【納期遅延Lv5】複合的な納期遅延への管理職の対応力

【納期遅延Lv5】複合的な納期遅延への管理職の対応力 インバスケット演習

【背景】
あなたは、ITソリューション企業「株式会社ネクストリーム・ソリューションズ」のデジタルイノベーション事業部 第2開発部の新任課長です。本日が着任初日であり、前任者からの引き継ぎは十分ではありません。

【あなたの状況】
現在時刻は午前9時。あなたは事業部長との着任挨拶と半期戦略会議のため、午前9時から12時まで3時間、自席を離れなければなりません。その間に、以下のメールを処理し、対応方針を決定して関係者に指示を出す必要があります。処理に使える時間は5分です。

【組織とプロジェクトの状況】
あなたの部署は、最重要クライアントである「フロンティア製薬」向けの次世代CRMシステム開発プロジェクト、通称「プロジェクト・オーロラ」を担当しています。このプロジェクトは経営層も注目する全社的な最優先案件で、納期は3ヶ月後に迫っています。

差出人: 鈴木 一郎 (プロジェクトリーダー) <i.suzuki@nextream-sol.co.jp>
日時: 20XX年10月27日 08:45
件名: 【至急・重要】プロジェクト・オーロラ進捗遅延の件と緊急対策会議のご提案


高橋課長

着任初日に大変恐縮ですが、緊急でご判断いただきたい事項がありご連絡いたしました。
担当しております「プロジェクト・オーロラ」ですが、現状、計画に対して約35%の深刻な遅延が発生しており、このままでは納期遵守は絶望的な状況です。

遅延の要因は複合的ですが、主要因は以下の4点です。

  1. 技術的課題:
    中核機能であるAIレコメンドエンジンの精度が目標値に達していません。担当している若手の山田君が連日徹夜で対応していますが、プレッシャーからか精神的にかなり追い詰められているように見えます。
  2. クライアントからの仕様変更要請:
    先週末、フロンティア製薬の山本部長から直接、「競合が実装した新機能を至急追加してほしい」との強い口頭要請がありました。影響範囲が甚大にもかかわらず、正式な仕様変更要求書は未だ提出されていません。サブリーダーの佐藤さんが対応していますが、板挟みになり疲弊しています。
  3. 品質保証部との連携不備:
    品質保証部の田中部長より「セキュリティテストのプロセスが社内規定に準拠していない」との指摘を受け、一部モジュールが差し戻されています。田中部長は一切の例外を認めない姿勢で、スケジュールへの配慮を求めても「規則ですから」の一点張りです。
  4. チーム内の不和:
    率直に申し上げますと、私のプロジェクト推進方針に対し、サブリーダーの佐藤さんが反発しています。彼女は「メンバーの疲弊を無視している」と感じているようで、チームの雰囲気が悪化しています。結果として、コミュニケーションロスによる手戻りも散見されます。

つきましては、本日13:00より緊急対策会議を開催したく存じます。
私としては、この場で以下の2点を決定し、即時実行に移したいと考えております。

  • 対策案1: 事業部長に事情を説明し、他部署から即戦力エンジニア3名の追加投入を要請する。
  • 対策案2: フロンティア製薬に対し、仕様変更のスコープ確定を前提として、2ヶ月の納期延長を正式に申し入れる。

会議開催および上記対策案の方向性について、課長のご承認をいただきたく、ご多忙の中恐縮ですが、12時までにご指示をお願いいたします。

以上、よろしくお願いいたします。

—
鈴木 一郎
デジタルイノベーション事業部 第2開発部
プロジェクト・オーロラ プロジェクトリーダー

A

鈴木リーダーの提案通り、13時からの緊急対策会議の開催を承認する。会議の進行は鈴木リーダーに一任し、自分は会議後の結論報告を待つ。まずは現場の自主性を尊重する姿勢を示す。
B

緊急対策会議は不要と即断する。鈴木リーダーには「技術課題の解決に専念せよ」、佐藤サブリーダーには「クライアントへの正式な要求書提出の依頼と議事録作成」を個別に指示。品質保証部の田中部長には自らアポイントを取り、直接交渉に臨む準備を始める。
C

鈴木リーダーに返信し、緊急対策会議は14時からに設定変更を指示。その前の13時から、鈴木リーダーと佐藤サブリーダーと個別に15分ずつ面談の時間を設定し、多角的な事実確認と意見聴取を行う。その情報をもとに会議のアジェンダを再構築する。
回答と解説を見る

正解:C

選択肢Cがベストです。

選択肢Cがベスト

この選択肢が最も優れている理由は、着任初日の新任管理職として、「正確な情報収集」と「多角的な視点の確保」を最優先している点にあります。

  • 情報収集の優先: 鈴木リーダーからのメールは彼の視点に偏っている可能性があります。特にチーム内の不和については、もう一方の当事者である佐藤サブリーダーの意見を聞かなければ、本質的な原因は掴めません。独断で動く(B)や丸投げする(A)前に、まず事実を正確に把握しようとする姿勢は、管理職の基本です。
  • 問題の構造的把握: この案件は「技術」「顧客」「社内連携」「チーム内人間関係」という4つの問題が複雑に絡み合っています。個別の1on1を行うことで、これらの問題の相関関係やボトルネックがどこにあるのかを構造的に理解することができます。その上で会議に臨むことで、議論が発散せず、的確な意思決定が可能になります。
  • 心理的安全性への配慮: 疲弊している佐藤サブリーダーや追い詰められている若手エンジニアの状況を把握し、ケアする姿勢を示すことは、チームの崩壊を防ぎ、長期的な生産性を維持するために不可欠です。個別の面談は、部下との信頼関係を構築する第一歩となります。
  • リーダーシップの発揮: 選択肢Aは責任放棄と捉えられかねません。一方、選択肢Cは、部下の意見を尊重しつつも、会議の時間やアジェンダ設定といった場で主導権を握り、自らが問題解決のハブになるという明確なリーダーシップを示しています。

結論として、選択肢Cは場当たり的な対応ではなく、問題の本質を見極め、関係者を巻き込みながら解決へと導くための最も戦略的で効果的な初動と言えます。

重要度:高 / 緊急度:高

重要度: 高

全社的な最優先案件であり、最重要クライアントとの関係性、事業部の売上と利益に直接的な影響を与えるため、重要度は「高」です。プロジェクトの失敗は、単なる逸失利益に留まらず、企業のブランドイメージや信頼を大きく損なうリスクを内包しています。

緊急度: 高

納期が3ヶ月後に迫る中、35%という深刻な遅延は致命的です。問題が複数かつ悪化傾向にあり、放置すればするほど回復不可能な状況に陥ります。チーム内の不和やメンバーのメンタル不調など、時間経過とともに深刻化する要素も含まれており、即時の介入と対策の方向性決定が求められるため、緊急度は「高」と判断されます。

納期遅延や進捗遅れの問題は、管理職が直面する最も典型的かつ困難な課題の一つです。アセスメント試験では、パニックにならず、以下の原則に沿って冷静かつ論理的に思考・行動できるかが評価されます。

  • 1. まずは事実確認(Fact Finding):
    報告された内容を鵜呑みにせず、「事実」と「意見・感情」を切り分けて整理します。関係者から多角的に情報を収集し、問題の全体像と根本原因(真因)を客観的に把握することが全ての起点です。今回のケースでは、鈴木リーダーと佐藤サブリーダー双方から話を聞く行動がこれにあたります。
  • 2. 問題の分解と優先順位付け:
    複雑に絡み合った問題は、解決可能な単位に分解します。「技術課題」「顧客折衝」「品質保証部との連携」「チームマネジメント」など、課題ごとに分類し、それぞれに対して「影響度」と「解決の難易度」を考え、どこから手をつけるべきか優先順位を決定します。全てを同時に解決しようとすると、リソースが分散し、共倒れになるリスクがあります。
  • 3. ステークホルダー・マネジメント:
    自分一人で解決できる問題は多くありません。クライアント、上司、部下、他部署など、関係者(ステークホルダー)を洗い出し、それぞれの立場や利害を理解した上で、コミュニケーションプランを立てることが重要です。誰に、何を、いつ、どのように伝え、協力を仰ぐかを戦略的に考えましょう。
  • 4. 「犯人探し」ではなく「解決策」に集中:
    過去の失敗を責めても状況は好転しません。「なぜこうなったか」の分析は必要ですが、それは未来の対策のためです。部下を糾弾するのではなく、「では、どうすればこの状況を打開できるか」という未来志向の問いを中心に、チーム全体のエネルギーを問題解決に向けさせることが、リーダーの重要な役割です。

これらの原則に基づき、自身の思考プロセスを明確に説明し、具体的な行動計画を示すことができれば、高い評価を得られるでしょう。

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