あなたは株式会社フロンティアテック 営業企画部 企画課長、山田太郎です。フロンティアテックは、先日大規模な組織改編を実施し、「DX推進部」を新設しました。これに伴い、営業企画部の一部の機能が移管され、人員も異動しています。
あなたの企画課は、通常業務に加え、新サービスの企画立案や市場分析など、常に多忙を極めています。今回の組織改編で、エース級の働きをしていた田中次郎が、来週からDX推進部へ異動することが決定しました。
あなたは現在、部内の混乱対応や部長への報告資料作成などで忙殺されています。このような状況の中、あなたは未読メールが溜まっていることに気づきました。制限時間は5分です。これらのメールを処理し、最適な対応策を講じてください。
【未読メール一覧】
メール1: 【重要】DX推進部への人員異動と新規プロジェクト発足について
差出人: 営業企画部 部長 佐藤健一
日時: 20XX年X月X日 10:30
宛先: 営業企画部 企画課長 山田太郎
山田課長
いつも業務お疲れ様です。
先日通達いたしました、企画課の田中次郎のDX推進部への異動ですが、来週月曜日付で正式に発令となります。田中は企画課の立ち上げから貢献してくれた人材であり、彼の新部署での活躍に期待するとともに、課としては痛手となることでしょう。
さて、その件と関連し、本日経営戦略部より「次世代SaaS導入戦略立案プロジェクト」の発足が決定しました。これは来期の全社戦略の根幹をなす最重要プロジェクトであり、経営層からの期待も非常に大きいものです。貴課がこのプロジェクトを主導し、来週中にはキックオフミーティングを設定するよう指示がありました。
人員的な制約があることは承知していますが、貴課の専門性と山田課長の手腕に期待しています。プロジェクトの初期計画と、課としての対応方針を早急に策定し、私に報告してください。
以上、よろしくお願いします。
佐藤 健一
メール2: 【ご相談】田中さんの異動後の業務分担と新規業務について
差出人: 営業企画部 企画課 鈴木花子
日時: 20XX年X月X日 11:15
宛先: 営業企画部 企画課長 山田太郎
山田課長
お疲れ様です、鈴木です。
田中さんの異動の件ですが、大変寂しい気持ちと同時に、彼の担当していた業務の引き継ぎについて不安を感じています。特に〇〇分析ツールの運用や、来月予定されているパートナー企業との定例会議資料作成など、田中さんでなければ難しい部分が多く、現状では私が全てをカバーできるか自信がありません。
また、先ほど部長から大規模な新規プロジェクトが発足したという話が耳に入ってきました。私の現在の業務(月次報告書の作成、市場データ更新など)も決して少なくなく、もし新規プロジェクトの業務が加わるとなると、キャパシティを大きく超えてしまう可能性があります。
課長の方で、今後の業務分担や、新規プロジェクトへの関わり方について、ご指示いただければ幸いです。お忙しいところ恐縮ですが、ご相談させてください。
よろしくお願いいたします。
鈴木 花子
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
理由:
- 現状把握と情報共有: 課全体の業務負荷とスキルセットを共有することは、適切なデリゲーションとリソース配分の第一歩です。鈴木さんの不安に耳を傾けることで、チームの士気を維持し、信頼関係を築きます。
- 戦略的デリゲーション: 新規プロジェクトの初期フェーズを複数のメンバーに分担させることで、特定の個人への負担集中を防ぎ、プロジェクトへの関与意識を高めます。また、田中さんの業務引き継ぎを明確にすることで、業務の停滞を防ぎます。
- リスク管理とサポート体制: 新規プロジェクトや引き継ぎ業務に対するメンバーの不安を解消するため、具体的なサポート体制を構築することは不可欠です。これにより、失敗のリスクを軽減し、メンバーの成長を促します。
- 上位者への適切な報告と相談: 課長として、課の現状と困難な状況を隠さず、部長に対して早期に報告・相談することは、問題解決のための協力体制を築き、上位層からの支援を引き出すために重要です。これは、組織全体の利益を考慮した管理職の重要な役割です。
- 組織マネジメントの視点: 一時的な乗り切り策ではなく、中長期的な視点で課の能力向上と安定した業務遂行を目指す行動であり、管理職に求められる組織マネジメント力を示しています。
選択肢A、Bが不適切である理由:
- 選択肢A(自己負担増大): 課長自身が主要業務を抱え込むことは、デリゲーションの放棄であり、課全体の成長機会を奪います。また、課長自身の過労やボトルネック化、他のマネジメント業務への支障を招き、結果としてプロジェクト全体の遅延や品質低下に繋がりかねません。
- 選択肢C(丸投げデリゲーション): 鈴木さんへの丸投げは、過度な負担と責任を一人に集中させ、彼女の経験やスキルレベルを考慮しないため、プロジェクトの失敗リスクを極めて高めます。サポートなしでの「成長機会」は、むしろメンバーのモチベーション低下や離職に繋がりかねない、不適切なデリゲーション手法です。
重要度:高 / 緊急度:高
この案件の評価マトリクス: 重要度「高」 & 緊急度「高」
理由:
- 重要度「高」: 経営戦略部からの「次世代SaaS導入戦略立案プロジェクト」は「来期の全社戦略の根幹をなす最重要プロジェクト」と明記されており、経営層からの期待も大きいとされています。これは課の成果だけでなく、自身の評価や会社の将来にも直結する重要な案件です。また、田中さんの異動による知識・業務の停滞は、課のパフォーマンスに直接影響します。
- 緊急度「高」: 新規プロジェクトは「来週中にはキックオフミーティングを設定するよう指示」されており、非常にタイトなスケジュールで初期計画の策定が求められています。田中さんの異動も来週に迫っており、引き継ぎと新しい体制での対応が喫緊の課題となっています。鈴木さんのようなメンバーからの不安の声が上がっていることも、早急な対応が必要なサインです。
したがって、この案件は最優先で課全体のリソースと対応方針を決定し、実行に移す必要があると判断されます。
管理職として組織改編や人員配置、特にデリゲーションが絡む案件に直面した際、以下のマインドセットと行動原則を持つことが、アセスメント試験で高く評価されるポイントとなります。
- 全体最適の視点: 個人の業務負荷だけでなく、課全体のパフォーマンス、メンバーの成長、組織目標達成という広い視野で判断します。目の前の課題だけでなく、中長期的な影響も考慮することが重要です。
- 情報収集と現状把握: 事実に基づいた現状把握(誰が何を担当しているか、スキルセット、負荷状況)が、適切な判断の基盤となります。メールだけでなく、直接のコミュニケーションを通じて情報精度を高める努力をしましょう。
- 明確なコミュニケーションと透明性: 不安を抱えるメンバーに対し、状況を正直に伝え、今後の方向性を示すことで、不必要な憶測や不満の拡大を防ぎます。チームを巻き込み、当事者意識を持たせることが肝要です。
- 戦略的デリゲーション: 単なる「仕事の押し付け」ではなく、「誰に、何を、どのように、どこまで任せるか」を戦略的に考えます。メンバーの成長機会を考慮しつつ、必要なサポート体制を構築することが、成功の鍵です。
- リスク管理とバックアッププラン: デリゲートした業務が滞る可能性を常に考慮し、リスクを最小限に抑えるための策(定期的な進捗確認、相談しやすい環境、緊急時の代替案など)を講じます。
- 上位者への適切な報告・相談: 課内だけで解決が難しい問題(人員不足、スキルギャップなど)は、隠さずに上位者に報告し、協力を仰ぎます。早期に適切な情報を上げることで、より上位レベルでの意思決定を促し、組織としての支援を引き出すことができます。
- リーダーシップの発揮: 不安な状況下でこそ、管理職はチームをまとめ、方向性を示し、前向きな行動を促すリーダーシップを発揮する必要があります。
今回の問題では、これらの原則に基づき、課全体の状況を把握し、メンバーを巻き込みながら、上位者とも連携して解決を図る「選択肢B」が最も管理職としてふさわしい対応と言えます。

