ネクストビジョン・マーケティングソリューションズ株式会社」のマーケティングソリューション本部 第1ソリューション部に所属する新任課長、田中 誠です。
昨日付で課長に着任したばかりで、前任者が急な体調不良で長期休職に入ったため、十分な引き継ぎは受けられていません。
あなたの率いる第1ソリューション部は、クライアントの個別課題に合わせたオーダーメイドのソリューション提供を得意とし、利益率も高いですが、エース級の社員が多く常にリソースが逼迫しています。
一方、同本部内の第2ソリューション部は、標準化されたパッケージソリューションの展開を得意とし、効率性を重視しています。
直属の上司である高橋本部長は、本日終日、重要な経営会議に出席しており、緊急時を除き連絡は取れません。
あなたは今、出社してメールをチェックし始めました。制限時間5分で20件の案件を処理する必要があります。これはその中の1件です。
【未読メール】
差出人: 鈴木 健一 (営業本部 部長)
宛先: 田中 誠 (第1ソリューション部 課長), 山本 徹 (第2ソリューション部 部長)
CC: 高橋 浩平 (マーケティングソリューション本部 本部長)
日時: 20XX年10月27日 09:05
件名: 【至急・要調整】大型案件「アクアブルーム社」の担当部署について
田中課長、山本部長
営業本部の鈴木です。
田中課長、この度のご昇進おめでとうございます。早速で恐縮ですが、急ぎご相談したい件がありご連絡しました。
ご存知の通り、営業本部が総力を挙げてアプローチしてきた大手飲料メーカー「アクアブルーム社」の年間総合マーケティング支援プロジェクトを、昨日コンペで勝利し、獲得することができました。年間予算3億円規模の、今期最重要案件となります。
つきましては、実行部隊となるソリューション本部の担当部署を早急に決定し、クライアントへの提案体制を整えたいと考えております。
先方の担当役員からは「既成概念を打ち破る、革新的なプランを期待している」とのお言葉を頂いており、個人的には貴部署(第1ソリューション部)のカスタムメイドな企画力が最適ではないかと考えておりました。
しかし、先日この件を山本部長にご相談したところ、「この規模の案件こそ、わが社の標準パッケージを応用し、効率的に推進すべき。全社的な生産性向上の観点からも、第2ソリューション部が主担当となるのが妥当」との強いご意見をいただきました。
両部署のご意見が異なっており、このままではクライアントへの正式なご挨拶も遅れてしまいます。高橋本部長が本日ご不在なのは承知しておりますが、本日15:00までに、ソリューション本部としての統一見解(主担当部署、およびプロジェクト推進体制)を決定の上、私までご一報いただけますでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、本件の重要性に鑑み、何卒よろしくお願い申し上げます。
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営業本部 部長
鈴木 健一
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回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
新任管理職としての最初の重要な判断として、この状況では選択肢Aが最も適切です。理由は以下の3点です。
- 事実に基づく判断(Fact Finding):
新任課長であるあなたは、この案件の背景、クライアントの真意、そして第2部の山本部長の主張の裏にある事情を完全には把握していません。メールの文面という断片的な情報だけで「自部署が担当すべき」「相手に譲るべき」と判断するのは極めて危険です。まずは関係者全員から直接情報を収集し、客観的な事実(ファクト)を把握することが、適切な意思決定の第一歩です。 - プロセスの正当性と納得感の醸成:
一方的にこちらの主張を押し通したり(A)、安易に譲歩したり(B)するのではなく、関係者全員を巻き込んだオープンな議論の場を設けることが重要です。特に、案件を獲得してきた営業本部の鈴木部長を交えることで、「クライアントの成功」という共通のゴール(上位目的)を議論の軸に据えることができます。これにより、部署間の利害対立から脱却し、全社最適な結論を導き出しやすくなります。また、このプロセスを経ることで、最終的な決定に対する関係者の納得感が高まり、その後の協力体制も円滑になります。 - 対立から協業への転換:
この問題の本質は「どちらの部署が担当するか」というゼロサムゲームではありません。「どうすればクライアントを成功させ、会社の利益を最大化できるか」という視点に立つべきです。ミーティングを設定し、それぞれの部署の強みをどう活かせるかを議論することで、単独で担当するよりも優れた「ハイブリッドな体制」を構築できる可能性があります。対立を、より大きな価値を生み出す協業の機会へと転換させる姿勢こそ、管理職に求められる重要な資質です。
選択肢Cは自部署の利益を優先する「部分最適」の思考であり、組織全体の協力体制を損なうリスクがあります。選択肢Bは一見、協調的に見えますが、主体的な問題解決を放棄し、部下のモチベーションを低下させる恐れがある「安易な妥協」と評価されかねません。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度:高、緊急度:高
- 重要度(高):
- 会社の今期売上を左右する、年間3億円規模の最重要案件であること。
- 大手クライアントとの最初の大型取引であり、今後の関係性を決定づける試金石となること。
- 部署間の対立を適切に処理できなければ、組織全体の生産性や士気に長期的な悪影響を及ぼすこと。
- 新任課長としてのマネジメント能力が問われる最初の重要な局面であり、自身の評価に直結すること。
- 緊急度(高):
- 営業本部から「本日15:00まで」という明確な時間的制約が課せられていること。
- 対応が遅れれば、クライアントへの提案が遅延し、信頼を損ね、最悪の場合、失注に繋がるリスクがあること(機会損失)。
- 対立状態を放置する時間が長引くほど、部署間の溝が深まり、感情的なしこりが残ってしまう可能性があること。
部署間の対立や利害調整は、管理職が避けては通れない重要な職務です。このような場面で成果を出すためのマインドセットと、アセスメントで評価される行動原則は以下の通りです。
1. 全社最適の視点を忘れない
自分の部署の目標達成や利益(部分最適)だけを考えるのではなく、常に「会社全体にとって最善の策は何か?(全社最適)」という一段高い視点から物事を判断する癖をつけましょう。議論の場でも、この視点を提示することで、対立から協調へと議論のステージを引き上げることができます。
2. 対立を「問題」ではなく「機会」と捉える
異なる意見の衝突は、一見ネガティブな「問題」に見えますが、それは多様な視点が存在する健全な組織である証拠でもあります。それぞれの部署が持つ異なる強みやリソースを組み合わせることで、一人や一部署では生み出せない、より大きな価値を創造する「機会」であると捉えましょう。
3. 感情(Emotion)ではなく事実(Fact)で語る
部署間の対立には、しばしば過去の経緯や個人の感情が絡んできます。それに引きずられることなく、「クライアントの要望は何か」「データから何が言えるか」「我々のリソース状況はどうか」といった客観的な事実(ファクト)に基づいて議論を進めることが、建設的な解決策への近道です。
【アセスメントでの加点ポイント】
- 情報収集力と分析力: すぐに結論に飛びつかず、まずは状況を正確に把握しようとする姿勢を見せる。
- プロセスデザイン力: 誰と誰を、どのような場で、何を議題に話合わせるか。解決までのプロセスを設計し、主体的に周囲を巻き込む行動を示す。
- 上位目的の提示: 「お客様のために」「会社の成長のために」といった共通のゴールを提示し、議論をリードするリーダーシップを発揮する。

