あなたは、BtoB向けソフトウェア開発企業「株式会社ネクスト・イノベーション」の事業推進部プロダクトマネジメント課の課長、木下 健太です。
現在、会社として注力している新製品「AIアナリティクスツール『Insight Engine Ver. 3.0』」のリリースを1ヶ月後に控えています。しかし、その最終仕様を巡って、顧客接点の最前線である営業部と、開発を担当する開発部の間で深刻な意見の対立が発生しています。
本日、事業推進部長は海外出張で終日不在。あなたは部長代理として、緊急案件への対応を任されています。
これから4分の間に、溜まっている未処理案件(メール20件)を処理し、あなたの指示や方針を部下や関係者に的確に伝えなければなりません。
以下のメールは、あなたの受信トレイに入っていた案件の1つです。
差出人: 鈴木 一郎 <i.suzuki@next-innovation.co.jp>
日時: 20XX年10月26日 09:15
宛先: 高橋 誠(事業推進部長) <m.takahashi@next-innovation.co.jp>
CC: 木下 健太(プロダクトマネジメント課長) <k.kinoshita@next-innovation.co.jp>
件名: 【至急・要対応】「Insight Engine Ver. 3.0」の仕様変更に関する開発部への抗議
高橋部長、および木下課長
お疲れ様です。営業第一部長の鈴木です。
表題の件、緊急事態のためご報告および対応を要請します。
昨日、最重要顧客であるグローバルトレード社を訪問した際、担当役員から「Insight Engine Ver. 3.0」について、競合のX社が先週発表した新機能『リアルタイム予測機能』が搭載されていない点について、厳しい指摘を受けました。「この機能がないのであれば、来期の契約更新は白紙で考えざるを得ない」とまで言われています。
急ぎ、開発部の山本部長に本機能の追加を強く要請しましたが、「今からの仕様変更はスケジュール的に不可能。無理に行えば全体の品質が担保できない」の一点張りで、全く取り合ってもらえません。
開発部はいつも自分たちの都合ばかりで、顧客の声や我々営業の現場の苦労を軽視しすぎています。このままでは、グローバルトレード社だけでなく、同様の要望を持つ他の複数の顧客も失いかねません。今期の売上目標達成が極めて困難な状況です。
事業推進部として、至急この問題を解決してください。開発部を説得し、何としてでも『リアルタイム予測機能』を追加させるよう、強力なリーダーシップを発揮していただくことを期待します。本日中に、対応方針についてご回答ください。
以上、よろしくお願いいたします。
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株式会社ネクスト・イノベーション
営業本部 営業第一部長
鈴木 一郎
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
ベストな選択肢はCです。
管理職、特に部門間の調整役を担うプロダクトマネージャーには、一方の意見に偏らず、全社的な視点で最適な意思決定を導く能力が求められます。
- 選択肢Aは、営業部の要求を鵜呑みにするだけで、開発現場の現実(技術的リスク、リソース、品質問題)を無視しています。短期的な売上を優先するあまり、製品全体の品質を損ない、結果的に企業の信頼を失うリスクがあります。また、開発部の反発を招き、部門間の対立をさらに深刻化させるでしょう。
- 選択肢Bは、開発部の都合を優先しており、市場や顧客の緊急性の高いニーズに応えられていません。重要顧客を失うリスクを軽視しており、事業機会の損失に繋がります。これもまた、営業部の不満を増大させるだけの結果になります。
- 選択肢Cは、感情的な対立を排し、客観的なデータ(ファクト)に基づいて議論する場を設定するという、最も建設的なアプローチです。管理職として、対立する両者の間に立ち、感情論ではなく「事業にとって何が最適か」という共通のゴールに向かわせるファシリテーション能力を発揮することが重要です。このミーティングを通じて、例えば「機能を限定してリリースする」「リリースを少し延期してでも機能追加する」「追加リソースを投入する」といった、創造的な第三の解決策を見出すことが可能になります。
重要度:高 / 緊急度:高
この案件は、時間管理マトリクスにおいて「重要度:高」「緊急度:高」に位置づけられます。
- 重要度(高): 本件は、会社の注力製品のリリース、最重要顧客との契約、そして今期の売上目標達成に直接関わる極めて重要な問題です。この対応を誤ると、会社に与える金銭的・信用的ダメージは計り知れません。
- 緊急度(高): 営業部長から「至急」「本日中に回答を」と強いプレッシャーがかかっており、感情的な対立が既に発生しています。放置すれば、関係者の不信感が募り、問題がさらに複雑化・深刻化する可能性が高いです。迅速な初期対応(ミーティングの設定など、事態をコントロール下に置くアクション)が不可欠です。
部署間対立は、どの組織でも起こりうる普遍的な課題です。管理職としてこの種の案件に直面した際、以下のマインドセットと行動原則が評価のポイントとなります。
マインドセット
- 中立・公平の原則: どちらかの部署の代弁者になるのではなく、常に「会社全体の利益」を判断基準とする公平なファシリテーターに徹してください。
- 課題の分離: 「感情的な対立」と「解決すべきビジネス上の課題」を明確に切り分けましょう。感情的な部分に引きずられず、冷静に問題の本質を見極めることが重要です。
- 当事者意識の醸成: 「私が解決してあげる」というスタンスではなく、対立する両部署が「自分たちの問題」として主体的に解決策を見出すように促すことが、根本的な解決と組織の成長に繋がります。
アセスメントで加点されやすい行動原則
- ファクトベースの意思決定: 思い込みや伝聞で判断せず、客観的なデータ(工数、リスク、売上インパクト、顧客データなど)を集め、それに基づいて議論を進める姿勢は高く評価されます。
- 構造的なアプローチ: まず関係者を集めて課題を共有し、ゴールを設定し、複数の選択肢を検討し、合意形成を図る、という一連のプロセスをデザインする能力を示しましょう。
- コミュニケーションの設計: 誰と誰を、どのような場で、何をアジェンダとして話させるかを戦略的に考えることが重要です。1対1の根回しと、関係者全員での会議を効果的に使い分ける視点も求められます。

