【予算超過Lv5】巨額予算超過と役員報告の窮地

【予算超過Lv5】巨額予算超過と役員報告の窮地 インバスケット演習

あなたは、大手ITソリューション企業「ネクストビジョン・テクノロジーズ株式会社」の商品開発本部 第2開発部の課長です。
現在、会社の次世代戦略の中核を担う、AI業務アシスタント「Aether(アイテール)」の開発プロジェクトの責任者を務めています。
このプロジェクトは経営層の期待も高く、絶対に失敗できない最重要案件と位置づけられています。

開発は最終フェーズに差し掛かっていますが、本日、プロジェクトリーダーの部下から、1.5億円という巨額の予算超過が発生したとの緊急報告が入りました。

あなたは明日早朝から1泊2日の海外カンファレンスへの出張を控えており、本日中に今後の対応方針を決定し、関係者への指示を出す必要があります。
また、本プロジェクトの管掌役員である伊藤専務から「今日の17時までに、現状と今後の対応についてメールで第一報を入れるように」と指示されています。

【現在の時刻】14:00
【制限時間】3時間(17:00まで)

あなたは、これから3時間でデスクの上にある未処理案件を片付けなければなりません。以下のメールを読み、課長としてどのように行動すべきか判断してください。

差出人: 田中 誠 <m-tanaka@nextvision.tech>
受信日時: 20XX年10月27日 13:45
件名: 【至急・重要】Aetherプロジェクト予算超過の件(詳細報告)


鈴木課長

お疲れ様です。第2開発部の田中です。
表題の件、先ほど口頭でご報告したAetherプロジェクトの予算超過について、詳細が判明しましたのでご報告します。

■ 予算超過額: 1億5,000万円 (確定)

■ 主な原因:
外部委託先である「テックフォージ社」が担当しているAIアルゴリズムのチューニング工程において、当初の想定を大幅に超える技術的課題が多発しました。品質を担保するため、彼らとの協議の上で追加の検証・修正作業を依頼した結果、その工数が膨らみ、今回の超過につながりました。

■ 現状:
本日、テックフォージ社から最終請求書が届き、金額が確定しました。
先ほど経理部の山田部長に本件を報告したところ、「前代未聞の事態だ。明日午前中までに正式な原因報告書と、超過分を相殺するための具体的なコスト削減計画を提出しろ」と極めて厳しい口調で指示を受けました。

■ 懸念事項とチーム内の状況:
本件についてチーム内で緊急ミーティングを行ったところ、意見が割れています。

  • 私(田中)としては、製品のコアであるAIの精度を担保するため、今回の追加作業は不可欠だったと考えています。安易なコスト削減は製品価値を著しく損なうため、会社に事情を説明し、追加予算を申請すべきだと考えます。
  • 一方、佐藤さんからは「今から追加予算を申請しても到底承認されない。リリースを遅らせてでも、周辺機能のいくつかを削ってでも、当初予算内に収める努力を最優先すべきだ」という強い意見が出ています。

私の管理責任を問われるのは覚悟の上ですが、チーム内の雰囲気が非常に悪くなっており、このままでは最終デバッグ工程に支障が出かねません。
出張前でお忙しいところ大変恐縮ですが、至急、今後の対応方針についてご判断をいただきたく、お願い申し上げます。

以上、よろしくお願いいたします。

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商品開発本部 第2開発部
田中 誠
内線: 1234
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A

まず関係者の情報整理と合意形成に動く。田中と佐藤から個別に5分ずつヒアリングを行い、それぞれの考えと感情を把握する。その上で、専務への報告メールに「①予算超過の事実と原因の概要、②考えられる対策案(追加予算申請、機能削減、納期延長等)の選択肢と各メリット・デメリット、③明日からの出張中の代理責任者と指示系統」を明記して送信する。経理部にも同様の報告を行い、協力体制を要請する。
B

プロジェクトの遅延とさらなる混乱を避けるため、即時コスト削減を決断する。佐藤の意見を全面的に採用し、「ただちに削減可能な機能リストを作成し、コスト削減効果を試算せよ」とチーム全体に指示を出す。専務には「機能の見直しによる抜本的なコスト削減策を断行し、予算内に収める所存です」と力強く報告する。
C

原因究明と責任の明確化を最優先する。田中にテックフォージ社との全ての議事録と追加作業の正当性を証明する資料を即時提出させ、経理部には「現在、外部委託先の管理体制も含め、原因を徹底調査中」と伝え、報告書の提出期限の延長を交渉する。専務への報告も「原因究明に全力を挙げている」という内容に留める。
回答と解説を見る

正解:A

選択肢Aがベストです。

選択肢Aがベスト

この問題は、単なる予算超過という事象だけでなく、組織マネジメント、ステークホルダー・マネジメント、危機管理能力が複合的に問われる難易度の高い案件です。

  • 情報整理と客観的判断: 選択肢Aは、パニックにならず、まずは当事者である田中と佐藤から個別に情報を収集しようとしています。一方的な情報(メール文面)だけで判断せず、異なる視点からの意見を聞くことで、より客観的で冷静な状況把握が可能になります。これは、複雑な問題解決の第一歩として不可欠な行動です。
  • ステークホルダー・マネジメント: 上司である専務への報告において、Aは最も優れた対応です。「悪い報告ほど早く、対策案とセットで」という原則を遵守しています。単に「問題が起きました(A)」や「こうしますと決断しました(B)」という一方的な報告ではなく、現状、考えうる選択肢、それぞれのメリット・デメリットを整理して示すことで、「事態を正確に把握し、コントロールしようと努めている」という管理職としての能力と誠実さを示すことができます。これにより、上司も次の判断をしやすくなり、信頼関係が維持されます。
  • 組織マネジメント: 田中と佐藤の意見が対立し、チームの雰囲気が悪化している中、選択肢C(責任追及)やB(一方の意見の採用)は、対立をさらに煽り、組織を崩壊させるリスクがあります。Aのように、まずは双方の意見を尊重し、ヒアリングするという姿勢は、部下の心理的安全性を確保し、チームとして問題解決にあたる雰囲気を再構築するために極めて重要です。
  • リスク管理: 拙速な決断(B)は、製品価値を根本から損なうという最大のリスクを考慮できていません。また、原因究明だけに固執する(A)のは、報告期限を守れず、他部署との関係を悪化させるリスクがあります。Cは、複数の選択肢をテーブルに乗せることで、あらゆる可能性を考慮し、最もダメージの少ない解決策を組織として見つけ出すための時間と土台を確保する、バランスの取れたリスク管理と言えます。

重要度:高 / 緊急度:高

【重要度:高】

本件は会社の将来を担う最重要プロジェクトの根幹に関わる問題です。1.5億円という超過額は財務的なインパクトが極めて大きく、経営判断に直接影響を与えます。また、プロジェクトの遅延や品質低下は、会社の市場競争力を著しく損なう可能性があります。自身の管理責任が問われるだけでなく、会社の事業戦略そのものを揺るがしかねないため、重要度は最高レベルと判断されます。

【緊急度:高】

直属の上司である管掌役員から「本日17時まで」という明確な報告期限が設定されています。また、経理部長からも「明日午前中」という期限付きの要求があり、迅速な対応が求められています。対応が遅れれば、関係部署との信頼関係を失い、組織的な協力が得られなくなるリスクがあります。放置すれば問題がさらに深刻化することは明らかであり、即時のアクションが必要な案件です。

管理職として、このような巨額の予算超過案件に直面した際の行動原則は、アセスメント試験における重要な評価ポイントとなります。

マインドセット

  • パニックにならず、まず事実を整理する: 衝撃的なニュースに動揺せず、まずは「何が起きたのか(What)」「なぜ起きたのか(Why)」「誰が関係しているのか(Who)」「影響範囲はどこまでか(Where)」を冷静に整理することが第一歩です。
  • 「犯人探し」ではなく「問題解決」に集中する: 責任の所在を明らかにすることは必要ですが、それは後工程です。まずは「どうすればこの危機を乗り越えられるか」という未来志向の課題設定にエネルギーを注ぐべきです。犯人探しから入ると、組織は萎縮し、誰も正直な報告をしなくなります。
  • 一人で抱え込まない: このような大きな問題は、一人の管理職が単独で解決できるものではありません。上司、部下、関係部署を適切に巻き込み、組織全体の知恵とパワーを結集して対応するという姿勢が求められます。

アセスメントで加点される行動原則

  1. 迅速な第一報(特に上司へ): 悪いニュースほど早く報告するのが鉄則です。その際、単に問題が起きたことを伝えるだけでなく、現状把握の進捗、考えられる選択肢、今後のアクションプランをセットで示すことで、「事態をコントロール下に置こうとしている」という頼もしさをアピールできます。
  2. 多角的な情報収集: 一つの情報源や一部の部下の意見に流されず、複数の関係者から話を聞き、状況を立体的に把握しようとする姿勢は高く評価されます。
  3. 建設的な巻き込み力: 経理部のような管理部門を「敵」や「障害」と見なすのではなく、問題解決のための「パートナー」として捉え、協力関係を築こうとするコミュニケーション能力が重要です。
  4. 長期的・大局的な視点: 目先のコスト削減や納期遵守といった短期的な視点だけでなく、「プロジェクト本来の目的」「顧客への提供価値」「会社の長期的利益」といった大局的な視点から、各選択肢のメリット・デメリットを評価できることを示しましょう。
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