あなたは、大手食品メーカー「アジワイフーズ株式会社」の商品企画部で、1ヶ月前に課長に昇進したばかりの佐藤です。まもなく半期に一度の重要な「全社商品戦略会議」が控えており、各部署はその準備に追われています。
あなたは出社後、未処理のメールボックスを開きました。制限時間は3分で、10件の案件を処理しなくてはなりません。以下はそのうちの1件です。
差出人: 鈴木 誠 <m.suzuki@ajiwaifoods.co.jp>
日時: 20XX年10月26日 08:45
件名: 【ご相談】来週の商品戦略会議の資料について
商品企画部 佐藤課長
おはようございます。
営業第一部の鈴木です。
早速本題で恐縮なのですが、来週の商品戦略会議で提案する資料の件でご相談です。
現在、営業部では、先月発売した新商品「旨味凝縮プレミアムデミグラスソース」の販売が非常に好調なため、下期の販促予算の増額を強く提案したいと考えております。しかし、その話を小耳に挟んだ開発部の山田課長が、「そんな予算があるなら、既存のロングセラー商品である『伝統のコンソメ』のリニューアル開発に回すべきだ」と反対しているようなのです。
正直なところ、開発部はいつも現場の顧客の声よりも、自分たちの技術的な興味を優先しているように感じます。今回の新商品は間違いなくヒットの兆しがあり、ここで一気に投資をすべきです。
つきましては、商品企画部の佐藤課長から、開発部の山田課長へうまくお話をしていただき、新商品の重要性をご理解いただくことはできないでしょうか。お忙しいところ申し訳ありませんが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
営業第一部
鈴木 誠
回答と解説を見る
正解:B
選択肢Bがベストです。
選択肢Bがベスト
この案件の対応として最も優れているのは選択肢Bです。理由は以下の通りです。
- 公平性と事実確認の徹底: 管理職の基本は、一方からの情報だけで判断・行動しないことです。営業部の鈴木さんのメールには「~らしい」「~と感じます」といった主観的な情報が含まれており、これを鵜呑みにするのは危険です。選択肢Bは、まず開発部の視点や考え(事実)を確認しようとする姿勢であり、公平な立場で問題解決に臨む第一歩として極めて適切です。
- 対立の回避: 選択肢Aのように、営業部の代弁者として開発部に接触すると、あなたが営業部側の人間だと見なされ、対立を悪化させる危険性があります。まずは中立な立場で双方の情報を集めることが、建設的な議論の土台を作ります。
- 当事者意識と責任: 選択肢Cは一見もっともらしいですが、問題を部下に丸投げしていると捉えられかねません。部署間の利害調整は、まさに管理職であるあなたの重要な役割です。問題を放置せず、主体的に関与する姿勢を示すことが求められます。選択肢Bは、その主体的な関与の第一歩を踏み出せています。
したがって、まずは冷静に双方の情報を収集し、客観的な事実を把握した上で、解決策の検討に入るというプロセスが最もロジカルで、管理職として評価される行動です。
重要度:低 / 緊急度:低
重要度:低 / 緊急度:低
- 重要度(低): 会社の経営を左右するような致命的な問題ではなく、日常業務の中で発生する典型的な部署間の意見の相違です。予算配分というテーマ自体は重要ですが、このメールの時点ではまだ表面化していない水面下での対立であり、今すぐに対処しないと事業継続に支障が出るレベルではありません。
- 緊急度(低): 会議は「来週」であり、今日明日に結論を出す必要はありません。また、若手社員からの「相談」という形式であり、役員からの指示のような即時対応を求められるものでもありません。冷静に情報を収集し、対応を検討する時間は十分にあります。
このマトリクス判断から、この案件は他の「重要度・緊急度が高い案件」を処理した後に、落ち着いて着手すべきだと判断できます。
部署間の利害対立は、組織が健全に機能している証拠でもあります。こうした場面に遭遇した際、管理職として以下の3つの原則を意識することが、アセスメントでの高評価につながります。
- ファシリテーターに徹する
どちらかの部署の味方をするのではなく、常に中立・公平な立場を貫き、両者の意見を引き出し、議論を前に進める「ファシリテーター(調整役)」に徹してください。「私はジャッジする人間ではなく、皆で最適な結論を出すための手伝いをする」というスタンスが重要です。 - 事実(Fact)と感情(Emotion)を分離する
「開発部はいつもそうだ」「営業は数字しか見ていない」といった感情的な言葉に流されず、「具体的なデータは何か?」「その判断の根拠は何か?」といった事実(ファクト)に基づく議論を促すことが重要です。客観的な事実をテーブルの上に並べることで、冷静な議論の土台ができます。 - 常に「全体最適」の視点を提供する
部署ごとの主張(部分最適)がぶつかった際は、一段高い視点を提供することが管理職の役割です。「我々の共通の目的は会社の成長です。その観点から、お客様にとって最も価値があるのはどちらの選択でしょうか?」というように、全社的な利益(全体最適)という共通のゴールに立ち返らせることで、対立から協調へと議論のフェーズを転換させることができます。

