あなたは、株式会社ミライテック 営業部 第一課長である田中 健太(35歳)です。
先日、長年勤めてきたシステム開発部から営業部へ異動し、営業部第一課の課長に昇進したばかりです。前任の課長からは業務引き継ぎを終え、いよいよ本格的に課長としての職務をスタートさせるところです。
そんな中、あなたのPCには未読メールが数件溜まっています。このうち、特に緊急性が高いと判断される以下のメールを読んで、あなたが取るべき行動として最も適切だと考えられる選択肢を一つ選び、その理由を簡潔にまとめてください。
制限時間:この問題に取り組む想定の制限時間はありませんが、現実のビジネスシーンでは迅速な判断が求められます。
現在の状況:
株式会社ミライテックは、近年成長著しいITソリューション企業です。新規事業推進のため、営業部内に「デジタルソリューション推進チーム」を新設することになりました。このチームは、最新のデジタル技術を活用したソリューション開発と顧客提案を専門とし、全社的な期待が寄せられています。
これに伴い、営業部内の各課から優秀な人材を募り、チームを立ち上げる計画が進んでいます。第一課、第二課からはそれぞれ1名の人員を異動させることになっています。
差出人:人事部 部長 佐藤 啓介
日時:〇月〇日(月) 9:00
件名:【重要】「デジタルソリューション推進チーム」への人員選定について
田中課長
この度は、営業部第一課長へのご就任、誠におめでとうございます。
システム開発部でのご経験を活かし、営業部門の活性化に貢献されることを期待しております。
早速ではございますが、標題の件でご連絡いたしました。
ご存じの通り、当社は新たな成長戦略の一環として、「デジタルソリューション推進チーム」を新設いたします。このチームは、当社の未来を担う非常に重要な戦略的部門であり、高い専門性と意欲を持ったメンバーで構成したいと考えております。
つきましては、営業部第一課および第二課からそれぞれ1名ずつ、チームメンバーを選出していただきたく、課長にご依頼申し上げます。
選定にあたっての主な基準は以下の通りです。
- デジタル技術や新しいソリューションに対する強い興味・関心、学習意欲
- 既存業務の遂行能力に加え、新しい業務領域への適応力
- チームワークを重視し、積極的に貢献できる姿勢
- 現状の業務状況や、チーム異動後の引き継ぎ期間なども考慮してください
つきましては、来週金曜日の〇月〇日 午前中までに、貴課からの推薦者を人事部 佐藤までご報告いただけますでしょうか。
ご多忙の折恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
—
株式会社ミライテック
人事部 部長 佐藤 啓介
内線: XXXX
メール: sato.keisuke@mirai-tech.co.jp
—
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bがベストです。
本件は、新任課長として組織改編と人員配置という重要な局面で、どのようにデリゲーションを行うか、そして部下のモチベーションや成長機会をどのように考慮するかが問われています。
選択肢Bが最も優れている理由:
- 情報共有と透明性の確保:
- 課内のメンバーに、新しいチームの重要性や選定基準を明確に説明することで、異動の背景への理解を促し、不必要な憶測や不満の発生を防ぎます。これは組織運営における透明性の確保として非常に重要です。
- 適切なデリゲーションと責任のバランス:
- 課長が一方的に決定するのではなく、候補者を指名し、個別に面談を通じて本人の意向や適性を確認するプロセスは、デリゲーションの原則に則っています。部下に主体的に考える機会を与えつつも、最終的な決定責任は課長が負うというマネジメントの基本が押さえられています。
- これにより、部下は「自分ごと」として案件を捉え、モチベーション高く業務に取り組むことが期待できます。
- 人材育成の視点:
- 面談を通じて、部下のキャリア志向や潜在能力を把握する機会となり、今後の人材育成にも繋がります。新たな挑戦を促すことは、部下の成長だけでなく、組織全体の活性化にも貢献します。
- リスクの軽減:
- 一方的な指名やアンケートのみの選定では、適性ミスマッチや本人の不満を引き起こすリスクがあります。個別面談は、そうしたリスクを最小限に抑え、円滑な異動を実現するための有効な手段です。
その他の選択肢の課題:
- 選択肢Cの課題:
- 課長が一方的に決定し、事後報告では、部下のモチベーションを著しく低下させる可能性があります。また、新任課長として課員の適性や意向を十分に把握していない可能性もあり、ミスマッチのリスクが高いです。デリゲーションの機会を完全に放棄しています。
- 選択肢Aの課題:
- 一見公平に見えますが、アンケートだけでは個々の適性や具体的な業務への影響を十分に把握できません。また、希望者の中から選ぶだけでは、必ずしも「最適な人材」を選べるとは限りません。課長としての選定責任を部下に丸投げしていると受け取られるリスクもあります。
したがって、選択肢Bは、新任課長として課内の状況を把握しつつ、適切なデリゲーションを通じて部下のエンゲージメントを高め、組織目標達成に貢献する行動として最も適切と言えます。
重要度:高 / 緊急度:低
この案件の「重要度」と「緊急度」は以下の通りです。
- 重要度:高
- 緊急度:低
評価の根拠:
- 重要度(高):
「デジタルソリューション推進チーム」は会社の新たな成長戦略の中核を担う部署であり、そこへ送り出す人材の選定は、チームの成否、そして会社の未来に直結する非常に重要な案件です。また、人員配置は個々の社員のキャリアパスやモチベーション、課全体の士気にも大きく影響します。新任課長として、最初の重要な人事案件であり、慎重かつ戦略的な判断が求められます。 - 緊急度(低):
メールには「来週金曜日の〇月〇日 午前中まで」という期限が明記されており、対応までには数日間の猶予があります。これは、すぐに結論を出す必要がないことを示しており、情報収集、課内での検討、個別面談といったプロセスを踏む十分な時間があることを意味します。そのため、緊急度は「低」と判断されます。
このマトリクスに基づいて、田中課長は焦らず、しかし着実に、関係者とのコミュニケーションを取りながら最適な人材選定を進めるべきです。
管理職として組織改編や人員配置、特にデリゲーションを伴う案件に直面した際、以下のマインドセットと行動原則がアセスメント試験で高く評価されやすいでしょう。
1. デリゲーションは「育成」と「エンゲージメント」の機会と捉える
- 単なる業務の分散ではなく、部下にとって新たな挑戦やスキルアップの機会として捉えさせることが重要です。
- 適切な権限移譲は、部下の主体性を引き出し、責任感を醸成し、最終的に組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。
- 部下を信頼し、成長を期待しているというメッセージを伝えることが、エンゲージメントを高めます。
2. 透明性と公平性を確保する
- 人事異動や組織改編は、社員のキャリアに直結するため、情報共有は慎重かつ丁寧に行う必要があります。
- 選定基準や背景を明確に伝えることで、不満や不信感を最小限に抑え、納得感を持って異動を受け入れてもらいやすくなります。
- 公平なプロセスを踏むことが、課長のリーダーシップに対する信頼を築きます。
3. 課長の「最終責任」を自覚する
- デリゲーションは責任の放棄ではありません。最終的な判断と結果に対する責任は、常に課長にあります。
- 部下からの意見や情報を収集しつつも、組織全体の視点や長期的な戦略に基づいて、最終的な決断を下すことが求められます。
- 必要に応じて、上司(部長)への相談や連携も視野に入れるべきです。
4. コミュニケーションを重視する
- 今回の問題のように、重要な人員配置においては、一方的な通達ではなく、個別面談などを通じて部下の意向を丁寧にヒアリングすることが不可欠です。
- 不安や疑問を解消し、前向きな気持ちで新たな任務に臨めるよう、対話の機会を設けることが、その後のパフォーマンスにも大きく影響します。
難易度1のインバスケット問題では、こうしたマネジメントの基本原則を理解し、適切に実践できるかどうかが問われます。複雑な状況ではなく、シンプルな判断を通じて、管理職としての基礎的な素養をアピールしましょう。

