あなたは、ITソリューション企業「ネクストリーム・ソリューションズ株式会社」の営業第2課の課長に就任して3ヶ月目の新米マネージャーです。
今日は金曜日の午前9時。あなたは午後から業界の重要なカンファレンスに終日参加するため、午前中に溜まっているタスクを処理しようとPCを開きました。
メール処理に使える時間は4分です。未読ボックスを開くと、部下の一人から気になる件名のメールが届いていました。
- あなたの役職: 営業第2課 課長
- 部下: 8名(エース級のベテラン営業 佐藤、中堅、若手の中西など)
- 直属の上司: 鈴木 営業部長
- 制限時間: 4分
差出人: 中西 健太 <k-nakanishi@nextream.co.jp>
日時: 20XX年10月27日 08:45
件名: 【緊急・相談】佐藤さんの経費申請について
〇〇課長
おはようございます。
朝早くに申し訳ありません。極秘にご相談したいことがあり、メールいたしました。
実は、チームのエースである佐藤誠さんの経費申請について、少し気になる点があります。
先月の経費精算データをチームの参考にしようと見ていたところ、佐藤さんが申請している「大手クライアントとの情報交換会」名目での飲食費に、不自然な点がいくつか見られました。
- 日付: 申請されている日付は、会社のカレンダー上では佐藤さんは「休暇」となっていました。
- 場所: 会食場所とされるレストランは、佐藤さんの自宅のすぐ近くの個人経営の居酒屋でした。
- 金額: 参加者2名にしては高額(約3万円)な請求でした。
私の考えすぎかもしれませんが、もしかしたらプライベートな飲食を会社の経費で落としているのではないかと、不安に思っております。
佐藤さんは実績のある大先輩であり、私が直接何かを言うことはできません。しかし、もしこれが事実であれば、チームの士気にも関わる問題だと感じています。
課長には、まずは事実をご確認いただき、適切なご対応をいただけないでしょうか。
このメールの件は、まだ誰にも話しておりません。
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
営業第2課
中西 健太
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
このケースにおける管理職の初動として、最も適切かつリスク管理の観点から優れているのは選択肢Aです。理由は以下の通りです。
- 通報者の保護: 内部通報において最も重要なのは、勇気をもって声を上げた通報者を保護することです。まず中西に返信し、彼が保護されていること、そして秘密が守られることを明確に伝えることで、彼の不安を取り除き、情報が拡散するのを防ぎます。
- 客観的事実の確認: 疑惑の段階で当事者に直接ヒアリング(選択肢C)するのは非常に危険です。感情的な反発を招いたり、証拠隠滅の機会を与えたりするリスクがあります。まずは経費システムなどの客観的なデータを確認し、事実関係を冷静に把握することが先決です。これにより、その後のヒアリングや上司への報告の精度が格段に上がります。
- 管理職としての一次対応: 上司への報告(選択肢B)は最終的に必要ですが、一次情報も確認せずに丸投げするのは、管理職としての主体性と責任感の欠如と見なされます。まずは自身の権限の範囲内でできる事実確認を行い、状況を整理した上で報告・相談するのが管理職の責務です。
したがって、「①通報者の保護 → ②客観的な事実確認 → ③整理した上での上司への報告・相談」という段階的かつ慎重なアプローチを取る選択肢Aが、最も優れた判断と言えます。
重要度:高 / 緊急度:高
重要度: 高
不正経費の利用は、単なる個人の問題ではなく、コンプライアンス違反という組織全体に関わる重大な問題です。放置すれば、他の社員の士気低下を招き、組織の規律を乱す原因となります。また、企業の社会的信用を損なうリスクも内包しているため、重要度は「高」と判断します。
緊急度: 高
不正が現在進行形で行われている可能性があり、時間が経過するほど証拠の確認が困難になる恐れがあります。また、通報者である中西が不安を抱えている状態を放置するのは不適切です。彼の安全確保と精神的なケアのためにも、迅速な初動が求められるため、緊急度は「高」と判断します。
管理職として不正疑惑のようなデリケートな問題に直面した際は、以下のマインドセットと行動原則が評価のポイントとなります。
- 冷静沈着と事実ベースの思考: 疑惑のメールを見て動揺したり、憶測で犯人探しをしたりするのは厳禁です。「本当に不正なのか?」「勘違いの可能性はないか?」など、常に冷静に事実(ファクト)をベースに物事を考える姿勢が重要です。
- 通報者保護の徹底: 内部通報制度が機能するかは、通報者が守られるかにかかっています。通報者の名前や内容は絶対に漏らさず、まずその安全を確保する行動を最優先にしてください。これが組織の自浄作用を守ることに繋がります。
- 拙速な行動を避ける: 正義感からいきなり当事者に問いただすのは、多くの場合、事態を悪化させます。まずは客観的な証拠やデータを集め、外堀を埋めることから始める慎重さが求められます。
- 一人で抱え込まない: 自身の権限で一次対応を行った後は、必ず上司や人事・コンプライアンス部門などの専門部署に報告・相談しましょう。組織として対応する姿勢を示すことが、最終的な解決と自身の評価に繋がります。

