あなたは株式会社ネクサス・テクノロジー 生産システム部 第二課に、本日付で課長として着任しました。前任者は突然の異動となり、引き継ぎは最低限しか行われていません。着任早々、あなたのデスクには未読メールが山積しています。
最も重要な案件は、あなたの課が担当する次世代生産ライン導入プロジェクト「プロメテウス」です。このプロジェクトは会社の将来を左右する基幹プロジェクトであり、これまでの報告では順調に進んでいるはずでした。
しかし、着任直前の社内会議で、実際には既に予算が20%超過し、納期も1ヶ月遅延していることが、一部役員の間で問題視されているとの噂を聞きつけました。この状況で、あなたは5分以内にこれらの未読メールを処理し、現状に対する対応方針を決定しなければなりません。
与えられた情報はメール本文のみです。この限られた情報の中で、あなたはどのような意思決定を行い、どのような行動を取りますか?
【未読メール一覧】
差出人: 経理部 部長 田中 太郎
日時: 20XX/08/26 09:00
件名: 【緊急】全社的コスト削減策の徹底と「プロメテウス」プロジェクトの状況について
生産システム部 第二課 課長殿
先般の役員会議において、全社的な業績悪化の兆候を受け、経費削減が喫緊の課題として全事業部に通達されました。
つきましては、貴課においても直ちに不急不要な経費の削減を徹底し、既存プロジェクトの予算見直し及び今後の予算申請について厳格な対応をお願いします。
特に「プロメテウス」プロジェクトについては、社内で既に予算超過が懸念されており、早急な状況説明と具体的なコスト削減計画の提出を求めます。今週中を目処に、初動報告書を提出してください。
以上、宜しくお願いします。
差出人: 生産システム部 第二課 佐藤 健太(プロメテウスPJTリーダー)
日時: 20XX/08/26 09:15
件名: プロメテウスプロジェクト進捗報告と予算追加要請(重要)
新任課長
プロメテウスプロジェクトリーダーの佐藤です。着任おめでとうございます。前任課長からの引き継ぎが不十分だったかと思いますので、現状をご報告します。
現在のプロジェクト進捗ですが、独自開発モジュールの他システムとの互換性問題が想定以上に深刻で、当初予定していなかった改修作業が多発しています。また、一部の特殊部品の調達が世界的な供給不足により遅延しており、代替品を探した結果、大幅な価格高騰を招きました。
これらの影響で、現状で既に予算を約20%超過し、納期も1ヶ月程度の遅延が確実な状況です。このままでは計画通りのシステム稼働は困難です。
つきましては、この遅延と予算超過を最小限に抑え、納期目標に近づけるため、専門コンサルタントの緊急招聘と、追加リソース(残業代含む)のための追加予算500万円の承認を早急にお願いしたく、ご検討ください。
現状のままでは、チームメンバーの疲弊も深刻です。
差出人: 営業部 山本 宏(営業三課 課長)
日時: 20XX/08/26 09:30
件名: 【重要】プロメテウスライン導入に関する顧客訪問と納期調整のお願い
生産システム部 第二課 課長殿
いつもお世話になっております。営業部の山本です。
来週9月3日(月)に、プロメテウスラインを導入予定の主要顧客であるグローバルエレクトロニクス社の担当役員が、最終進捗確認のため来社されます。この訪問で、システムの導入スケジュールとコストに関する最終合意を目指しており、非常に重要な機会です。
前任課長からは「順調に進捗している」と聞いておりましたが、社内会議で遅延の可能性が示唆されたと聞き、非常に懸念しております。
つきましては、当日に向け、プロメテウスプロジェクトの正確な進捗状況、新しい納期目標、そして予算超過が顧客に与える影響(もしあれば)について、早急にご提示いただけますでしょうか?
最悪の場合、契約に明記されている違約金発生のリスクもございますので、迅速なご対応をお願いいたします。
差出人: 生産システム部 第二課 鈴木 雅人(メンバー)
日時: 20XX/08/26 09:45
件名: 【相談】既存システムメンテナンス人員不足について
新任課長
いつもお世話になっております。鈴木です。
現在、私はプロメテウスプロジェクトの支援と並行して、主要既存システムである「ガイア」の定期メンテナンスも担当しております。
しかし、プロメテウスプロジェクトへのリソース集中が続いているため、「ガイア」システムの軽微なバグ修正やユーザーからの問い合わせ対応が滞り始めています。このままでは、既存システムの安定稼働に支障をきたしかねません。
つきましては、「ガイア」システムのメンテナンスに専任者を一人配置していただくか、プロメテウスプロジェクトの一部タスクを見直して私の負荷を軽減していただくか、ご検討いただけないでしょうか。
突然で恐縮ですが、ご相談申し上げます。
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
「選択肢B」が最も優れています。
- 徹底した情報収集と状況把握:
着任したばかりの管理職として、まず行うべきは現状の正確な把握です。佐藤リーダーからの情報だけでなく、鈴木からの視点も含め多角的に情報を収集することで、問題の根本原因や全体像を理解できます。追加予算の必要性や代替案の有無、既存システムへの影響など、詳細を把握せずして適切な判断はできません。 - 関係者との連携と調整:
営業部山本課長には、顧客との関係において極めて高い緊急性があります。完全に沈黙するのではなく、一時的な報告であっても「状況を確認中であり、協議の場を設ける」と伝えることで、営業部の不安を軽減し、顧客への対応準備に協力する姿勢を示せます。また、経理部へも調査中であることを伝えつつ、期限内に報告する旨を明確にすることで、責任ある態度を示し、不信感を避けることができます。 - 優先順位付けと時間管理:
複数のメールが同時に来ていますが、最も重要なのは「プロメテウス」プロジェクトの状況です。関連する情報収集とステークホルダーへの暫定連絡を最優先し、その上で具体的な解決策を検討する時間を確保しようとする行動は、管理職として適切です。 - 性急な判断の回避:
選択肢AやCのように、情報が不十分なまま追加予算を承認したり、却下したりする行動は、さらなる問題を引き起こすリスクが高いです。特に難易度5の状況では、問題が複雑に絡み合っており、安易な解決策は存在しないと考えられます。
この状況下で、選択肢Bはリーダーシップを発揮し、問題解決に向けた着実な第一歩を踏み出す行動と言えます。
重要度:高 / 緊急度:高
- 重要度:高
「プロメテウス」プロジェクトは会社の将来を左右する基幹プロジェクトであり、失敗は会社の信用、収益、競争力に壊滅的な影響を与えます。顧客との契約、違約金、チームの士気、既存システムの安定稼働など、多くの重要要素が絡み合っています。 - 緊急度:高
経理部からは今週中の初動報告を求められ、営業部からは来週の顧客訪問に向けた情報提供を強く要請されています。プロジェクト自体も既に納期遅延が発生しており、時間的な猶予はほとんどありません。これらの期限が目前に迫っており、迅速な対応が不可欠です。
この案件は、重要度・緊急度ともに非常に高い「緊急重要」に位置づけられます。管理職としては、ただちに状況を把握し、関係各所との連携を取りながら、迅速かつ戦略的な初期対応が求められます。
- 1. 早期の情報収集と状況把握を徹底する:
問題発生時には、まず正確な事実と背景を把握することが最優先です。表面的な情報だけでなく、根本原因、関係者の意見、過去の経緯、代替案などを多角的に収集しましょう。特に着任直後や引き継ぎが不十分な場合は、このプロセスが不可欠です。 - 2. 関係者とのコミュニケーションを密にする:
部門間の利害対立や情報不足は、問題をさらに複雑化させます。経理、営業、開発、人事など、関わる全てのステークホルダーと積極的に対話を図り、現状認識の共有と協力体制の構築に努めましょう。透明性のあるコミュニケーションは信頼関係を築き、解決策を見つけやすくします。 - 3. 優先順位を明確にする:
限られた時間とリソースの中で、全てを完璧にこなすことは不可能です。何が最も重要で、何を緊急に対応すべきかを判断し、優先順位をつけましょう。緊急度と重要度のマトリクスを活用することも有効です。 - 4. 短期と長期の視点を持つ:
目先のコスト削減だけでなく、長期的な視点での影響(品質、顧客満足度、従業員の士気、技術開発)も考慮に入れる必要があります。安易なコストカットは、将来的な損失を招く可能性があります。 - 5. チームを巻き込み、主体性を促す:
課長一人で全てを解決しようとするのではなく、チームメンバーの知見やアイデアを積極的に引き出し、問題解決に巻き込みましょう。当事者意識を高めることで、より実行可能で持続的な解決策が生まれることがあります。 - 6. データを基にした意思決定を心がける:
感情や思い込みではなく、具体的なデータや客観的な事実に基づいて意思決定を行いましょう。不確実性が高い場合は、仮説を立て、検証しながら進めるアプローチも有効です。
アセスメント試験では、このような複合的な課題に対して、パニックにならず、論理的かつ戦略的に行動できるかが見られています。

