あなたは、ITソリューション企業「株式会社ネクストビジョン・ソリューションズ」の営業第2課の課長です。1ヶ月前に課長に就任したばかりで、まだチームメンバーの完全な把握には至っていません。
本日は午前10時から、今後の会社の業績を大きく左右する最重要顧客との大型契約プレゼンテーションが予定されており、あなたはプレゼンターを務めます。準備のため、9時30分には会社を出発しなければなりません。
現在時刻は午前9時10分。あなたは出社してPCを立ち上げ、未読メールの処理を開始しました。残された時間は3分です。この時間内で、あなたは案件の優先順位を判断し、必要な指示や対応を行う必要があります。
差出人: 鈴木 真由美 <m.suzuki@nextvision-sol.co.jp>
日時: 20XX年10月27日 08:55
件名: 【ご相談】佐藤さんの経費申請について
〇〇課長
おはようございます。営業第2課の鈴木です。
朝早くから申し訳ありません。少しご相談したいことがあり、メールいたしました。
同じチームの佐藤健太さんの経費申請について、少し気になる点があります。
佐藤さんは最近、深夜残業後のタクシー利用での帰宅申請が非常に多いのですが、先週水曜日は、私も同じくらいの時間まで残業していたのですが、佐藤さんは定時後すぐに退社されていたように記憶しています。しかし、その日も深夜タクシー代が申請されているのを経費システムで偶然見かけてしまいました。
私の見間違いかもしれませんが、佐藤さんは若手のエースとして皆の目標ですし、万が一ということがあるとチームの士気に関わると思い、念のため課長にご報告すべきか悩んだ末、ご連絡いたしました。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご確認いただけますでしょうか。
鈴木 真由美
回答と解説を見る
正解:C
選択肢Cがベストです。
選択肢Cがベスト
この選択肢が最も優れている理由は、管理職としての初動対応における複数の基本原則をバランス良く満たしている点にあります。
- 1. 通報者の保護と安心感の醸成: まず通報者である鈴木さんに対応することで、彼女の勇気ある行動を肯定し、組織として問題を真摯に受け止める姿勢を示しています。「他言しないように」と釘を刺すことで、情報漏洩や噂の拡散を防ぎ、通報者を守ることができます。
- 2. 客観的な事実確認の優先: 本人や他の社員に話を聞く前に、まずは勤怠データや経費申請記録といった「客観的な証拠」の収集に着手している点が重要です。これにより、感情や憶測を排除し、事実に基づいた判断を下すための準備ができます。
- 3. 関係部署との連携: 自分一人で抱え込まず、総務部という適切な部署に協力を依頼する姿勢は、組織的な問題解決能力の高さを示します。
- 4. 時間の有効活用: 自分がプレゼンで外出している間にも、裏では事実確認の準備が進むように段取りをつけており、限られた時間を有効に活用しています。
<他の選択肢の課題>
- 選択肢A: 証拠が不十分な段階で本人に直接問いただすのは最悪手です。事実無根だった場合、佐藤さんとの信頼関係を著しく損ないます(冤罪リスク)。また、万が一事実だった場合、証拠隠滅の機会を与えてしまう可能性があります。
- 選択肢B: 慎重な姿勢は良いですが、何のアクションも起こさずに静観するのは対応が後手に回るリスクがあります。通報した鈴木さんも「課長は動いてくれない」と不安に思うかもしれません。事実確認の準備だけでも進めておくべきです。
重要度:高 / 緊急度:低
重要度: 高 / 緊急度: 低
この案件は、重要度・緊急度マトリクスにおいて「重要だが、緊急ではない」領域に分類されます。
- 重要度(高)の理由:
コンプライアンス違反の可能性があり、放置すれば組織の規律を揺るがす重大な問題に発展しかねません。社員の公平感や士気にも直結するため、管理職として真摯に対応すべき最重要案件の一つです。 - 緊急度(低)の理由:
疑惑の段階であり、今この瞬間に対応しないと事業継続に致命的な損害が出るわけではありません。むしろ、今日の最優先事項である「重要顧客とのプレゼン」を疎かにすることの方が会社にとってのリスクは高いです。また、この種の問題は拙速な対応が冤罪や人間関係の悪化を招くため、冷静に客観的な情報を集める時間を確保することが不可欠です。したがって、プレゼン後にじっくり取り組むべき案件と判断します。
管理職として部下の不正疑惑に直面した際は、パニックにならず、以下の3つの原則を心掛けることが極めて重要です。
- 事実確認の徹底(Presumption of Innocence):
まずは「推定無罪の原則」に立ち、決して憶測や感情で判断してはいけません。通報があったからといって、被疑者が「黒」だと決めつけるのは厳禁です。客観的な証拠(データ、記録など)を淡々と収集することから始めましょう。 - 関係者の保護(Confidentiality):
通報者のプライバシーと安全を絶対に守らなければなりません。誰が通報したかという情報が漏洩すれば、組織の内部通報制度は機能不全に陥ります。同時に、調査中は被疑者の人権と名誉にも配慮し、情報管理を徹底する必要があります。 - 冷静沈着な対応(Calm and Systematic Approach):
動揺や怒りを表に出さず、常に冷静かつシステマティックに対応する姿勢が求められます。一人で抱え込まず、必要に応じて人事部やコンプライアンス部門、さらに上の上司に速やかに相談・報告し、組織として対応する体制を整えることが、最終的に自分と会社を守ることにつながります。
アセスメント試験では、これらの原則に基づいた論理的でバランスの取れた初動対応ができるかどうかが厳しく評価されます。

