あなたは、中堅食品メーカー「株式会社ネクストフーズ」の営業第二課の課長に就任して1ヶ月が経ったところです。
新しい役職にも少しずつ慣れてきましたが、まだチームメンバー一人ひとりの性格や仕事ぶりを完全に把握するには至っていません。
今日はあなたの上司である山田部長は終日、遠方の支社へ出張しており、緊急時以外は連絡がつきにくい状況です。
これからあなたは、10時から始まる定例会議に出席しなければなりません。現在時刻は9時40分。PCを立ち上げたところ、1通の未読メールが届いていることに気づきました。この案件への対応方針を会議が始まるまでの3分で決定し、次のアクションを明確にしてください。
差出人: 鈴木 恵子(営業第二課)
日時: 20XX年10月27日 9:35
件名: 【ご相談】田中さんの経費申請について
〇〇課長
おはようございます。
朝から大変恐縮なのですが、少し気になることがあり、課長にご相談させて頂きたくメールいたしました。
同じチームの田中健一先輩のことです。
田中先輩は営業成績もトップで、私も尊敬しているのですが、経費の申請に関して少し気になる点があります。
先週金曜日の夜、田中先輩が取引先である「ABCマート」様と会食をされた際の経費申請についてです。私もその日、別の会食で同じ飲食ビルの違う階におり、偶然帰りがけに田中先輩をお見かけしたのですが、お一人で店から出てこられたように見えました。
しかし、昨日、経理担当の同期から「田中さん、金曜はABCマートさんと結構な金額の接待だったみたいだね」という話を聞きました。
私の見間違いかもしれませんし、あらぬ疑いをかけるようで大変心苦しいのですが、もし万が一、カラ接待で経費を申請しているようなことがあると、チーム全体の問題になりかねないと思い、念のためご報告させて頂きました。
お忙しいところ申し訳ありません。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
鈴木 恵子
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bがベスト
この種の不正疑惑案件における管理職の初動として、最も冷静かつ論理的な対応です。優れている理由は以下の通りです。
- 1. 冷静な事実確認の徹底:
管理職は、部下からの報告(二次情報)を鵜呑みにせず、まずは客観的な証拠(一次情報)を確認する責務があります。感情的に動いたり、憶測で判断したりする前に、経費の申請書類や添付された領収書といった「動かぬ証拠」を最初に確認する姿勢は、公平性と論理的判断力の高さを示します。 - 2. 情報提供者の保護:
まず相談者である鈴木さんに「話を聞く」という姿勢を見せることで、彼女の勇気ある行動を無駄にせず、心理的な安全性を確保することができます。これにより、今後も問題が起きた際に報告が上がりやすい、風通しの良い組織文化を醸成することに繋がります。選択肢Aのようにいきなり本人を追及すると、情報源が鈴木さんであることが露見し、彼女がチーム内で孤立するリスクがあります。 - 3. 適切な手順:
「①相談者からの動機や状況のヒアリング」→「②客観的データの確認」→「③(必要であれば)本人へのヒアリング」というステップは、問題を穏便かつ確実に解決するための王道です。拙速に本人を追及(選択肢A)したり、調査を部下に丸投げ(選択肢C)したりするのは、管理職としての責任放棄やリスク管理能力の欠如と見なされます。
重要度:高 / 緊急度:低
この案件は、重要度と緊急度のマトリクスにおいて「重要度:高、緊急度:低」に位置づけられます。
- 重要度(高)の理由:
経費の不正請求は、コンプライアンス違反であり、個人の問題に留まりません。放置すれば、チーム全体のモラル低下や、会社の金銭的損失、さらには税務上の問題にまで発展する可能性があります。組織の規律を維持する上で、極めて重要度の高い案件です。 - 緊急度(低)の理由:
現時点で人命に関わる、あるいは事業継続を揺るがすような事態ではありません。むしろ、不確実な情報で焦って行動を起こすと、証拠を隠されたり、人間関係を悪化させたりと、事態をより複雑にするリスクがあります。正確な事実確認のために、ある程度の時間をかけて慎重に進めるべきであり、即時の対応が必須というわけではありません。
したがって、この案件は「急いで対応する必要はないが、決して放置せず、計画的に、かつ確実に対処すべき重要な課題」として捉えるのが適切です。まずは事実確認から着手するという判断が求められます。
管理職として部下の不正疑惑に直面した際は、冷静さと論理的な思考が何よりも重要です。アセスメント試験では、以下の行動原則が評価されます。
1. 憶測で動かず、事実(ファクト)を収集する
「〜という噂を聞いた」「〜のように見えた」という情報は、あくまで調査のきっかけに過ぎません。まずは客観的な証拠(データ、書類、物証など)を静かに収集することから始めましょう。感情的な判断や予断は、公正な判断を曇らせる最大の敵です。
2. 情報提供者を守り、話を聞く姿勢を見せる
問題を報告してくれた部下は、大きな勇気をもって行動しています。その部下を「告げ口をした」と見なすのではなく、「組織の自浄作用を促す重要なパートナー」として捉え、プライバシーと安全を最大限に保護する姿勢を明確に示しましょう。これが、ものが言える組織文化の土台となります。
3. 一人で抱え込まず、然るべき部署と連携する
不正調査は、人事部やコンプライアンス室、経理部といった専門部署と連携して進めるのが基本です。自分一人で解決しようとせず、上司に報告し、専門部署に協力を仰ぐことで、より公正で適切な対応が可能になります。今回のケースでは、まずは経理部との連携が第一歩となります。

