あなたはフューチャーコネクト株式会社 ソリューション開発部 課長です。着任してまだ1ヶ月。前任者が急遽退職し、組織再編後の混乱が残る中、あなたは新しい部門の舵取りを任されています。年間決算まで残り3ヶ月という時期に差し掛かり、あなたは本部長から緊急のメールを受け取りました。あなたの部門の年間予算が大幅に超過しているという内容です。この状況を解決するため、あなたは制限時間5分以内に最適な対応を決定し、実行に移さなければなりません。手元には、未読メールが1通届いています。
フューチャーコネクト株式会社について:
ITインフラ構築からSaaS開発・運用までを手掛ける中堅ITサービス企業。近年、市場の急速な変化に対応するため、新規事業開発に積極的で、組織再編やM&Aを繰り返している。顧客からの信頼は厚いが、内部的には組織体制の刷新による業務プロセスの見直しが追いついていない側面もある。
あなたは、このメールに対し、どのような行動を取りますか?3つの選択肢の中から、最も適切と考える行動を一つ選び、その理由を明確に記述してください。
宛先: あなた (ソリューション開発部 課長)
日時: 20XX年10月28日 09:00
件名: 重要:ソリューション開発部、予算超過に関する緊急会議招集と対応方針について
ソリューション開発部 課長殿
本部長の高橋です。
大変遺憾ながら、貴部門の年間予算執行状況について、深刻な問題が発生していることを報告せざるを得ません。経理部からの最新報告によれば、ソリューション開発部の年間予算は、現時点で年間計画の150%ペースで推移しており、このままでは年度末に約3,000万円の予算超過となる見込みです。これは、全社的に見ても看過できない水準であり、当社の業績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
特に問題視されているのは、以下の点です。
- 外注・業務委託費の急増: 新規プロジェクトの急増に伴う一時的な増額と報告されていますが、その費用対効果が不明瞭な案件が散見されます。
- 高額なソフトウェアライセンス費: 特定プロジェクトで導入された新規ツールやサービスにおける、事前検討不足による重複契約や、利用状況に見合わない過剰な契約が疑われます。
- 出張・会議費、交際費の増大: コロナ禍明け以降、対面での営業活動や顧客対応が増加しているのは理解しますが、その管理が十分にされているとは言えません。
貴部門は、当社の顧客満足度を支える重要な役割を担っており、安易なコスト削減がサービス品質の低下を招くことは断じて避けなければなりません。しかし、この予算超過を放置することは、部門、ひいては会社の経営基盤を揺るがしかねない危機的状況です。貴部門の組織再編直後で、新任の課長であるあなたには多大なプレッシャーを与えてしまうことは承知しておりますが、この難局を乗り越える強いリーダーシップを期待しています。
つきましては、下記の日程で緊急会議を招集します。この会議では、貴部門の現状分析結果、および具体的なコスト削減計画を提示していただきます。計画策定にあたっては、短期的な成果と並行して、中長期的な部門運営に資する持続可能な施策を盛り込むよう強く要請します。
- 日時: 20XX年11月5日(月)14:00〜15:00
- 場所: 本社A会議室
- 出席者: 本部長 高橋、経理部長 佐藤、あなた (ソリューション開発部 課長)
会議までに、部門内の状況を把握し、建設的な提案を行う準備をお願いします。部下との連携を密にし、部門一丸となってこの課題に取り組んでください。
以上、よろしくお願いいたします。
フューチャーコネクト株式会社
本部長 高橋 健一
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
「選択肢C」がベストです。
この選択肢が最も優れている理由は、以下のマネジメント原則に基づいています。
- データに基づく意思決定の準備: 緊急性が高いとはいえ、状況を正確に把握せずに拙速な手を打つことは、プロジェクトの遅延や顧客満足度の低下、従業員の士気低下といった新たな問題を引き起こすリスクがあります。選択肢Cは、まず内部からの情報収集を優先し、客観的なデータに基づいて最も効果的かつ持続可能な削減策を検討する準備を整えます。
- 部下の巻き込みと当事者意識の醸成: 部門のメンバーに削減案の検討を促すことで、問題解決への当事者意識を高め、協力体制を構築できます。トップダウンの一方的な指示(選択肢A)は反発を招きやすく、実行力も低下しがちです。
- 短期的な対応と中長期的な視点: 本部長からのメールでは「短期的な成果と並行して、中長期的な部門運営に資する持続可能な施策」が求められています。選択肢Cは、短期的な削減案を募りつつ、その内容を精査することで、将来にわたる部門運営への影響を考慮した計画策定を可能にします。
- リーダーシップの発揮: 新任課長として、困難な状況下で冷静に状況を分析し、部下を巻き込みながら具体的なアクションプランを策定しようとする姿勢は、リーダーシップの発揮として高く評価されます。
その他の選択肢の課題点:
- 選択肢Aの課題: 即座のコスト削減は緊急性に応える行動ですが、部門内の状況を詳細に把握せずに行う一律の措置は、重要なプロジェクトの停滞、優秀な外注先との関係悪化、従業員のモチベーション低下、さらには顧客からの信頼失墜に繋がりかねません。特に新任の課長が拙速にトップダウンで指示を出すことは、反発を招き、部門内の統制を困難にするリスクがあります。
- 選択肢Bの課題: 本部長からの緊急招集に対して、新任であることを理由に具体的な計画の先送りを交渉する行為は、リーダーシップの欠如と判断される可能性が高いです。確かに情報収集は必要ですが、会議までの期間でできる最大限の準備を怠ることは許されません。責任を転嫁するような印象を与え、本部長からの信頼を損なうリスクがあります。
したがって、選択肢Cは、緊急性に対応しつつ、問題の本質に迫り、部門全体を巻き込みながら建設的な解決策を導き出すための、管理職として最もバランスの取れた初動と言えます。
重要度:高 / 緊急度:高
この案件の「重要度」と「緊急度」は以下の通りです。
- 重要度: 高
部門の予算超過は会社の業績に直結し、経営層からの信頼、ひいては部門の存続にも関わる重大な問題です。顧客満足度を維持しながらのコスト削減は、部門のマネジメント能力が問われる核心的な課題です。 - 緊急度: 高
年間決算まで残り3ヶ月という短期間で、すでに年間予算の150%ペースで推移している状況は、即座の対応が求められる危機的状況です。さらに、本部長からの緊急会議招集があり、具体的な削減計画の提示が求められている点からも、対応の緊急性は極めて高いと言えます。
したがって、この案件は「重要度:高、緊急度:高」の「Do First(最優先で着手すべき)」マトリクスに位置づけられます。管理職として、まず状況を冷静に把握し、速やかに具体的なアクションプランを立案・実行することが求められます。
管理職として予算超過やコスト削減の課題に直面した際、アセスメント試験で評価される行動原則は以下の通りです。
- 冷静な状況把握と分析: まず感情的にならず、数値データや事実に基づいて問題の根源(なぜ予算が超過したのか)を特定しようとする姿勢が重要です。感情的な判断や表面的な対策では、根本的な解決には繋がりません。
- 短期と長期の視点: 緊急の課題解決だけでなく、将来的な部門運営や事業成長に悪影響を与えないか、持続可能な改善策かを常に考慮してください。単なる「削減」ではなく「最適化」の視点を持つことが肝要です。
- 部門メンバーの巻き込みと合意形成: トップダウンの一方的な指示は反発を招きやすく、実行力も低下します。部下や関係者を巻き込み、問題意識を共有し、解決策を共に考えることで、当事者意識を高め、協力体制を構築できます。
- 多角的なステークホルダーへの配慮: コスト削減が顧客満足度、従業員の士気、他部門との連携にどのような影響を与えるかを常に考慮し、バランスの取れた意思決定を心がけましょう。影響を最小限に抑える工夫も必要です。
- リーダーシップと説明責任: 困難な状況下でこそ、管理職は明確なビジョンと方針を示し、部門を率いるリーダーシップを発揮する必要があります。上層部への進捗報告、部下への状況説明と今後の展望の共有は、信頼関係を築く上で不可欠です。
アセスメント試験では、単に「正解」を選ぶだけでなく、「なぜその行動を選んだのか」「その行動がどのような影響を与え、次に何を考えるか」といった思考プロセス全体が評価されます。多角的な視点から、論理的かつ戦略的に思考する能力を示すことが加点に繋がります。

