あなたは、食品メーカー「株式会社ハピネスフーズ」のマーケティング課長に就任して1ヶ月が経ったばかりです。
チームのメンバーとの信頼関係を構築している最中ですが、今日は午後から重要な取引先との打ち合わせで1時間ほど外出する予定です。
外出前にメールをチェックしていると、1通のメールが目に留まりました。
この案件をどのように処理すべきか、方針を決定してください。
- あなたの役職: 株式会社ハピネスフーズ マーケティング課長
- 部下の人数: 8名
- 制限時間: これから1時間の外出予定があり、その間に処理方針を決定する
差出人: 中村 健太 <k.nakamura@happinessfoods.co.jp>
日時: 20XX年10月27日 13:05
件名: 【ご相談】佐藤さんの経費申請について
高橋課長
お疲れ様です。
中村です。
少々申し上げにくいことなのですが、気になることがありご相談させてください。
先日、経費精算システムでチームメンバーの申請内容を参考に見ていたところ、若手の佐藤さんのタクシー代の申請に少し疑問を感じました。
対象の申請:
- 日付: 10月20日(金) 22:30頃
- 区間: 渋谷駅 → 自宅最寄駅(三鷹駅)
- 金額: 8,500円
- 事由: 競合プレゼン資料作成のため残業
確かにその日はチームの皆で遅くまで残業していましたが、私の記憶では佐藤さんは21時頃には退社していたように思います。
また、SNSで佐藤さんの投稿を見た別の同僚が「その日、佐藤さんは渋谷で友人と食事をしていたようだ」と話していました。
もちろん、私の勘違いや同僚の記憶違いの可能性も十分にあります。
しかし、万が一これが私的な利用だった場合、問題かと思いましたので、念のため課長にご報告させていただきました。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
中村 健太
回答と解説を見る
正解:A
選択肢Aがベストです。
選択肢Aがベスト
この選択肢が最も優れている理由は、管理職として求められる「客観的な事実確認」「当事者への配慮」「報告者の保護」という3つの基本原則を遵守している点にあります。
- 客観的な事実確認の優先(Fact Finding)
中村さんからの報告はあくまで「疑惑」であり、伝聞情報も含まれています。感情や憶測で動く前に、まずは勤怠システムのログやPCのログイン・ログオフ履歴など、客観的なデータを収集することが不可欠です。これにより、公平な判断の土台を築くことができます。 - 当事者への配慮(Respect for Individual)
「不正をした」と決めつけてヒアリングするのではなく、「申請内容の確認」という形でアプローチすることで、相手の逃げ道を塞がず、心理的なプレッシャーを軽減できます。これにより、正直な発言を促し、信頼関係の毀損を最小限に抑えることが可能です。万が一、勘違いだった場合のリスクも回避できます。 - 報告者の保護(Whistleblower Protection)
報告者の名前を明かさずに対応することは、コンプライアンスを機能させる上で極めて重要です。報告者が不利益を被るリスクをなくすことで、今後も問題が起きた際に報告が上がりやすい、健全な組織風土を醸成することに繋がります。
選択肢Bは問題の先送りに過ぎず、管理職としての責任放棄と見なされます。選択肢Cは、報告者の保護を怠り、高圧的な対応で信頼関係を破壊する最悪の選択肢です。
重要度:高 / 緊急度:低
- 重要度: 高
金額の大小に関わらず、「不正の可能性」はコンプライアンスに関わる重大な問題です。これを放置すれば組織の規律が緩み、「この程度のことは許される」という誤ったメッセージをチームに与えかねません。管理職としての公正さや問題解決能力が問われる案件であり、重要度は高いと判断します。 - 緊急度: 低
すでに申請・精算が完了している過去の事象であり、今すぐ対応しないと事業継続に致命的な影響が出るわけではありません。むしろ、拙速な対応は誤解や人間関係の悪化を招くリスクがあります。客観的な事実を確認し、慎重に対応方針を練る時間的猶予があるため、緊急度は低いと判断します。
管理職として部下の不正疑惑に直面した際は、冷静かつ毅然とした対応が求められます。アセスメント試験では、以下の点が評価されます。
- 1. 感情より事実(Fact-Based)
報告を聞くと「けしからん」という感情が湧くかもしれませんが、まずは冷静になりましょう。あなたの仕事は犯人探しではなく、事実を明らかにし、組織として公正な判断を下すことです。「疑わしきは罰せず」ではなく「疑わしきはまず確認する」という姿勢が重要です。 - 2. 決めつけないオープンな対話
本人から話を聞く際は、高圧的な尋問になってはいけません。「何か後ろめたいことはないか?」ではなく、「この日の申請について、状況を教えてもらえますか?」とオープンな質問を心がけましょう。相手の言い分を傾聴する姿勢が、真実の解明と信頼関係の維持に繋がります。 - 3. 組織としての対応を意識する
この問題はあなた個人の問題ではなく、組織の問題です。対応に迷う場合は、安易に自己判断せず、人事部やコンプライアンス部門など、専門部署に相談する姿勢も高く評価されます。自分ひとりで抱え込まず、然るべきプロセスに則って対応することが、リスク管理の基本です。

