【納期遅延Lv3】プロジェクト遅延報告への初動は?

【納期遅延Lv3】プロジェクト遅延報告への初動は? インバスケット演習

【背景】
あなたは、ITソリューション企業「株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ」のソリューション開発本部・第2開発部の課長です。前任者の急な退職に伴い、本日付で着任しました。前任者からの引継ぎは十分とは言えない状況です。

【現在の状況】
今日は着任初日。自席のPCを立ち上げ、メールをチェックし始めたところです。これから1時間後には、矢口本部長への着任挨拶と、部内メンバー(15名)との初顔合わせミーティングが予定されています。

あなたは、限られた時間の中で、溜まっている未読メールを処理し、取るべきアクションの優先順位を判断しなければなりません。

【制限時間】
4分

差出人: 佐藤 健太 <k-sato@nextvision.co.jp>
日時: 20XX年10月26日 09:15
宛先: あなた (課長)
件名: 【至急・ご相談】プロジェクト・フェニックスの進捗遅延について


新課長

本日より第2開発部へご着任、誠におめでとうございます。
リーダーの佐藤です。これからどうぞよろしくお願いいたします。

早速で大変恐縮なのですが、至急ご相談したい件がございます。
私が担当しております最重要クライアント「株式会社グローバル・トレーディング」様向けの基幹システム刷新プロジェクト「プロジェクト・フェニックス」において、進捗に遅れが生じております。

原因は、インフラ構築部が担当している検証環境用サーバーの設定作業が、当初の計画より5営業日遅延していることです。こちらからは何度も催促しているのですが、「他案件でリソースが逼迫している」との一点張りで、明確な完了時期の回答が得られておりません。このままでは、我々の開発チームの作業も滞り、最終納期に影響が出ることは必至です。

つきましては、新課長より以下のご対応をお願いできないでしょうか。

  • インフラ構築部の鈴木部長へ、本件の重要性を伝えた上で、最優先で対応するよう強く申し入れていただくこと。
  • クライアントの担当である高橋部長へ、現状をご報告いただくこと。

添付にて、最新の進捗報告書をお送りいたします。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

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ソリューション開発本部 第2開発部
佐藤 健太
添付ファイル: Project_Phoenix_Progress_231026.xlsx
——————————–

A

すぐにインフラ構築部の鈴木部長に電話し、状況説明を求めて強く作業の催促を行う。その後、クライアントの高橋部長に電話し、進捗遅延を正直に報告し謝罪する。
B

まずリーダーの佐藤を自席に呼び、添付資料の内容も含め、遅延の客観的な事実、原因の詳細、これまでのインフラ構築部とのやり取りの経緯について5分でヒアリングを行う。
C

リーダーの佐藤にメールで返信。「まずは佐藤さん自身でインフラ構築部の担当者と再度話し、具体的な遅延理由と今後の見通しを確認してください。その結果を持って、改めて報告をお願いします」と指示する。
回答と解説を見る

正解:B

選択肢Bがベストです。

選択肢Bがベスト

この選択肢が最も優れている理由は、管理職の意思決定における最も重要な原則である「事実確認(Fact Finding)」を最優先している点にあります。

  • 1. 客観的な事実の把握:
    部下である佐藤からの報告は、あくまで彼の一方的な視点である可能性があります。感情的になっていたり、自部署に都合の良い解釈をしていたりするかもしれません。管理職として、他部署や顧客といった外部にアクションを起こす前に、まずは客観的で正確な情報を収集することが絶対条件です。佐藤へのヒアリングは、そのための不可欠な第一歩です。
  • 2. 根本原因の探求:
    遅延の真の原因は、本当にインフラ構築部のリソース不足だけでしょうか?もしかしたら、こちらから渡した要件定義書に不備があった、あるいは無理なスケジュールを要求していた、といった可能性も考えられます。佐藤との対話を通じて、これまでのコミュニケーションの経緯や問題の背景を深掘りすることで、より的確な対策を講じることができます。
  • 3. 適切な対外折衝の準備:
    情報が不十分なままインフラ構築部長やクライアントに連絡しても、相手からの的確な質問に答えられず、かえって話がこじれたり、信頼を失ったりするリスクがあります(選択肢Aの欠点)。まず内部で状況を完全に把握し、対応方針の仮説を立ててから外部と折衝に臨むのが、マネジメントの鉄則です。

選択肢Aは行動が早計すぎ、選択肢Cは重要案件に対する責任放棄(丸投げ)と見なされるリスクがあり、新任管理職としての信頼を損なう可能性があります。したがって、まず状況を正確に把握しようとするBの行動が、最も論理的で優れた判断と言えます。

重要度:高 / 緊急度:高

重要度:高

最重要クライアント向けの基幹システム刷新プロジェクトであり、この案件の成否は事業部全体の業績や会社としての信頼に直接影響します。金銭的なインパクトも大きく、管理職として最優先でリソースを投下し、解決にあたるべき経営課題と位置づけられます。

緊急度:高

すでに「5営業日の遅延」という具体的な問題が発生しており、放置すればするほど影響範囲は拡大し、リカバリーが困難になります。クライアントへの報告や関係部署との調整も一刻を争う状況であり、即時のアクションが求められます。

この種の「納期遅延・進捗遅れ」案件は、管理職の力量が最も問われる典型的なケースです。アセスメント試験では、以下の原則に基づいた行動が高く評価されます。

  • 1. 焦らず、まず事実を確認する:
    悪い報告に接すると、すぐに誰かに電話をかけたり、謝罪したりと、反射的な行動を取りがちです。しかし、優れた管理職はまず冷静に立ち止まります。「何が (What)」「なぜ (Why)」「どのように (How)」起きているのかを、客観的なデータや複数の関係者からのヒアリングを通じて正確に把握することから始めてください。
  • 2. 部下の報告を鵜呑みにしない:
    部下を信頼することと、報告を無批判に受け入れることは全く異なります。特に、問題の原因を他者(他部署など)に求める報告に対しては、一度立ち止まってその背景を検証する視点が不可欠です。「他責」の構造に安易に乗っかるのではなく、自部署側に課題はなかったかを自問する姿勢が重要です。
  • 3. コミュニケーションプランを立てる:
    事実を把握した上で、「誰に」「何を」「いつ」「どのような順番で」伝えるかを設計します。クライアント、上司、関係部署、部下など、ステークホルダーごとに伝えるべき内容やタイミングは異なります。このプランニング能力が、混乱を最小限に食い止め、信頼を維持する鍵となります。
  • 4. 自身の責任で決断する:
    「リーダーに任せる」「上司に判断を仰ぐ」という選択肢も時には必要ですが、アセスメントではまず「あなた自身が課長としてどう考え、どう動くか」が見られています。一次対応の段階では、他者に判断を委ねるのではなく、自らの責任で情報を集め、方針を決定する主体的な姿勢を示しましょう。
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