【部署間対立Lv5】営業vs開発の部署間対立をどう解決する?

【部署間対立Lv5】営業vs開発の部署間対立をどう解決する? インバスケット演習

【あなたの立場】
あなたは、大手総合電機メーカー「株式会社ネクスト・フロンティア・イノベーションズ(NFI)」で1年前に新設された「全社DX推進室」の課長です。あなたのミッションは、各事業部の縦割りを打破し、全社横断的なデジタルトランスフォーメーションを推進することです。

【現在の状況】
あなたは本日、1週間の海外カンファレンス出張から帰国し、朝9時に出社したところです。PCを開くと、未処理のメールが数十件溜まっています。これから5分で、溜まった案件を効率的に処理し、的確な指示・判断を下さなければなりません。

この問題は、その中の1つです。

差出人: 郷田 豪(営業本部 第一営業部長)
日時: 20XX年10月27日 08:30
件名: 【緊急・最重要】基幹システム「N-Core」AI機能追加の件:最終回答のお願い

全社DX推進室 課長殿

おはようございます。出張お疲れのところ恐縮です。
かねてよりご相談している基幹システム「N-Core」へのAI需要予測機能の追加について、緊急でご判断いただきたく連絡しました。

ご存知の通り、本件は当社の最大顧客であるグローバル・コマース社からの最優先要望事項です。しかし、開発本部の高見沢部長が、技術的リスクを盾に一向に首を縦に振ってくれません。

そして昨日、ついに恐れていた事態が起きました。グローバル・コマース社の購買担当役員から、以下の最終通告とも言えるメールが私宛に届いたのです。

— (引用) —
「競合のX社からは、ご要望のAI機能を搭載した新システムを3ヶ月で導入可能との提案を受けている。NFI社が3ヶ月以内に同等機能の実装をコミットできないのであれば、長年の取引を見直さざるを得ない」
— (引用終わり) —

この案件の失注は、当営業本部の今期目標達成が絶望的になるだけでなく、当社の市場における信頼を大きく損なうものです。開発の連中は、システムのことしか頭になく、ビジネスの現場で起きている危機を全く理解していません。

つきましては、DX推進の責任者であるあなたのリーダーシップに期待します。本日17時までに、開発本部に本プロジェクトを最優先で着手させる旨、確約をいただきたい。これが当営業本部からの最終要求です。もし本件が頓挫した場合、その責任の一端は判断を遅らせたDX推進室にもあると考えざるを得ません。

至急のご判断、よろしくお願いいたします。

郷田 豪
株式会社ネクスト・フロンティア・イノベーションズ
営業本部 第一営業部長

A

営業本部の要求を全面的に受け入れ、開発本部長の高見沢氏に電話し、「最重要顧客の経営に関わるトップマターであり、社長特命案件としてでも進めてもらう」と伝え、開発の強行を指示する。
B

開発本部の主張を尊重し、郷田部長に「現行システムへの無理な機能追加は、全顧客に影響する大規模障害を引き起こすリスクが極めて高い。まずは顧客に実装延期を交渉すべきだ」と返信し、説得を試みる。
C

まず郷田部長に「状況は理解した。1時間以内に対応方針を連絡する」と一次返信。その後、郷田部長と開発本部長の高見沢氏のスケジュールを秘書に確認させ、本日中の三者会議を緊急でセットするよう指示する。
回答と解説を見る

正解:C

選択肢Cがベストです。

選択肢Cがベスト

この案件は、短期的な売上(営業)と長期的なシステムの安定性(開発)という、どちらも正当性のある主張が真っ向から衝突している典型的なコンフリクト案件です。管理職の役割は、どちらか一方の肩を持つことではなく、両者の主張を深く理解し、対話を通じて「全社最適」な解決策を導き出すことにあります。

  • 選択肢Aの課題: 営業部の要求を鵜呑みにし、トップダウンで開発を強行するのは最悪の選択肢です。開発部門の士気を著しく下げ、反発を招くだけでなく、本当に大規模障害が発生した場合、責任の所在が曖昧になり、組織に回復不能なダメージを与えかねません。
  • 選択肢Bの課題: 開発部のリスクを重視する姿勢は理解できますが、ビジネスの現場で起きている火事を無視して正論だけを伝えても、営業部との溝が深まるだけです。「現場を知らない」という反感を買い、今後の協力関係構築が困難になります。
  • 選択肢Cの優位性: まず時間的制約を設けた郷田部長に一次返信することで相手を落ち着かせ、考える時間を確保しています。その上で、対立の当事者である両部長を同じテーブルに着かせ、事実に基づいた議論の場を設定することが、問題解決の第一歩です。この会議の場で、あなたは中立的なファシリテーターとして、以下の点を明らかにすべきです。
    • グローバル・コマース社が本当に求めているものは何か(機能の範囲、必須要件など)
    • 開発部が懸念する技術的リスクの具体的な内容と、その発生確率・影響範囲
    • リスクを低減しつつ、顧客の要望に一部でも応える代替案(例:機能を限定したMVP版の短期開発、段階的なリリース計画など)は存在しないか

    対立を「協力して乗り越えるべき課題」へと昇華させ、当事者意識を共有させることが、DX推進の責任者であるあなたに求められる最も重要な役割です。

重要度:高 / 緊急度:高

【重要度】高
会社の最大手顧客との取引継続がかかっており、失注した場合の事業インパクト(売上、市場シェア、ブランドイメージ)は計り知れません。また、会社の根幹を支える基幹システムの問題でもあり、経営判断に直結する重要案件です。

【緊急度】高
営業部長から「本日17時まで」という明確な期限を切られています。このまま放置すれば、彼が独断で動いてさらに事態が混乱したり、関係部署間の不信感が決定的なものになったりする可能性があります。即座に初動対応を開始する必要があります。

管理職として部署間の深刻な対立に直面した際、最も重要なのは「部分最適の罠」に陥らないことです。各部署はそれぞれのミッションやKPIに基づいて、自分たちの正義を主張します。その主張は、彼らの立場から見れば当然のものです。あなたの役割は、どちらが正しいかを裁く裁判官になることではありません。

以下のマインドセットを持ってください。

  • 対立は「悪」ではなく「健全な緊張関係」: 異なる視点がぶつかるからこそ、より良いアイデアや、これまで見過ごされてきたリスクが顕在化します。対立を組織を進化させるエネルギー源と捉えましょう。
  • 「Why?」を5回繰り返す: 表面的な「要求(What)」の裏にある「背景・目的(Why)」を深く探求してください。「なぜ営業はそこまで短期納期にこだわるのか?」「なぜ開発はそこまでリスクを恐れるのか?」を理解することで、初めて本質的な解決策が見えてきます。
  • 全社最適の視点を提供する: 対立する当事者は、視野が狭くなりがちです。あなたは一歩引いた立場から、会社の理念や中期経営計画といった上位の目標に立ち返り、「会社全体としてどうすべきか」という視点を提供し、議論を建設的な方向へ導く羅針盤の役割を担ってください。

アセスメントで加点される行動原則

  • 1. 即時対応と状況のコントロール: 緊急案件に対しては、まず「受け止めた」ことを関係者に伝え、パニックを鎮静化させます。主導権を握り、次のアクションプラン(例:会議の設定)を提示することが重要です。
  • 2. ファクトベースのコミュニケーション: 感情的な言い分に流されず、客観的なデータや事実に基づいて議論を進める場を設定する姿勢を見せましょう。
  • 3. 創造的な代替案の模索: AかBか、0か100か、という二者択一で思考を停止せず、両者の利害を部分的に満たす「第三の道」を粘り強く探す姿勢が高く評価されます。
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