あなたは株式会社フロンティアテック 営業企画部 課長です。フロンティアテックは、ITソリューションを中堅・大手企業に提供する成長中の企業で、直近では特に「次世代CRM導入プロジェクト」が全社の最重要課題として進行しています。
現在、あなたは出張先(地方支社)におり、本日は午後に重要なクライアントとの商談が控えています。その合間を縫って、未読のメールを確認したところ、以下の一通が目に留まりました。制限時間は5分です。
この状況下で、あなたは営業企画部の課長として、この事態にどのように対処しますか?
差出人: 田中 健太 (営業企画部 主任)
宛先: あなた (営業企画部 課長)
日時: 20XX年4月15日 10:00
件名: 【重要】退職のご相談について
〇〇課長
いつも大変お世話になっております。田中です。
突然のメールで大変恐縮ですが、この度、一身上の都合により、本年6月末日をもちまして退職させていただきたく、ご相談させて頂きたく存じます。
フロンティアテックに入社以来、課長をはじめ諸先輩方には大変お世話になり、心より感謝しております。特に「次世代CRM導入プロジェクト」では、非常に貴重な経験を積むことができ、課長には深く御礼申し上げます。
しかしながら、私自身のキャリアパスを熟考した結果、新たな環境でより高いレベルの挑戦をしたいという思いが強くなりました。他社様から魅力的なオファーを頂戴したこともあり、この決断に至りました。
課長にはご迷惑をおかけすることは重々承知しており、大変心苦しく思っております。残りの期間で、現在担当している「次世代CRM導入プロジェクト」を含む業務の引き継ぎには、責任を持って最後まで対応させていただきます。
つきましては、一度お時間をいただき、直接お話させて頂く機会を設けていただければ幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
—
田中 健太
株式会社フロンティアテック 営業企画部 主任
内線: 1234
メール: tanaka.k@frontier-tech.co.jp
—
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
選択肢Cがベストな行動です。
突然の退職申し出に対し、管理職として最初に取るべき行動は、まず当事者である社員と直接対話し、その真意と状況を正確に把握することです。選択肢Cは、この「情報収集と傾聴」というマネジメントの基本原則に最も合致しています。
- 情報収集の優先性: 退職理由が「キャリアパス」と抽象的に記されているため、表面的な理由の奥にある本音(例えば、具体的な不満、他社の魅力的な条件、個人的な事情など)を深く掘り下げて聞く必要があります。この情報なくして、適切な引き止め策や業務影響の評価はできません。
- 信頼関係の維持: まず本人の話に耳を傾けることで、会社としての誠実な姿勢を示し、良好な信頼関係を維持できます。仮に退職が避けられない場合でも、円満な退職とスムーズな引き継ぎに繋がります。
- 引き止めの可能性: 具体的な不満や希望条件を把握できれば、会社として対応できる範囲で改善策を提示し、引き止め交渉の余地を探ることができます。選択肢Bのように、本人の意思や背景を十分に理解せずに業務引き継ぎや後任手配を先行させると、引き止める機会を逸してしまう可能性があります。
- 上長報告のタイミング: 選択肢Aのように、当事者との面談前に上長に報告するのも一見適切に見えますが、上長も具体的な情報がない状態では適切な指示を出しにくいでしょう。まずは当事者から直接情報を得た上で、その情報を元に上長と相談する方が、より建設的な議論が可能です。
結論として、エース社員の突然の退職申し出という緊急事態においては、「まずは当事者と向き合い、情報を得る」という初動が、その後の全ての判断と対応の質を決定づけるため、選択肢Cが最も適切と言えます。
重要度:高 / 緊急度:高
【重要度:高】 【緊急度:高】
この案件は、重要度・緊急度ともに「高」と判断されます。
- 重要度(高)の理由:
- 基幹プロジェクトへの影響: 田中主任は「次世代CRM導入プロジェクト」の中核メンバーであり、彼の退職はプロジェクトの遅延、品質低下、最悪の場合プロジェクト自体の頓挫に繋がりかねません。
- ノウハウ流出のリスク: 彼の持つ特定の知識やスキルは会社にとって貴重であり、その流出は競合他社に有利に働く可能性があります。
- 組織士気への影響: エース社員の退職は、他のメンバーのモチベーション低下や、連鎖的な退職を招く可能性があります。
- 後任確保の困難さ: 彼の専門性と経験を兼ね備えた人材の確保・育成には時間とコストがかかります。
- 緊急度(高)の理由:
- 退職希望日の明確化: 「6月末日」という具体的な期日が示されており、残された時間は限られています。
- 意思の固化阻止: 退職意思が固まりきってしまう前に、早期に介入し、対話の機会を設ける必要があります。時間が経てば経つほど、引き止めることが難しくなります。
- 業務引き継ぎと後任手配: 仮に退職が避けられない場合でも、スムーズな業務引き継ぎと後任の手配には相応の準備期間が必要であり、迅速な着手が必要です。
これらの理由から、この案件は最優先で対応すべき事項であり、迅速かつ慎重な判断が求められます。
インバスケット試験に限らず、管理職として突然の退職申し出に直面した際には、以下のマインドセットと行動原則が非常に重要です。
- まずは「傾聴と共感」:
感情的にならず、社員の話を真摯に聞く姿勢が最も重要です。「なぜ退職したいのか」「何に不満を感じているのか」「何を求めているのか」を深く理解しようと努めましょう。頭ごなしに引き止めたり、責めたりすることは絶対に避けてください。 - 事実確認と情報収集の徹底:
退職理由の背景にある真の動機、他社からのオファーの内容、希望する条件(給与、職務内容、働く環境など)を客観的に把握します。この情報が、その後の対応策(引き止め、円満退職への道筋)を決定する上で不可欠です。 - 多角的な視点での影響分析:
- 本人への影響: 社員のキャリアパスと自己実現の観点。
- 部署・チームへの影響: 業務負荷、士気、ノウハウ継承、後任育成。
- 会社全体への影響: プロジェクトへの影響、競争力、ブランディング。
- 法的・人事的な側面: 就業規則、退職交渉、雇用契約。
- 迅速な情報共有と連携:
必要な情報を得た後、速やかに上長、人事部、関連部署と連携し、状況を共有し、協力体制を築きます。一人で抱え込まず、組織としての対応を検討することが重要です。 - 柔軟な対応策の検討と提示:
引き止め交渉の余地がある場合、本人の要望に応えられる範囲で具体的な改善策(配置転換、職務内容の見直し、評価・報酬体系の検討、キャリア支援など)を提示できるかどうかが問われます。 - リスクヘッジと次のステップの準備:
仮に退職が避けられない場合でも、業務の円滑な引き継ぎ計画の策定、後任者の選定・育成、残されたメンバーへのケアなど、組織の損害を最小限に抑えるための行動を迅速に開始します。
アセスメント試験では、「感情に流されず、冷静に状況を分析し、論理的な優先順位付けと、組織全体を見据えた行動ができるか」が厳しく評価されます。個人の事情と組織の利益のバランスをどう取るか、その判断力が試されるでしょう。

