【部署間対立Lv1】初級編|営業と開発の板挟み

【部署間対立Lv1】初級編|営業と開発の板挟み インバスケット演習

あなたは、法人向けSaaSを提供する「株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ」のソリューション営業部 第1課の課長です。本日付けで課長に昇進しました。
前任の課長は家庭の事情で先週末に急遽退職し、十分な引き継ぎは受けられていません。

今日は就任初日で、午前中は本社での辞令交付式に出席。午後から大阪支社への出張のため、現在、新幹線で移動中です。
移動中の1時間(13:00〜14:00)を使って、スマートフォンで未処理のメールに対応することにしました。

【あなたの立場】

  • 役職:ソリューション営業部 第1課 課長(本日就任)
  • 部下:8名
  • ミッション:主力SaaS「SmartFlow」の新規顧客獲得と既存顧客へのアップセル

【制約条件】

  • 対応時間:3分
  • 使用ツール:スマートフォン(資料の参照や編集、長時間の通話は困難)

差出人: 田中 誠 <m.tanaka@nextvision.co.jp>
日時: 20XX年10月26日(木) 11:30
宛先: ソリューション営業部 第1課 課長
件名: 【至急・要調整】新サービス「SmartFlow」の仕様変更依頼について


ソリューション営業部 第1課
新課長様

開発部の田中です。ご昇進おめでとうございます。
早速で大変恐縮ですが、至急ご調整いただきたい事項がありご連絡いたしました。

貴課の佐藤さんから、来月リリース予定の新機能について、顧客からの要望を元にした仕様変更の依頼が昨日ありました。
しかし、提示された変更内容は、リリースまで残り1ヶ月という現段階では、スケジュール的に到底対応不可能です。この変更を受け入れるには、最低でも2ヶ月の遅延と追加の開発工数(約5人月)が見込まれます。

営業部からこうした直前の大きな仕様変更依頼が来るのは、今回に限りません。我々開発部としても、顧客の要望に応えたい気持ちは山々ですが、度重なる急な依頼に現場は疲弊しております。

つきましては、新課長の方で、今回の仕様変更依頼の背景と営業部としての正式な優先順位を整理いただいた上で、開発部と協議の場を設けていただけないでしょうか。
大変恐縮ですが、佐藤さん個人からの依頼ではなく、課長としての正式なご判断を伺いたいと考えております。

ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。

————————————
株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ
開発本部 開発部 第2チーム リーダー
田中 誠
————————————

A

部下の佐藤さんに電話し、開発部の状況を伝えた上で、まずは開発部に迷惑がかからない範囲で現実的な代替案を再検討するよう指示する。
B

開発部の田中さんにメールを返信し、状況は理解したこと、今回の仕様変更は見送る方向で佐藤さんと話を進めることを伝え、まずは事態の鎮静化を図る。
C

開発部の田中さんと部下の佐藤さんの両名にメールを送り、まずは三者で30分程度のWeb会議を設定し、事実関係と要望の背景を共有する場を設けることを提案する。
回答と解説を見る

正解:C

選択肢Cがベストです。

選択肢Cがベスト

この問題は、部署間で発生した典型的なコンフリクト(対立)への初動対応を問うています。管理職として最も重要なのは、一方の意見だけを鵜呑みにせず、客観的な事実を把握し、関係者間の対話の場を作ることです。

  • 選択肢Cは、対立している両者を同じテーブルにつかせ、まずは情報共有を行うという、部署間調整の王道かつ基本のアクションです。新任課長として、まずは当事者双方から直接話を聞き、顧客の要望の背景、開発の制約などを正確に把握しようとする姿勢は、信頼関係構築の第一歩となります。
  • 選択肢Aは、問題を部下に差し戻しており、課長としての責任を放棄していると見なされます。部下の育成という側面はあるかもしれませんが、部署間の公式な問題提起に対しては、まず課長自身が矢面に立つべきです。
  • 選択肢Bは、開発部の意見のみを受け入れ、営業活動の最前線にいる部下の意見や、その背景にある顧客の重要なニーズを軽視する行動です。営業部の士気を下げ、顧客満足度を損なうリスクがあり、短絡的な判断と言えます。

したがって、まずは関係者を集めて課題を正しく定義しようとする選択肢Cが、組織全体の利益を最大化するための最も適切な初動です。

重要度:高 / 緊急度:低

  • 重要度: 高
  • 緊急度: 低

【解説】

重要度が高い理由:
この案件は、単なる仕様変更の問題ではなく、営業と開発という会社の根幹をなす部署間の連携不全という構造的な課題を含んでいます。放置すれば、今回のプロジェクトだけでなく、今後の製品開発や組織全体の生産性に悪影響を及ぼす可能性があります。また、顧客からの重要な要望が元になっている可能性もあり、事業機会の損失にも繋がりかねません。よって重要度は「高」と判断します。

緊急度が低い理由:
メールの件名には「至急」とありますが、これは「早く対応に着手してほしい」という相手の期待の表れです。今この瞬間に課長が最終的な仕様変更の可否を判断しなければ、プロジェクトが破綻するという状況ではありません。むしろ、情報が不十分な中で焦って判断を下すことの方がリスクが高いです。まずは関係者を集めて情報収集と状況整理を行う時間的猶予はあるため、最終判断の緊急度は「低」と判断します。ただし、対応への着手は早い方が望ましいでしょう。

部署間の対立や利害調整は、管理職が日常的に直面する重要なテーマです。この種の課題に直面した際は、以下のマインドセットと行動原則を意識すると、アセスメント試験でも高い評価を得やすくなります。

  1. ファシリテーターに徹する
    管理職は、どちらかの部署の代弁者や、白黒つける審判ではありません。対立する両者の意見を尊重し、感情的な対立を避け、建設的な議論を促進する「ファシリテーター(調整役)」としての役割を意識しましょう。「対話の場を設定する」という行動は、その第一歩として極めて有効です。
  2. 「Why?(なぜ?)」を深掘りする
    「仕様変更したい」という営業の要望の裏には、「競合に勝つためにどうしても必要な機能だから」という理由があるかもしれません。「スケジュール的に無理」という開発の主張の裏には、「過去の無理な開発で品質問題を起こしたくないから」という切実な背景があるかもしれません。表面的な要求だけでなく、その背景(Why)を理解しようと努めることが、本質的な解決策への近道です。
  3. 全社最適の視点を持つ
    自分の部署の利益(部分最適)だけを考えるのではなく、「会社全体にとって何が最善か(全社最適)」という視点を持つことが不可欠です。そのためには、各部署の事情を正確にインプットし、大局的な視点から判断を下す必要があります。アセスメントでは、この視野の広さ・高さが評価のポイントになります。
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