あなたはネクサスソリューションズ株式会社 法人営業本部 営業二課の課長です。あなたのチームは現在、新規顧客である大手製造業「フロンティアテック」向けの基幹システム導入プロジェクト「プロジェクト・アポロ」を最優先で推進しており、四半期末の売上目標達成に向けて正念場を迎えています。
チームは慢性的な人員不足に悩まされており、特に田中 健太は入社以来5年間でトップクラスの営業成績を維持し、「プロジェクト・アポロ」においても、フロンティアテック社の担当として中心的役割を担うエース社員です。
本日は月曜日で、午前中は重要会議が続き、自席に戻ったのは13:00です。あなたは自席に戻るなり、未読メールの多さにため息をつきました。その中に、特に目を引く件名のメールが1件あります。
【制限時間】
- この状況を理解し、問題に対応するための行動方針を決定するまで、5分とします。
- 限られた情報の中で、課長として最も適切と思われる行動を選択し、その理由を明確に記述してください。
差出人: 田中 健太 <k.tanaka@nexus-solutions.co.jp>
宛先: [あなたの氏名] <[あなたのメールアドレス]>
日時: 20XX年7月15日(月) 10:35
件名: 【重要】退職のご相談(至急ご確認願います)
〇〇課長
お疲れ様です、田中です。
突然のご連絡となり、大変恐縮ですが、この度、一身上の都合により、来る8月末日をもって退職させていただきたく、ご相談させて頂きたく存じます。
数年前より考えていたキャリアプランの転機が訪れ、私にとって非常に魅力的な他社からのオファーがあり、熟慮を重ねた結果、このタイミングで転職を決意いたしました。
現在担当している「プロジェクト・アポロ」につきましては、契約前の最終フェーズであり、責任を痛感しております。しかし、先方からは早期の意思決定を求められており、時間的制約があるため、早急に次のステップに進みたいと考えております。
つきましては、お忙しいところ恐縮ですが、本日中に一度、緊急でお時間を頂戴することは可能でしょうか。直接、詳細をご説明させて頂ければ幸いです。
このような形でご迷惑をおかけすることになり、誠に申し訳ございません。
何卒、ご理解いただけますようお願い申し上げます。
————————————
田中 健太
ネクサスソリューションズ株式会社
法人営業本部 営業二課
電話: XXX-XXXX-XXXX
E-mail: k.tanaka@nexus-solutions.co.jp
————————————
田中氏の突然の退職申し出に驚きつつも、彼のキャリアプランを尊重し、まず「プロジェクト・アポロ」の引き継ぎスケジュールと後任候補の検討を最優先で開始する。
同時に、田中氏には「プロジェクト・アポロ」の顧客であるフロンティアテック社への説明や、チームメンバーへの影響を考慮し、退職日までの最大限の協力を求めるメールを返信する。
まずはこの状況を冷静に分析し、速やかに人事部と直属の上司である部長へ、田中氏からの退職申し出があった旨を報告・相談する。
その上で、部長や人事部と連携し、田中氏との面談設定、慰留の可能性、そして「プロジェクト・アポロ」への影響や後任計画に関する初期的な対応方針について協議する。
田中氏のメールを受け、事態の重大性を認識し、すぐに田中氏に個別面談の時間を設定する。
面談では、退職理由を深く掘り下げるとともに、会社として慰留できる可能性を探り、給与や役職などの条件面での引き上げ交渉や、彼のキャリアプランに合わせた新たな役割の提案を検討する。
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bが最も適切です。
- 【組織全体の視点とリスクマネジメント】
田中氏はエース社員であり、「プロジェクト・アポロ」という重要プロジェクトの核心メンバーです。彼の突然の退職は、単なる一社員の異動にとどまらず、プロジェクトの遅延、顧客との信頼関係の毀損、チーム全体の士気低下、さらには売上目標未達という複数の深刻なリスクをはらんでいます。管理職として、まずこの多岐にわたるリスクを把握し、組織全体への影響を最小化するための行動を計画する必要があります。選択肢Bは、人事部と上長への報告・相談を優先することで、課長個人で抱え込まず、会社全体としての対応を迅速に開始できる点で優れています。 - 【適切なエスカレーションと情報共有】
このレベルの重要案件は、課長判断のみで完結させるべきではありません。人事部は退職に関する法務・規程の専門家であり、上長は部門全体の戦略とリソース配分を決定する立場です。彼らと連携することで、慰留策の幅が広がり、後任人事やプロジェクトのリスケジュールなど、より大きな枠組みでの対応が可能になります。また、情報共有を怠ると、後になって組織内での混乱を招く可能性があります。 - 【多角的視点からの慰留検討】
選択肢Cのように、課長単独で感情的に慰留交渉に入るのは拙速です。慰留には、給与や役職だけでなく、キャリアパス、働く環境、人間関係など、様々な要素が絡みます。人事部や上長との連携を通じて、会社として提供できる慰留策の選択肢を広げ、より戦略的かつ客観的な視点で田中氏の意向を探ることが重要です。また、田中氏の「時間的制約」という発言を鵜呑みにせず、その裏にある真意を探るための準備時間も必要です。 - 【プロジェクト継続性の確保】
最優先課題の一つは、「プロジェクト・アポロ」の継続性です。慰留の可否に関わらず、万が一の退職に備え、遅滞なく引き継ぎ体制や後任候補の検討を開始する必要があります。選択肢Bは、関係部署との協議の中で、この点についても同時に進められる余地があります。
選択肢Aは、慰留の努力を放棄し、プロジェクトへの影響を過小評価する可能性があります。選択肢Cは、課長が一人で問題を抱え込み、客観性や組織的視点を欠いた対応に陥るリスクが高いと言えます。
重要度:高 / 緊急度:高
【重要度】高
- エース社員の退職は、チームのパフォーマンス、ノウハウの喪失、そして残されたメンバーの士気に甚大な影響を与えます。
- 特に「プロジェクト・アポロ」は四半期売上目標達成に直結する重要案件であり、顧客との信頼関係にも影響しかねません。
- 退職理由によっては、他の社員への波及効果も懸念されます。
【緊急度】高
- 田中氏が「8月末日での退職」と具体的な希望日を提示しており、残された時間は限られています。
- また、「先方からは早期の意思決定を求められている」とあることから、転職先からのオファーにも時間的制約がある可能性があり、対応を急ぐ必要があります。
- 重要プロジェクトの最終フェーズにあるため、引き継ぎや後任育成を考えると、一刻も早い対応が求められます。
この案件は、「重要度:高」「緊急度:高」のマトリクスに位置付けられます。管理職として、危機管理意識を持ち、迅速かつ戦略的な対応が求められる最重要案件です。
管理職として、突然のエース社員からの退職申し出に直面した際、パニックにならず、以下の原則を意識して対応することが、アセスメント試験で高く評価されます。
- 【冷静な状況把握と多角的な視点】
まず感情的にならず、「なぜ退職するのか」「退職によって会社にどのような影響があるのか(短期・中期・長期)」「どのような選択肢があるのか」を冷静に分析します。個人のキャリア選択であると同時に、組織全体への影響を多角的に捉える視点が重要です。 - 【適切なエスカレーションと連携】
自分一人で抱え込まず、速やかに上長や人事部といった関係部署に報告・相談する習慣は、管理職に不可欠です。会社として対応方針を決定し、リソースを投入するためには、適切な情報共有と連携が必須となります。 - 【リスクマネジメントと代替案の検討】
慰留の可能性を探ると同時に、万が一退職が避けられない場合の「プロジェクトへの影響」「後任育成」「顧客対応」といったリスクを想定し、代替案(プランB)を並行して検討する準備を進めることが重要です。常に最悪のシナリオを想定し、組織へのダメージを最小限に抑える意識が求められます。 - 【相手への敬意とコミュニケーション】
退職を決意した社員に対して、感情的に責めたり、無理に引き止めようとしたりする態度は避けるべきです。彼の意思を尊重しつつ、円滑な引き継ぎと、もし可能であれば円満な慰留交渉へと繋がるような、プロフェッショナルなコミュニケーションを心がけるべきです。 - 【組織としての学び】
退職に至った背景には、組織として改善すべき点が含まれている可能性があります。今回の件を単発の出来事として終わらせず、離職原因の分析や、今後の人材育成・定着策に活かす視点を持つことも、長期的な組織マネジメントにおいて重要です。
アセスメント試験では、このような予期せぬ事態において、管理職が「組織全体を俯瞰し、冷静に状況を判断し、適切な関係者を巻き込み、リスクを最小化しながら最善の解決策を導き出す」能力があるかどうかが厳しく評価されます。

